国民生活センターが「水素水」を調査 水素が表記より少ない例や、まったく入っていない製品が明るみに

事業者対象のアンケートでは、「期待できる効果は『水分補給』」との回答が最多に。

» 2016年12月16日 17時50分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 国民生活センターが、水素水およびその生成器の調査を実施した。水素がパッケージの表記よりも少ない、あるいはまったく入っていないといった結果が明かされている(以下、同センターの資料より引用)。


公式発表 公式発表

 「開封時に水素が抜けているのでは」「生成器で本当に水素水が作れるのか」といった相談が、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)へ2011年度以来2260件も寄せられているという。これを受けて同センターは、大手の量販店や通販サイトなどで「売れている」とされる容器入り水素水10銘柄、生成器9銘柄を対象に試験を行った。


相談件数 年々増加している、水素水関連の相談件数

水素水 対象となった容器入り水素水。アルミパウチ、アルミボトル、ペットボトルと、容器の異なる10銘柄を調査

生成器 生成器は形態の異なる9銘柄を調査

 容器入り水素水10銘柄中7銘柄には、「高濃度」「水素たっぷり」など水素濃度の高さをうたう表記や、濃度の数値を表記。しかし開封時の濃度を調査した結果、表記通りに水素が検出されたものは3銘柄のみ。パッケージに濃度表記のない3銘柄のうち、ペットボトル入りの2銘柄からは、まったく水素が検出されなかったという。


水素濃度調査 2種類の方式で水素濃度を測定。製品の表記(色つきの帯)の範囲内に、検出濃度(◇と□)が完全に収まる製品は3銘柄のみ

 開封時に水素が検出された8銘柄を未開封のまま20度で1カ月保管し、あらためて調査したところ、全銘柄で濃度がやや低下したとの結果も。開封後にフタを閉めて放置した場合、濃度が5時間後には30〜60%、24時間後には10%程度に低下することも判明した。


濃度変化 1カ月間の保管による水素濃度の変化

濃度変化 開封後の水素濃度の変化。24時間が経過すると、水素はほぼ失われる。アルミパウチ容器の6銘柄の場合、空気を抜いてフタを閉めれば水素の減少は抑えられている

 生成器の試験では、各銘柄のマニュアルに従って水素水を3回生成し水素濃度を調査。濃度表示のあった5銘柄のうち3銘柄は、濃度が表記を下回る結果となった。また、生成器から水をコップに移し、約20度の室温で放置すると、1時間後には濃度が元の50〜60%程度に低下した。


生成器調査 生成器で作った水素水も、同様に2種類の方式で測定。表示通りに水素を生成できる製品はわずかといえる。なお、蛇口に直結して水道水を連続で流しつつ生成するタイプでは、およそ目安通りの数値が出ている

経時変化 生成器で作った水素水も、生成直後から1時間で水素がほぼ半減する

 同センターは販売元のサイトも調査し、水素や水素水に期待されている効能・効果に関する記載を多くの銘柄で確認。なかには「さまざまな病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化」「アトピーに 痒い部分に水素水をつけてください」など、健康保持増進効果と受け取れるものもあり、医薬品医療機器等法や健康増進法に抵触するおそれありと指摘している。

 販売事業者を対象にしたアンケートも実施し、水素水の製法などを確認した。引用時の注意点については、開封後や生成後はすみやかに飲むとの回答が多数。飲用により期待できる効果としては、「ダイエット」「疲労回復」「美容」を挙げる事業者もあったが、「水分補給」とする回答が最多となっている。


アンケート 水素水に期待できる効果に関する回答の集計。具体的な効果を挙げるものは少なく、当然といえば当然である「水分補給」との回答が最多に

 国民生活センターは総括として、水素水には公的な定義がなく、特定保健用食品や機能性表示食品として許可・届出された製品もないことを強調。消費者にはパッケージ表記通りの水素が得られないケースや、時間経過により水素が抜けることを挙げアドバイスとした。事業者に対しては、水素濃度の表記や違法のおそれのある広告について、改善を求めている。


(沓澤真二)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた