映画「東京喰種」で衣装を手掛けた「クリスチャンダダ」森川マサノリ、カネキマスクのこだわり明かす

原作ファンの森川さんは“怖さ”を求めた。

» 2017年07月25日 12時00分 公開
[西尾泰三ねとらぼ]

 石田スイさんの漫画を実写化した映画「東京喰種 トーキョーグール」の公開が7月29日に迫りました。窪田正孝さん主演で、清水富美加さん、鈴木伸之さん、桜田ひよりさん、蒼井優さん、大泉洋さんらが出演しています。

 人を喰う喰種が「CCG(喰種捜査官)」などから身元を隠すために使用するマスクをはじめ、同作の衣装を手掛けたのが、ファッションブランド「クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)」の代表でデザイナーの森川マサノリさん。洗練された独特のデザインはレディー・ガガがツアー衣装のデザイナーとして選出したこともあるほど。実は原作のファンだという森川さんに製作時のエピソードを聞いてみました。

「クリスチャンダダ」森川マサノリ 「クリスチャンダダ」デザイナー森川マサノリさん

―― 森川さんは原作のファンでもあるとお聞きしました。映画衣装の製作は初かと思いますが、オファーを受けたのは、作品愛からですか?

森川 原作が好きだったというのもありますけど、オファーをいただいて、監督と実際にお会いして話が進みましたね。

―― 映画に登場するマスクは原作と大きくは変わらないデザインですが、デザイナーとしてどんなこだわりを含ませようと思いましたか?

森川 映画は監督と演者が創る映像という屋台骨がある中で、それに足していくイメージです。マスクについて言えば、石田先生はかなりこだわっておられて、原作でもうかなりパンチがあったので、変更する点があまりないかなと思っていたんですが、監督とも話してみて、“怖さ”を出すことを念頭に置きました。

作中のカネキ 作中のカネキ (C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

―― 窪田さん演じるカネキが着用する「カネキマスク」は原作でもフェティッシュですが、それと比べると歯の部分が鋭くなってたりしますよね。

森川 そうですね。コスプレなどだとそこはアクリルなどで原作に近いものを作られている方が多いのですが、映画では“怖さ”を出したいと思っていたので牙に、それも本物の鮫の歯から型を抜いて作りました。マスクの形成も平面というよりは、般若の面みたいな立体を取り入れたり、背骨を模したシルバーのデザインやムカデのイメージで赤いラインを入れたりしながら試行錯誤して作り上げました。

―― もうそれ作中でいうウタじゃないですか。

森川 「僕がウタだったらこう作りたいな」とか考えてましたから。マスクに関してはウタの気持ちで(笑)。

カネキマスク 映画のカネキマスク

東京喰種東京喰種東京喰種

―― とってもカッコイイです。ほしい……。

森川 これは石こうで型を抜いたオートクチュールに近い窪田さんサイズなので、なかなか入る人がいないですけどね。かなり小さい顔なので、彼。

―― 清水さん演じるトーカはウサギのマスクを付けますが、こちらも同じようなこだわりが?

森川 カネキマスクがフィット感など機能性も重視したのと比べると、ラビットの方は質感を重視しましたね。後はファンタジーっぽいイメージを強調したり。トーカに関しては戦闘服も具体的なイメージが僕にはあまりなかったので、僕が感じるイメージを監督に提案したりして進めました。

東京喰種 ラビット (C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

―― そういえば、羽赫持ちのトーカは、戦闘服も肩の部分が空いたデザインでしたね。カネキは鱗赫持ちで、腰辺りから赫子が出ますけど、服飾的にはどうしたんですか?

森川 トーカはもともと喰種なので、戦闘服も赫子を使うことを想定したものですけど、カネキに関しては、急に喰種になった存在で、かつ大学生ということもあって、その設定を崩さないような服飾にしました。

東京喰種 (C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

―― 一方で、CCGのコートは特徴的なデザインですよね。

森川 マスクはもちろんですけど、コートもデザインには時間がかかりましたね。CCGって、警察でも軍隊でもない、いわば特殊部隊じゃないですか。だから昔の軍モノなどにインスピレーションを受けながら、フューチャリスティックなものを作れたらという気持ちはありました。特に、真戸の“はみ出し者”感をどう出していくかに腐心しましたね。監督や演者とコミュニケーションしながらくたびれたレザーを使ったりして作り上げました。

―― 原作もよくご存じだということでお聞きしたいのですが、『東京喰種』にはたくさんのキャラクターが登場しますよね。森川さんがデザインを手掛けてみたいと思ったキャラは?

森川 ウタ、それと“白カネキ”ですね。ただの大学生だったカネキが退廃的なイメージに変わっていく様とかいいですよね。

―― とってもいいですよね。最後に一言いただけますか。

森川 それぞれのキャストの皆さん、特に窪田君は難しい役だったと思いますが、僕みたいな原作ファンからみても、カネキそのものなんじゃないかと思うくらい。全体的に、原作とはまた違うというか、映画「東京喰種」の世界観がしっかりと作られた作品になっていると思います。

 クリスチャンダダは親会社がシンガポールなんですけど、社内でも「東京喰種のデザインやってるんだ」とザワザワしたり、公開を楽しみに待っているみたいで。Instagramを見ているとすごいコスプレしている方が欧米などにもいたりして、世界でも注目されるのではないかと思います。楽しんでいただけたら。

CHRISTIAN DADA 森川マサノリ

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