実はメリットもある? 猫舌のあれこれ味博士の味な豆知識

猫舌にはつらい、カップコーヒーのフタ。ところで猫舌ってなんで“猫”舌なの?

» 2014年09月06日 17時00分 公開
[味博士,ねとらぼ]

 我々の敵……それはずばり、カップコーヒーのフタである!! ホットコーヒーを飲みたいという、いささか単純な欲求を満たすために、カップの重さや傾きを手の感覚のみで巧みに計算し、口に流し込む量を調節させることを余儀なくされる……嗚呼、何たるイジメ。嗚呼、この舌さえなければ……なぜ……! 我が舌はキャット・タンなのか……!

 今日はキャット・タンこと猫舌に関する疑問にお答えしていこうと思います!

1. そもそも、なんで“猫の舌”やねん!?

 その発想は正しいです。熱いものを食べるのは、ヒトしかいません。なので、ヒト以外の全ての生物は、猫舌です。

 猫はヒトと生活をともにしてきた身近な動物ですね。ヒトは熱いものを食べるのに対し、猫は熱いものを食べない。その様子から、熱いものを食べられない=猫のようだという象徴が生まれたようです。

2. なんでアイツは熱いのOKで、ワイは苦手やねん!?

 その不条理感、分かります。さまざまな食品が食べられるようになるのと同様、熱いものを食べられるかどうかも食経験によって決まります。ゆえに、幼少期から熱いものを食べる経験が少ないと、猫舌になりやすいのです。また、私たちの皮膚や粘膜には、温度を感じる「温点」というものが存在しています。温点の数は個人差があるため、多い人は熱さに敏感、少ない人は熱いものOKな舌になりえます。また温点は舌先に多くあり、舌先を使って食べると熱さを感じやすいという食べ方の要因も少なからず影響しています。

3. アタイは昔は猫舌やったけど、今は治ったで!?

 それはおめでとうございます。上記の理由から、子どものとき猫舌でも大人になると治ることは不思議ではありません。舌には「角質層」というものがあり、これが熱さからの刺激を和らげます。この角質層は大人になるにつれて厚くなってゆくのです。そのため、ある程度年齢を重ねると猫舌でなくなる人もいますし、猫舌の人でも、昔よりはマシになったと感じるはずです。慣れや食べ方がうまくなった、というのもあるかもしれません。

4. この間お茶をぶちまけたら火傷した!! オレは猫舌ならぬ猫体だ!!

 熱い環境に生きている生物は一部の微生物ぐらいしかいませんので、ほとんどの生物は皆猫体です。というか、猫体とは呼びません。先ほど述べた温点の数は、舌と比べると身体の表面にはかなり多く存在しています。そのため、舌で熱いお茶が飲めても、皮膚に触れると熱くて耐えられないのです。ちなみに、火傷という現象は、猫舌かそうでないかによって起こりやすさが変わるわけではありません。火傷は、皮膚組織が熱さによって変化する現象です。温点が全くない人が仮にいたとして、どんなにその人が熱さを感じなかろうと、100度の熱湯を口に含めば、火傷するのです。

 なるほど……。我が舌を非猫舌化させるには、角化層と温点の数がポイントか。ある程度熱いものに慣れることや、食べ方を工夫することはできるかもしれないが、体の中をいじるのは人智を超えた行為……。

 つまり、脱猫舌はムズカシイ……。

 しかし、熱さを感じることができなければ火傷にも気づかない。つまり、危険を察知できない! 危険を敏感に察知できる我が舌は、良い舌なのかもしれない……。

筆者「味博士」紹介

鈴木 隆一:AISSY株式会社代表取締役社長、慶應義塾大学共同研究員(兼務)。慶應義塾大学理工学部卒業、同大大学院理工学研究科修士課程修了。大学在学中よりシステム開発の受託などを行いながらSFC研究所研究員も兼務。大学院修了後、慶応義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。

味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。

最新著書として、『日本人の味覚は世界一』(廣済堂新書)、他にも『味博士のぜったい太らない食べ方』(日本文芸社)『「味覚力」を鍛えれば病気にならない』(講談社)がある。


本稿は「味博士の研究所」を加筆・修正をして掲載しています。



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた