まるで「ポパイ」の世界みたい ホウレンソウから心臓を作り出す技術、米ウースター工科大が発見

現在の科学技術では作れない毛細血管のような物質が、ホウレンソウで代用できる?

» 2017年03月30日 22時10分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 ホウレンソウがスーパーパワーを発揮するのは、どうも海外の漫画「ポパイ」の世界だけではなさそう。米ウースター工科大学(WPI)はこのほど、ホウレンソウの葉脈を使って心臓の組織を作る方法を発見したと発表しました。損傷した臓器や組織を修復する上で根本的な課題を解決するカギとなるとしています。

ホウレンソウ 心臓 ホウレンソウの葉から植物細胞を除去し、葉脈に人間の体液などを流し込んでいる様子

WPIの発表動画

 これまで3D印刷を含むバイオエンジニアリング技術では、血管のネットワークを毛細血管レベルまで作り出すことは不可能でした。そこでWPIやウィスコンシン・マディソン大学の合同研究チームは、植物や動物の血管ネットワーク構造には驚くべき類似点があることに注目。

ホウレンソウ 心臓 そこで目を付けたのがホウレンソウ

 チームは一連の実験で、ホウレンソウの葉っぱから、葉脈に洗剤溶液を流して植物細胞を全て除去しました。残ったのはセルロースを主成分とする骨格で、人間には無害の天然物質でできています。これにヒトの心臓細胞を培養。葉脈に人間の血液細胞と同じ大きさのマイクロビーズと体液を流し、我々の血管を取り巻くヒト細胞を葉脈に蒔(ま)きつけることに成功しました。

ホウレンソウ 心臓 ホウレンソウの葉から植物細胞を除去していく過程

ホウレンソウ 心臓 セルロースを主成分とする骨格が残る

ホウレンソウ 心臓 葉脈を通してヒト細胞を蒔きつけていった

 これらの概念実証研究は、例えば心臓発作の患者を手術するために、複数枚のホウレンソウの葉を健康的な心筋の層に成長させるのを可能にするものだと、WPIはリリースで述べています。現在も研究は、細胞を除去するプロセスを最適化する方法など、数種類の工程に沿って進められています。

ホウレンソウ 心臓 カトゥーンヒーロー「ポパイ」。ホウレンソウを食べてパワーアップするので有名ですが、現実でもスーパーパワーを与えてくれそうです(画像は雑誌「POPEYE」2016年7月号)

黒木貴啓


関連キーワード

大学 | 動物 | 海外 | 患者 | 科学 | 病気 | 課題解決


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」