おまけ付き菓子の世界に異変? 大人が夢中になるバンダイ「スーパーミニプラ」はなぜ生まれたか (1/2)
2016年にザブングル。
いつの時代も棚の前で駄々をこねる子どもを量産してきた魔性のアイテム、おまけ付き菓子。15年くらい前から「食玩」なんて呼び方も定着してきましたが、基本的にはガムやチョコレート、キャラメルのようなお菓子に、シール、簡単なプラモデル、おもちゃといったおまけ部分がくっついているという商品です。
一番すぐに思い付くのはやっぱりグリコのおまけ。もしくは昔のブーム時にチョコエッグを集めていた、なんていう人もいるのではないでしょうか。
名目上はあくまで子どもをターゲットにしつつ、独自の進歩を遂げてきたおまけ付き菓子の世界。しかし昨年、この前提を根本からひっくり返す異色の商品が発売されたのをご存知でしょうか。
男子の「基礎教養」だったプラモデル
前述した通り、おまけ付き菓子は(特に80年代以降は)本格的なプラモデルへステップアップする前のエントリーモデルとして機能してきた側面があります。70年代あたりまでは男子の基礎教養であり、模型店はおろか文具店や駄菓子屋でも売っていたプラモデル。これらの中にはパーツ点数が少なく作りが単純で、子どもでも簡単に作ることができるものが多数含まれていました。当時はこういう単純なキットを安く買ってきて適当に作って遊んでそのうちに壊す、というのが男子の嗜みだったわけです。
が、時代は変わりプラモデルがそこらじゅうで売っていたのは今や遠い昔。代わって男子が模型作りの基礎をたたき込まれる入り口は、オカンの買い物に連れられて行くスーパーへと場所を移したのです。実際80年代〜90年代前半にかけておまけ付き菓子は隆盛を極めました。これらの商品は80年代前半にはまだ存在していた駄菓子屋の低額プラモとしのぎを削りつつ、独自の進化を重ねたのです。
こうして過去には、多くの名作シリーズが世に送り出されてきました。初代・Z・ZZ・SDなどガンダムの各タイトルのほか、マクロス・エルガイム・オーガス・ドラグナーなど当時のリアルロボット、果ては「流れ星 銀」や「Dr.スランプ アラレちゃん」あたりまで商品化した森永チョコスナック。ビッグワンガム、ボトムズガム、トランスフォーマーガム、勇者シリーズ各タイトルのガムなど、組み立てて遊ぶプラモデル性の強い大型商品を次々に発売したカバヤ食品。10数年にわたり傑作長寿シリーズであるジョイントロボをリリースし続けたロッテ。
これらは内容的にはほとんど「小さいプラモデル」と呼べるものでした。その他にも大小さまざまなメーカーが参入を続けた80年代〜90年代前半のお菓子売り場は、各勢力のロボットやメカが入り乱れる戦場の様相を呈していたのです。このあたりの商品は当時少年だった世代(つまり現在のおっさん)を中心にコレクターズアイテムとしてもそれなりに人気があり、けっこうな高値で取引されているものも多数存在します。
2016年にザブングル――「スーパーミニプラ」の衝撃
そのような戦いを勝ち抜いてきたブランドの1つに、バンダイの「ミニプラ」があります。戦隊ヒーローの乗る巨大ロボットを、その名前の通りミニサイズのプラモデルとして立体化し続けてきたおまけ付き菓子のシリーズで、黄色いロゴは見覚えのある人もいるかも。その歴史は長く、すでに1983年には「科学戦隊ダイナマン」のキットが存在していたとか。もちろん現在まで発売され続けている、息の長いシリーズです。
ミニプラを開発しているのは、プラモデルなどを手掛けるホビー事業部ではなく、バンダイのキャンディ事業部。バンダイの中でも「食」に関する商品を展開する唯一の事業部で、フィギュアやなりきり系のアイテムを扱う「食玩」、ウエハースやチョコスナック、グミやシール付きの菓子などを扱う「菓子」、キャラクターのデコレーションがついたケーキの“キャラデコ”、パン、アイスやシリアルやレトルトなど食べ物を扱う「食品」の3部門に分かれています。平たく言うと、スーパーで売っているキャラクターのパンとか、「○○レンジャーチョコ」みたいなのを作っているのがこの部署。もちろんミニプラは食玩部門の取り扱いとなり、キャンディ事業部と外部の設計スタッフのタッグによって開発されています。
そんなミニプラですが、昨年以来静かな地殻変動の震源としてモデラーを中心におっさんたちの注目を集めています。「スーパーミニプラ」と銘打ち、2016年6月に突如として1982年のアニメ「戦闘メカ ザブングル」に登場するウォーカーマシンを発売したのがその理由。さらに「伝説巨神イデオン」「勇者王ガオガイガー」「恐竜戦隊ジュウレンジャー」と、子どもには絶対通じないであろうネタを立て続けに立体化。
しかも箱を開けてみると部品点数や組み立ての構造などは今までのミニプラの体裁。子ども向けのフォーマットでアラサー以上のおっさん向けタイトルを狙い撃ちにするという、見た目は子ども・頭脳は大人なポジショニングでいきなり攻めてきたわけです。
このスーパーミニプラ、実際に組み立ててみると部品の点数や構造的な割り切り方が程よくて、特に細かいことを考えないなら「もうこれでいいじゃん」という最高の湯加減。日々切った張ったを繰り返すうるさ型のモデラーのおっさんたちもこのちょうど良すぎる温度感にほだされ、「でもなんでいきなりザブングルなんだろ〜な〜?」というほのかな疑問を抱きつつも、ネット上を中心に話題を集めているのです。
というわけで、このスーパーミニプラって一体なに? どこ狙いよ? ていうかいきなりザブングルってどういうこと? という疑問を解消するべく、スカイツリーの真横にあるバンダイキャンディ事業部を訪問。現在スーパーミニプラシリーズの企画・開発にたずさわるバンダイの担当者さんにしつこくお話を伺ってきました!
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