才能の無駄づかいとはこのことか コンドームを射出するウェアラブルデバイス、開発現場に潜入してきた
ビンとなってシュッとしてキャッチ。
コンドーム準備よーし! 3(スリー)、2(トゥー)、1(ワン)、発射……っ!!
先日、オカモトからコンドーム専用ウェアラブルデバイス「ゼロワンベルト」が発表された(関連記事)。このベルトはスマートウォッチと連動し、「ゼロワン」と唱えると音声認識によって専用アプリケーションが作動、自動でベルトのバックルが開きコンドームが勢いよく飛び出す。実は完成間近の数日前、筆者は開発現場を訪れた。あの「ゼロワンベルト」はどのように作られたのか――。
開発を担当したのは国内外の数々の受賞歴を持つBIRDMAN。オフィスの壁には、数え切れないほどの賞状と盾・トロフィーが並んでいる。
そんなおしゃれ空間の机に広げられたのが、開発中のゼロワンベルト。ベルトのバックル部分は3Dプリンタで作られており、ここにカバーを取り付ける。カバーは付け替え可能で、気分に合わせ3種類のデザインから選べる。
せっかくなので、カバーを外した状態のゼロワンベルトをもう少し見せてもらう。コンドームを設置するのはバックルの表側。ゴムの袋がちょうどはまる引っかかりがあり、そこに袋ごと差し込む造りだ。
ひっくり返して裏を見ると、むき出しの配線とバネが見える。仕組みは意外と単純で、電気磁石で両端から引っ張ると爪が外れ、バネが縮む勢いでコンドームが飛び出る構造。しかし、コンドームの飛ぶ勢いや高さは爪とバネの調整具合によって決まるため、造形を担当した秋山工房の光井清陽さんは完成に至るまでさまざまなバネを用いたり爪をミリ単位で削ったりテストを繰り返したという。最終的に選ばれたバネは、柔らかめで線が細めの巻きが少ないバネ。宙に舞うコンドームをうまくキャッチできるかどうかは、光井さんの腕に掛かっていた。
こうしてコンドームは宙に舞う。現段階ではプロトタイプで販売予定はないが、最終的にはボタン電池にし小型化・軽量化を図りたいとしている。なお、現状では約1キロ。下半身のトレーニングに有効な重さとなっている。ちなみにオカモトのゼロワンと同じサイズであれば、どのコンドームにも対応している。
ゼロワンベルトに連動したアプリにも触れておく。とてもデザイン性に優れているのだ。「ゼロワン」と叫ぶとぬるぬるとアプリが起動、ベルトからコンドームが飛び出す際「SHOOT OUT!!」と表示される。さらに使用頻度を記録できる便利なカレンダー機能も。これでいつでも取り出すことができる。
洗練された「ゼロワンベルト」だが、実は他のプロジェクトと同様かなりの時間と労力が掛けられたもの。必要な機能をホワイトボードに洗い出し、ラフスケッチを描き、プロトタイプは輪ゴムと割りばしで作られた。
幾度となく議論が交わされ、テストを繰り返し、ようやくできたコンドーム専用ウェアラブルデバイス「ゼロワンベルト」。「シンプルに、真面目に使ってほしい」と技術者たちは言う。
(太田智美)
「ゼロワンベルト」デザインラフスケッチなど
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