ニュース
» 2013年12月12日 09時43分 公開

艦これ艦娘“戦歴的”プロフィール「木曽」編実は上流階級育ちかも

え〜! 木曽の戦歴ですか。これは書くのが難しいですよ。本格的に戦ったことがないですからね。生前は……。

[長浜和也,ねとらぼ]

武運が避けていくよな人生さ

 軽巡洋艦「木曽」は、球磨型5番艦にして1921年5月4日三菱長崎造船所の生まれ。同じ球磨型の「北上」「大井」とともに重雷装艦への改装を計画していたが、太平洋戦争の開始でその機会を逸し、そのまま、通常の“旧式”軽巡洋艦として戦うことになる。

軽巡洋艦「木曽」は、重雷装艦への改装を予定していたので、滑走台もカタパルトも搭載しておらず航空機運用能力がない

 ……戦うことになるといったものの、球磨型姉妹の「多摩」と第21戦隊を編成して北方海域を担当する第五艦隊に所属していた木曽は、「真珠湾を攻撃した機動部隊のお迎え」「出現した敵機動部隊のパトロール」という、戦闘艦艇としてはのんびりとした任務が続く。しかし、その代わりに北の荒れた海と船体を覆う厚い氷との戦いは厳しく、木曽は激しい波浪で損傷して後方に退くこともあるほどだった。

 そんな、敵より自然相手に苦しい戦いを続けていた木曽も、1942年6月にミッドウェー作戦の陽動として計画した(一説によると、暇で暇でしょうがない第五艦隊司令部が軍令部に直訴して実現したという)アリューシャン攻略作戦ではキスカ島攻略部隊の旗艦として多摩と駆逐艦「響」「曙」とともに参加してキスカ島を占領する。このときも、米軍が航空機で反撃してきたが、大型陸上攻撃機の水平爆撃のみという、急降下爆撃と雷撃機が突っ込んでくるミッドウェーに比べるとぬるい戦いだった(にもかかわらず、響が損傷したり輸送船が沈んだりしているが)。

戦歴に恵まれない木曽だけあって、登場するボードウォーゲームも少ない。その数少ない中から「アリューシャン・キャンペーン」(国際通信社)でアリューシャン攻略作戦を再現した。木曽は多摩、響、曙とともにキスカ島の攻略に成功する

 その後、1942年から1943年という南の島で日米海軍が激しい空母戦や夜戦を行っていた時期も、木曽はアッツ島やキスカ島への輸送任務やパトロール、そして、長期間の泊地停泊という時間をすごしていく。運の悪いことに、1943年3月27日に北方海域で唯一発生した水上砲雷撃戦「アッツ島沖海戦」には、ちょうど舞鶴で修理整備だったため参加していない。また、7月には木曽の戦歴として一番のクライマックスとなるキスカ島撤収作戦に参加して成功するが、このときも、敵艦隊との戦闘は起きていない。

 1943年9月からは、北の海に別れを告げて南の海で、やっぱり輸送艦相当の任務を淡々とこなしていく……予定が10月21日に夜間爆撃を受けて被弾。その後は、多摩が比較的元気に行動して夜間襲撃訓練なども積極的に行っているのに、木曽は長期にわたって舞鶴で修理整備を行ったり大湊に停泊し続けたりと、なんとなく“ひきこもり”っぽくなってしまう。

 耐用年数を超える艦齢に加え波浪激しい北の海での長期にわたる任務、そして、被弾の衝撃と、すでに船体が戦闘行動に耐えられなくなっていた木曽は、横須賀鎮守府所属という、実質的な隠居部隊に異動してマリアナ沖海戦にもレイテ沖海戦にも参加せず、マニラ港停泊中に空襲を受けてその生涯を終えることになる。

 ……はずだったのが、 港の水深が浅かったおかげで船体は水の上にとどまっていた。生前、本格的な戦闘をほとんどしたことがなかった木曽だったが、沈んでからは、浮き砲台として本格的な対空戦闘を経験することになる。

 このように、軍艦としては戦歴にまったくといっていいほど恵まれなかった木曽だが、平時には、皇太子だった昭和天皇の九州巡幸お召し艦となったり、北海道巡幸の供奉艦となったり、米国で死去した駐米大使の遺骨を日本に送り届けた米重巡「アストリア」のホストシップを勤めたり、2・26事件で横須賀特別陸戦隊4個大隊を芝浦に緊急輸送したり、いざとなったら天皇を木曽に避難させる計画もあったりなどなど、皇室に関連した名誉職や特別任務を多数歴任している。そういう意味で、木曽は荒々しい“武闘派”的なキャラクターより、育ちのいい“侍従武官”的なイメージが似合うのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/02/news048.jpg 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  2. /nl/articles/2312/01/news138.jpg 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  3. /nl/articles/2312/01/news012.jpg 娘が子猫を保護→ある日おなかが異様にふくらみ、病院へ連れて行くと? 「貴重な経験」となった診察結果に驚き
  4. /nl/articles/2312/02/news060.jpg 庄司智春、“夫婦格差”を表す1枚の写真に共感続々 「あるだけマシですよ!」と哀愁漂う反響も
  5. /nl/articles/2312/02/news003.jpg ちいかわデザインのおくすり手帳を開いたら……? “まさかの中身”に衝撃走る「絶対に笑ってはいけない」
  6. /nl/articles/2312/01/news121.jpg “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  7. /nl/articles/2309/23/news080.jpg 「ボッタクリにも限度ある」 FFイベントで売店の“焼きそば”めぐり騒動 運営謝罪「スタッフが半ばパニックに」
  8. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  9. /nl/articles/2312/02/news061.jpg 「ちょっと緊張してるパパ」ギャル曽根、夫が第3子を抱く“顔出し”ショットが幸せの極み 「素敵な写真」「ちっちゃーい」
  10. /nl/articles/2311/30/news047.jpg 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」