参加者は全員黄色い通学帽を着用のこと。「自称6歳以下」しか参加できないボードゲームイベントに行ってきた
6歳以下だから大人げなくゲームするもんね!
先日、自称6歳以下しか参加できないゲーム会へ行ってきた。私は年齢でいえばアラサーと呼ばれる枠に入るが、「自称6歳以下」と言い張れば参加できるのだという。当日、イベント会場には約20人もの「大きな6歳以下」たちが集まっていた。
主催しているのは、高円寺にあるボードゲーム店の「すごろくや」。お店のイベントスペースで、6歳以下でも遊べる簡単なボードゲームやカードゲームを楽しもうというのがこの「自称6歳以下ゲーム会」なのだ。「自称6歳以下の18歳以上」の人々を対象に、現在月1回のペースで開催している。
ちなみに、ボードゲームの世界では、6歳以下でも遊べるゲームを「キッズゲーム」と呼ぶらしい。「6歳以下といっても、実は大人がやっても面白いんです」と、本日のイベントを取り仕切る「すごろくや」の宮本誠さんは言う。みんな6歳以下のため、難しい漢字や英語は読むことはできない。受付で配られた名札に書いていいのは「ひらがな」か「カタカナ」のみ。宮本誠さんも「まこと」と書かれた名札をつけている。6歳児(自称)たちに向けてゲームの遊び方の説明をする宮本さんの姿は、さながら幼稚園の先生のようだった(宮本誠さんは以下、「まこと先生」と表記)。
ゲーム会が開始するまでどことなくよそよそしい雰囲気で同じテーブルの面々にあいさつをする。自称6歳以下のわりには、妙に落ち着いていて、騒ぐ子も泣く子もいない。
なお、このゲーム会では、全員が黄色い通学帽をかぶってゲームをすることが義務付けられている。配られた帽子をかぶると6歳児としての自覚が芽生え始めるのか、参加者が自然と笑顔になっていったのが印象的だった。
※「ドブル」:全員が1枚ずつカードを持つ。人のカードをのぞいて一致する絵柄を見つけたらカードを奪える。最も多くのカードを手に入れた人が優勝(ほかにもさまざまなアレンジルールあり)
「ドブル」「キャプテン・リノ」「そっとおやすみ」といったゲームをやる中で、「りかちゃん大人げなーい!」「大人げなくやるもーん! 6歳以下だもーん!」といった声が飛び交う。このゲーム会では、ひとつのゲームに勝つたびに、まこと先生から飴やチョコなどのお菓子をもらえるのだ。どこのテーブルでも、6歳児たちが自分のキャンディ袋を握りしめながら、ときに汚く、ときにずる賢く、奮闘していた。
ちなみに、手に入れたキャンディーは最後に集計し、トップの人を表彰するのだが、食べたくなったらゲーム中に食べてもOK。ただし、食べてしまった分は集計の際にカウントしてもらえない。
「もらったキャンディーは食べてもいいでーす。我慢できない子もいるよねー?」
と、まこと先生は言う。私も我慢できずに、1つだけ食べてしまった。6歳児にキャンディー食べるのを我慢しろというほうがムチャである。
最終的に私がもらったキャンディーは8個。ただし、途中で1つ食べてしまったため、集計の際には7個としてカウントされた。優勝したひろろんさんは12個。2位のヨシエさんは11個。みんなで「すごーい!」とたたえ、終始和やかな雰囲気でつかの間の6歳児ライフを楽しんだのだった。「大人げなく」と言いながらも、負けてわんわん泣く子もいなければ、怒り出す子もいないのは、やはり“自称”なだけある。
この「自称6歳以下ゲーム会」は次回4月29日で第6回目を迎える。ちなみに、このイベントで黄色い通学帽をかぶるようになったのは第2回目から。第1回目ではテーブルによって盛り上がりに差があったのだが、黄色い帽子を導入して以来、どのテーブルも盛り上がるようになったのだという。「やはり没入感があるのでしょうね。黄色い帽子をかぶって6歳以下になりきることで、前のめりにゲームを楽しむことができるのだと思います」とまこと先生。
我こそは自称6歳以下だという人は、ぜひ参加して大人げなくゲームをしてきてほしい。黄色い帽子をかぶった大人たちが一堂に会し、我を忘れてゲームをする様子も一見の価値ありである。
朝井麻由美(@moyomoyomoyo)。雑誌やWebでコラム連載多数。近著に『「ぼっち」の歩き方』(PHP研究所)、『ひとりっ子の頭ん中』(KADOKAWA中経出版)。一人行動が好きすぎて、一人でBBQをしたり、一人でスイカ割りをしたりしている。
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