小島監督や宮本茂のソックリさんがゲーム業界の“偉い人”と戦うゲーム、Kickstarterで出資募集中
宮本茂のそっくりさんはストレッチゴール達成で追加予定だそう。
スペイン・マドリッドのインディーデベロッパーUnderdog Studiosは、有名クリエイターが邪悪に満ちたゲーム業界に立ち向かう2Dプラットフォーマー『Dawn of the Devs』のKickstarterキャンペーンを開始した。小島監督やCliff Bleszinski氏、Tim Schafer氏といった実在のゲーム開発者をモデルにしたとしか思えないキャラクターが特徴で、それぞれの個性に応じた能力はもちろん、世界観の設定にも業界ネタがユーモラスに盛り込まれている。クラウドファンディングが始まるやいなや、早速本人たちの目にも留まったようで、ソーシャルメディアに投稿されたリアクションが脚光を浴びている。
ゲーム業界を邪悪な権力者から守るために
『Dawn of the Devs』は、パズル・アクション・ステルス要素がふんだんに散りばめられた古き良き時代の2Dプラットフォーマー。プレイアブルキャラクターには、それぞれ“モデルにしていると思われる”著名人の特徴や、代表作に基づいた特殊能力があり、謎解きや状況にあわせて自由に切り替えられる。物語の舞台は、ダークサイドに堕ちた異世界のゲーム業界「Wicked World of Gaming」(イジワルなゲームの世界)。ゲーム業界のレジェンドと呼ばれる3人の賢者「Tom Schiffer」「Biff Klozinski」「Hiro Komiya」は、“ロサンゼルスの有名なゲームイベント”の最中に、突如パラレルワールドに迷い込んでしまう。そこは“悪意のある偉い人”「Chief Evil Overlord」(通称、C.E.O.)によって荒廃した裏の世界。「C.E.O.」は、その権力によってゲーム業界のありとあらゆる“ダメなところ”を増長させ、現実世界のゲーム業界までも滅ぼそうと挙兵を企んでいる。
特筆すべきは、現実のゲーム業界ネタを皮肉たっぷりのユーモアで風刺した世界観だ。「Wicked World of Gaming」は、ファンタジー世界とゲーム業界が融合した空間で、エリアごとにゲーム業界の“闇”を独特のタッチで描いている。皮肉の賢人「The Meta-Critic」が支配するクソゲー・廃業ストアの墓場「Gameyard」や、違法に入手・コピーしたゲームで金を稼ぐ海賊「Copyrates」の楽園「The Pirate Harbor」、ステンドグラスに描かれたゲームキャラクターたちが神格化され、「Zombie Fanboy」たちによって信仰の対象として崇められている聖なる寺院「Console and Computer Church」(通称、C3)など、ゲーム関連のフォーラムで話題に挙げられるトピックばかりだ。もちろん、登場人物も個性豊かな面々が揃っている。
「Tom Schiffer」は、ポイント&クリックアドベンチャーの黄金時代に「WaltonArts Games」で名を馳せたゲームデザイナー。現在は、「Two Headed Productions」を設立し、クリエイティブ・ディレクターを務めている。彼の固有スキルは、「Adventure Game Cursor」と「Adventure Game Inventory」。古き良き時代のゲームカーソルを操作して画面上のオブジェクトへ自由に干渉できるほか、容量無限の“異空間”に何でも放り込める。それにしても、元LucasArts Entertainment所属で、Double Fine Productionsの設立者として、『Grim Fandango』や『Psychonauts』の代表作で知られるゲームデザイナー、Tim Schafer氏にそっくりである
「Biff Klozinski」は、SFサードパーソン・シューターというジャンルの草分け的な存在「Bolts of Battle」の生みの親にして、「Chieflock Productions」の創設者。昔のニックネーム“Biffy K”で呼ばれるのを嫌っている。彼の特徴は、「Bolts of Battle」を象徴する重火器「Blazer」。極めて高い連射率と破壊力で敵の軍勢「Zombie Fanboy」や「Meta-Critic Cultist」を木っ端微塵に粉砕する。また、銃身に取り付けたチタニウム製のチェーンソーで、行く手を遮る障害物を難なく切り刻める。どこからどう見ても、元Epic GamesのリードデザイナーCliff Bleszinski氏(通称、Cliffy B)の代表作『Gears of War』に登場するランサー・アサルトライフルである。
「Hiro Komiya」(通称、Komiya-san)は日本を代表するゲーム賢者の一人。タクティカル・アクションゲーム「Steele: Stealth Spy」を世に送り出した。物語重視の作品の数々は、彼が愛してやまない映画とフィクション作品に対するリスペクトそのものだと言われている。最近では、自身のゲームスタジオ「Komiya Productions」を立ち上げた。彼の得意分野は、ダンボール箱を駆使した隠密行動。代表作「Steele: Stealth Spy」のアイデンティティともいえるアイテムを被って敵の目を掻い潜る。また、ダンボール箱の内側をノックすることで、敵の注意を逸したりトラップに誘導したりと、“無能兵”たちを翻弄できる。髪型といい眼鏡といい、「コジマ・イズ・ゴッド! コジマ・イズ・ゴッド!」と言わざるを得ない。
クラウドファンディングの最低目標額は6万5000ドル。記事執筆現在、キャンペーン残り28日で、すでに454人の支援者から1万ドルほどの出資が集まっている。また、ストレッチゴールとして、7万ドルで新キャラクター「Milo Devareux」(Peter Molyneux氏のそっくりさん)、7万5000ドルで「Nick Gable」(ゲイブ)、8万5000ドルで「Shiro Miyata」(マリオシリーズやゼルダの伝説を生んだ宮本茂氏に瓜二つ)の追加を予定。プロジェクトは、2018年11月の発売を目処に進行している。なお、SteamおよびGOGにてPC向けのリリースを目指しているが、10万ドルの調達を達成した暁には、PlayStation 4およびXbox One版の開発も視野に入れているとのことだ。
ユーモラスなパロディの存在感は、もちろん本人たちの目にも留まっている。Cliff Bleszinski氏は、自身のTwitterでプロジェクトを紹介すると共に、Tim Schafer氏や小島秀夫氏へ早速シェア。Underdog Studiosは本人たちに許可を取っていなかったようだが、開発中止に追い込まれることを危惧したファンに対して、Bleszinski氏は「パロディだから」と寛容な姿勢を見せている。また、Schafer氏は、自身がモデルになっていると思われる主人公「Tom Schiffer」について、「なかなかセクシーじゃん」とコメントしている。無事目標額を達成し、本人たちからも絶賛される作品として世に送り出されることを期待したい。
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小島監督が新たに設立する「コジマプロダクション」の第1作目はPS4向けとなる。
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