ネコ好き、本好き、お酒好きにぴったり ネコ本を読みながらお酒が飲める「ネコ文壇バー」に行ってきた
ネコ本を読みながらお酒が飲める「ネコ文壇バー」はどんなところ? 実際に訪ねてみた。
「文壇バー」と聞くと、お偉い作家さん同士が文学について語り合う……というイメージが浮かぶかもしれない。そんなお固いイメージがぱっと軽くなるような「ネコ文壇バー 月に吠える」がこのほど、東京・新宿にオープンした。ネコ文壇バーとは一体どのようなバーなのだろうか。
東京メトロ新宿三丁目駅から徒歩1分、飲食店が立ち並ぶ通りのビルの3階に「ネコ文壇バー 月に吠える」はある。エレベーターがないので階段で3階まで上がると、そこには「プチ文壇バー 月に吠える」と書かれたプレートが。実はこのお店、新宿ゴールデン街に店をかまえる「プチ文壇バー『月に吠える』」の2号店。取材時はオープン3日目で、「ネコ文壇バー」のプレート作成が間に合わず、代わりに「プチ文壇バー 月に吠える」のプレートが下げられていたようだ。
扉を開けようとすると、壁に谷崎潤一郎の小説「猫と庄造と二人のおんな」の紹介文と、ネコを抱いた谷崎の写真が。大学では近現代文学を専攻していた文学少女、そして大のネコ好きの筆者はこれを見ただけで胸が騒ぐ。
店は土足禁止。靴を脱いで店内へ。
店内は広く、テーブル席とカウンター席の計20席。
壁には作家とネコのエピソードも貼られている。
そして、本棚にはネコに関する本がいっぱい。小説、エッセイ、写真集、飼育本、絵本など、約250冊のネコ本がそろっている。
ネコに関する本を寄付すると1杯サービスとのことで、筆者も読み終わったネコ雑誌を寄付。では、さっそく、カウンターに座って1杯。マスターであり、ジャーナリストとしても活躍中のコエヌマカズユキさんにオーダーしたのは、ネコを連想させる「またたび焼酎」の水割り。またたびの香りをつけた焼酎だ。
またたび焼酎の度数は35度と高め。飲んでみると、ワイルドで少しクセがあるのに、後からまろやかさもやってくる。何とも形容しがたい不思議な味だ。飲みながら、コエヌマさんにお店をオープンした理由を聞いてみた。
「文壇バーと言うと、敷居が高いイメージがあるので、ゴールデン街にある1号店の『プチ文壇バー 月に吠える』は『日本一敷居の低い文壇バー』というコンセプトでやっております」とコエヌマさん(編集部注:「敷居が高い」は本来「不義理があって行きにくい」という意味だが、「レベルが高い」の意味で誤用されることが多いためコエヌマさんはそれに合わせている)。1号店はライター志望者や作家志望者、編集者が集まるお店で、常連さんから文藝賞受賞者も出たという。では、2号店はなぜネコなのか?
2号店の「ネコ文壇バー」は完全に思いつきで始めたのだとか。コエヌマさんが取材で石川県に行った際、石川近代文学館を訪れ、石川出身の小説家・室生犀星のネコの「カメチョロ」の写真を目にしたのがきっかけ。とてもかわいく、「カメチョロ」という名前のセンスも最高だと思った。もともとネコが好きだったコエヌマさん、「カメチョロ」の写真を見てネコブームが来て、2号店のコンセプトはネコにしたと語る。
店の壁には、室生犀星と火鉢の縁に前足をかけて暖をとる猫の萌え写真が! 犀星はカメチョロの他にも多くの猫を飼っており、こちらは「ジイノ」というのだそう。
オープンしたての店内は小奇麗で、取材時は落ち着いた雰囲気だった。ネコの本を読みつつ飲むお酒はいつもよりおいしい。2回目以降の来店者は本を借りることもできる(1カ月以内に返却)。
オリジナルカクテルには「印税生活」や「締切前夜」など、作家をイメージさせるものも。
20時を過ぎるとお客さんで込み合ってきた。隣に座っていた30代の男性は、1号店に通っていた本好きの常連さん。この日、初めて2号店に訪れたそうだ。テーブル席には本好きの男性とネコ好きの女性のカップルが来店。ネットのニュースで知って訪れた。「締切前夜」と「印税生活」を頼んだ2人は、自由気ままにネコ本を読んで過ごしていた。
今後は読書会や1日店長などのイベントも実施していきたいというコエヌマさん。「ネコ文壇バー 月に吠える」は、ネコが好きな人、本が好きな人、そしてお酒が好きな人にとってのオアシス空間と言えそうだ。
店鋪情報
住所:東京都新宿区新宿3-6-11 第1玉屋ビル3階A号室
TEL: 03-3226-1267
営業時間:19時〜24時(年内は休まずに営業)
定休日:日・祝日
料金:チャージ500円、ドリンク600円〜
Facebookページ:https://www.facebook.com/nekobundanbar/
(姫野ケイ)
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