ゲーム「Overwatch」の二次創作ポルノが大盛況 → Blizzard公式が対応に乗り出し、次々と動画を削除する事態に

「特定のジャンルだけを恣意的に削除している」として、一部のファンから批判も。

» 2016年06月03日 00時03分 公開
[Ritsuko KawaiAUTOMATON]
AUTOMATON


Overwatch

 海外のアダルト動画共有サイトPornhubに投稿されていた「Overwatch」の二次創作ポルノが次々と姿を消している。先日、オープンベータテストの実施を皮切りに、同サイトにおけるキーワード検索率が急上昇したことで、Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)が対応に乗り出したものと思われる。実際にPornhubへ作品を投稿していたユーザーが、権利者の申し立てによる削除通知を運営元から受け取ったことを、フォーラムサイトにて明らかにした。この件について、二次創作は決してポルノコンテンツに限ったことではないにも関わらず、Blizzardが特定のジャンルだけを恣意的に削除しているとして、一部のファンから批判が集中している。



狙い撃ちは反進歩主義へのアンチテーゼ

 「Overwatch」は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けに開発している十数年ぶりの完全新規タイトルとなる。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。先日、5月24日の発売に先立って実施されたパブリックテストをきっかけに、ポルノサイトにおけるキーワード検索率が通常時の817%に跳ね上がったことが話題になった。それ以前には、お尻を強調した女性キャラクターのポーズに批判の声が寄せられており、自粛するほど“掻き立てられる”コンテンツとして図らずも絶大なプロモーション効果を生み出したと思われた。しかし、公式の見解は少し異なっていたようだ。

Overwatch Redditに投稿された削除通知

 フォーラムサイトRedditに近況を報告したPornhubユーザーによると、「SFM」(Source Film Makerの略、Valve CorporationがSteamを通して無料で提供している3DCGソフトウェア)で制作した「Overwatch」関連のアダルト動画が、権利者の申し立てにより複数削除されたとのこと。運営元から届いたという通知を公開しており、BlizzardがDMCA(Digital Millennium Copyright Act=デジタルミレニアム著作権法、2000年にアメリカで施行された連邦法)を適用し、対応に乗り出したことを示唆している。また、別の証拠画像では、他のアーティストもTumblrで同様の処分を受けたことを明らかにしている。

 続けて、「学校でトレーサーの絵を描いたら、Blizzardが来て取り上げてしまうようなものだ。彼らはユーザーに見て欲しいコンテンツを恣意的に選択している。みんながこれに納得いくんだったら、それも仕方ない。Asari(Mass Effectシリーズに登場する宇宙人)にあんなことやこんなことをする作業に戻るよ。だけど、もしこのタイプの動画やその他のBlizzard関連コンテンツが好きなら、ネットを巡回してまで見て欲しいコンテンツを選定するような取締り行為を止めるよう、Blizzardへ抗議するべきだ」と、全てのファンに呼びかけた。ちなみに、削除されたのは「トレーサー」や「ウィドウメイカー」の“ふたなり”である。キーワード検索率で第3位の人気ジャンルだった。現在、Pornhubでは「Overwatch」関連のえっちな動画や画像は軒並み削除されているが、一部は業界メディアKotakuが紹介した記事(職場での閲覧注意)で今でも確認できる。

Overwatch 以前、お尻騒動で差し替えられた勝利ポーズ Image Credit: Blizzplanet

 特筆すべきは、Blizzardが全ての二次創作物に対してDMCAを適用しているわけではない点だ。情報を提供したユーザーも、アダルト動画を削除されたこと自体を批判しているわけではなく、Blizzardが特定のジャンルだけを狙い撃ちにしているという事実が問題であると述べている。海外メディアでは、ゲームデータからキャラクターモデルをそのまま抜き出していることが理由ではないかと指摘する報道も見受けられるが、作者はこれを一部否定している。そもそも服を脱がされて破廉恥な格好をさせられている時点で、そのほとんどは動画編集する前に大幅に加工されたものであり、オリジナルとは程遠い存在という言い分だ。また、二次創作が著作権の侵害にあたるという理由で削除するのは至極妥当な判断だが、それならファンアートやトリビュート動画といったポルノ以外の全てのコンテンツにも、同様の申し立てを行うべきではないかと反論している。

 確かに、ポルノアーティストの主張も一理あるかもしれないが、Blizzardが女性キャラクターの描写における多様性を尊重していることを鑑みれば、今回の対応にも説明がつく。以前、「トレーサー」のお尻騒動を報じた際にも論じたように、女性観への同社のポリシーは微塵もブレていない。「Gamergate」という思想運動がネットの海に蔓延し、一部で脅迫事件や殺害予告にまで発展していたころから、Blizzardは進歩主義に歩み寄る姿勢を明確にしていた。レイプをテーマにしたアダルト動画をはじめ、女性キャラクターを性的玩具として扱うポルノコンテンツが決して少なくないように、成人向け二次創作物の存在そのものが反進歩主義と受け取られても仕方がないのではないだろうか。今回の対応もまた、ミソジニーへのアンチテーゼに思えてならない。


関連記事


関連キーワード

動画 | 2次創作 | 批判 | ゲーム | 著作権


Copyright (C) AUTOMATON. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  5. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/14/news038.jpg 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  8. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. /nl/articles/2412/14/news002.jpg 【今日の難読漢字】「男衾」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/15/news024.jpg おじいちゃん「昔はモテた」→孫は信じていなかったが…… “今では想像できない”当時の姿が140万再生「映画スターのよう」【米】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」