田口トモロヲ、悪の総帥になるため毎日緑の液体を飲み続ける ドラマ「バイプレイヤーズ」第4話:ねとらぼレビュー
結局あの緑の液体はなんだったのか……。
テレビ東京のドラマ24「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」。第4話は「バイプレイヤーとアクション」。
2話が刑事モノ、3話が不倫恋愛モノときて、4話が特撮アクション。出演するドラマ形態がバラエティ豊かに。
今までのおさらい
名脇役で知られる俳優さん6人の性格をデフォルメしながら、本人が本人を演じるドラマ。3カ月のシェアハウス生活をすることになった、遠藤憲一さん、大杉漣さん、田口トモロヲさん、寺島進さん、松重豊さん、光石研さん。50代以上の大御所バイプレイヤーです。10年前に自主制作映画「バイプレイヤーズ」でケンカして空中分解したものの、大杉さんを中心にそこそこ仲良く共同生活が続いています。
今回は架空の特撮作品「孤独戦士サムライ嬢」に、田口さんと寺島さんが出演。二人は敵同士として演技します。
「わけ分かんない」ヤツ、田口トモロヲさん
後半に流れる、完成した「サムライ嬢」の清水富美加さん、田口さん、寺島さんの殺陣シーンは、息がピッタリでかっこいい。「蒲田行進曲」を彷彿(ほうふつ)とさせる、階段落ちもばっちりです。「バイプレイヤーズ」内のドラマ撮影で、ちゃんと最後まで完成したの初めてでは。
「サムライ嬢」は清水さんと田口さんがずーっと出ていた番組(今回の撮影は劇場版)。寺島さんは劇場版で初めて、サムライ嬢の師匠役ホクホクサイとして参加。現場で自分と違う演技思想の持ち主「悪の総統ドクターゲルゲ役・田口トモロヲ」を目にします。
田口「ゲルゲ的には、ここを切られてもドクターゲルゲの肩は改造された超合金なんで」「あの、ドクターゲルゲは、サムライ嬢を倒すために復讐心を抱えてたんですよね、その感情を変異させた方がいいですか? ホクホクサイを斬る必然性が、ゲルゲ内に見つかんなくて……」「ドクターゲルゲはすべての遺伝子を受け継いで、全身改造してるんですよね? 今ぐらいの一撃で、落ちる……?」
周囲もさすがに、この理論には困惑。監督も設定練り直しでてんてこ舞い。撮影が一行に進まない。寺島さんもキレる……のですが、田口さんの奇行に少し思うところがありました。彼はアクションが面倒くさいからという理由で、文句を言うような男ではないはずだ。
10年前の「バイプレイヤーズ」撮影の時、田口さんは「自分の役」になりきったがゆえに、このキャラクターならこういう行動を取るはず、とのめりこんで高所から飛び降り、大怪我をしました。
だから寺島さん、田口さんに何かあるのだと勘付きます。清水さんも同じで、最初は焦っていましたが、わかっているので口出ししません。
清水「役作りがすごすぎるなーって……。だって、あのヘドロみたいな飲み物、あれゲルゲエキスですよね、ゲルゲ色で。トモロヲさん、撮影中あれしか飲まないんですよ。あれを主食にしているっていう設定なんで」
まさかの、1話での謎ドリンク伏線回収。あれは役作りのゲルゲドリンクだった! 青汁だと思ってたよ!(んであれなんなんだろう?)
それも含めて、寺島さんの「あいつわけ分かんない」の言葉に重みが出てきます。
役作りは一通りではない
「役作り」にはいろいろな形があります。作中の寺島さんは「パッション」で表現する直感派。そして田口トモロヲさんは、徹底して突き詰めて役にのめりこむ理論派。
理論だてて解釈し、自分をキャラクターに近づけていくスタイルの役者です。毎日の食事からゲルゲエキスを飲み、深夜に奇声をあげて殺陣の練習をし、どういう設定の存在か考え、ゲルゲ的なアクションをずーっとシミュレートしている。
だから、自分がつかんだゲルゲと噛み合わない、納得できないアクションの時、戸惑う。ゲルゲが改造された肩の部分切られるのはおかしい、というのは確かにその通り。もっとも、理屈じゃないと言われたらそうなんだけど、彼は受け入れられなかった。
ぶっちゃけこのこだわりは、整合性優先でシナリオをぶっ壊すものなので、現場によっては厄介です。これはラストの「バイプレトーク(こちらは本物の本人トーク)」でも、映画監督もやっている田口さんの談で聞くことができます。
田口トモロヲ(本人)「4話で書かれている人は、めんどくさい」「芝居ってキャッチボールだから、相手があってのことだから、自分の中で構築しても、他人の風に吹かれていかないと」
作中の田口さんは確かに問題児。それでも、寺島さんが田口さんに付き合い続けたのは、田口さんの天才性、狂気的役作りを分かっていたから。「分かんない」は、ここまでのめりこめる彼への褒め言葉でした。
一緒にゲルゲを追求しはじめます。小馬鹿にしていたフィギュアゲルゲーション(シミュレーションのこと)にも全力で付き合います。なぜゲルゲはホクホクサイを斬るのか。その理由を2人で突き詰めた結果、田口さんの理解がカチッとハマる。殺陣はお互いの共通認識ができて、はじめていいものになる。
寺島「高いところはさーちょっと」
田口「一緒に立てば怖くない!」
寺島「やだっつってんだバカヤロー!」
田口「うるせえこのやろう、年上だぞ! やれこのやろう!」
プロフェッショナルの視線であると同時に、大人による最強のごっこ遊び。後半の2人、目がキラキラしています。
撮影後、寺島さんが呼び捨てではなく「トモロヲさん、お疲れ様でした」と敬意を払うシーン。それに対して股間をつかむ田口さんの飄々(ひょうひょう)とした感じ。どこまで本気なんだろう田口トモロヲさん。そういえば1話で、ラジオドラマなのに太陽の役づくりをするため、素っ裸になってたのも、今思えば本気だったんだなー。
みんな超仲良しだな!
シェアハウス生活が始まってからそこそこ日がたって。一緒に住んでいる6人とジャスミン、今回は豆まきをしていました。
仲良すぎでしょ。入居時はこんなんじゃなかったよ?
その後もリビングで、遠藤さんと光石さんとジャスミンはボール遊び、大杉さんはフラフープ、松重さんは掃除機掛け(節分の後片付けか?)と、和やか。ジャスミンがいるからとはいえ、そもそも遊び道具が家にあるって。
そもそも大杉さんが監視していたとか仲間に明かして、なんでケンカにならないんだろう? と不思議だったのですが、こんなに仲良かったらケンカになんてならないわけだ。なかばバレてましたし。寺島さんが木刀持ってたときはちょっとゾッとしましたけど、寺島さん優しいから……。
5話はまさかの、青春学園ものMV。「ドキドキ大好き! フケメン(はーと)パラダイス」て。バイプレイヤーズ6人の学生服姿、かなーりキュンキュンきます。中年俳優ファン、卒倒の予感。
(たまごまご)
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