ふるさと納税で「ゲームに出演」「ドット絵になれる」 2日で品切れ、日本一ソフトウェア×各務原の返礼品はなぜ生まれた

各務原市のふるさと納税で人気を集めた、日本ソフトウェアの変わった返礼品。企画の経緯を市と企業に取材しました。

» 2017年07月25日 11時00分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 「ゲーム風のドット絵を描いてもらえる権利」に「新作ゲームに登場する権利」。寄付額に応じてさまざまな返礼品がもらえる「ふるさと納税制度」で6月末、岐阜県各務原(かかみがはら)市に登場した“ゲームメーカーならではの返礼品”が大きな反響を呼びました。

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利」

 提供したのは、「魔界戦記ディスガイア」「勇者死す。」などを生み出したゲームメーカー、日本一ソフトウェア。各務原市に20年以上本社を置くことから、ふるさと納税の返礼品に次の5種類を用意したところ、わずか2日で4種類が品切れになるなど人気に。

  • 日本一ソフトウェア・新作ゲームソフトのスタッフロールに掲載される権利(2万円コース)
  • 日本一ソフトウェアの発売前タイトルを体験できる権利(10万円コース、品切れ)
  • 日本一ソフトウェア・ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利(〃、品切れ)
  • 日本一ソフトウェアのデザイナーにミニキャラを描いてもらえる権利(〃、品切れ)
  • 日本一ソフトウェアの新作ゲームに登場する権利(20万円コース、品切れ)
ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「デザイナーにミニキャラを描いてもらえる権利」

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 「新作ゲームに登場する権利」。ホラーゲームでしたがこちらも品切れに

 ふるさと納税では「ご当地ヒーローになれる券」「オホーツク海の流氷」などユニークな返礼品が多く存在しますが、今回の日本一ソフトウェアの品はまさにゲームメーカーしかかなえられない魅力的なものばかり。4月から総務省がNGとしていた「金銭類似性の高いもの」「資産性の高いもの」からも外れる内容です。すぐ品切れとなっただけでなく、ネットでは「これは面白い」「貯金崩してでも20万納税したい」とその企画性が評判となりました。

 企業と自治体、双方のPRにもつながった、ふるさと納税の好例といえる返礼品。どのように生まれたのでしょうか。

 もともと日本一ソフトウェアは、各務原市でふるさと納税が始まったころから返礼品として自社のゲームソフトを提供してきました。今回の返礼品を提案したのも同社から。営業部の担当者・佐橋直幸さんは、各務原市との関わりについて次のように話します。

 「普通、ゲームメーカーの本社は東京や大阪など都市部に多いですが、うちは前身の企業(リズム企画)が立ち上がってからずっと各務原です。その分地域に根ざしながら、各務原にいろいろ還元したい思いもあって、6年前から市内の全小学校に毎年、弊社のマスコットキャラ・プリニーを模した防犯ブザーを配布したり、岐阜のゆるキャライベントに参加したりしてきました」

ふるさと納税 返礼品 各務原 ゲーム 来年7月に日本一ソフトウェアは25周年を迎える(特設サイトより)。真ん中にいるキャラがプリニー

 「最近も市のイベントや施策に参加する機会が増え、弊社としてもますます地域貢献に力を入れようと考えていたところでした。ふるさと納税の返礼品もゲームソフトが中心でしたが、もっとゲーム会社らしくエンターテインメント性に富んだものを社内や市の担当者と考えていった結果、今回の返礼品を出すことになった次第です」

 ただ、いずれも思い付いたからとはいえ簡単に返礼品にできるものではありません。

 「タイミングが合わないとなかなか提案できないものであります。特に『ゲームに出演する権利』となると開発との絡みも大きく難しいのですが、今回はホラー系の新作タイトルとたまたまタイミングが合ったので提供することができました。ドット絵・イラストを描いてもらえる権利も、デザイナーのスケジュール次第にはなりますがお願いすることができました」(佐橋さん)

 返礼品は6月23日12時に発表され、SNSで大きな話題に。2万円コース以外の4種は1人ずつ限定とはいえ高額、にもかかわらず、「ゲームに登場する権利」「ディスガイア風ドット絵を描いてもらえる権利」は翌日、「ミニキャラを描いてもらえる権利」「発売前タイトルを体験できる権利」は2日後に品切れとなりました。

 「ふるさと納税でも前例がない品なので様子見のつもりで提供したところ、想像以上の盛り上がりが見られたのでうれしかったです。SNSでも『こういう返礼品はうれしい』という声を見かけてほっとしました。返礼品にはまだエンタメ性に富んだ商品が少ないので、今後もみなさんに喜んでもらえるような、ゲーム会社ならではの品を出したいと思います」(佐橋さん)

 市のふるさと納税担当者も、予想以上の反響に驚くと同時に、「多くの方に各務原市や日本一ソフトウェアを知ってもらえたことが何よりうれしい」と喜びの声を寄せています。

 「返礼品は単なる資金集めと考えず、純粋に『各務原市にしかできない返礼品はなんだろう?』ということを普段から心がけています。自分自身ゲームをしますが、その世界の一部として登場できるというのは憧れです。ゲーム制作会社のデザイナーが自分のためにキャラをデザインしてくれるというのも、お願いしてもできないことです。他にもふるさと納税でしか体験できないような返礼品を用意できるよう、日本一ソフトウェアと検討していきたいと考えています」(各務原市担当者)

 なお、ドット絵/ミニキャラを描いてもらえる権利は、日本一ソフトウェアの準備が整い次第、1人ずつ限定で受付再開する予定とのこと。

 各務原に還元しよう、各務原の魅力を発信しようと、“ふるさと”に対し企業と自治体が互いに真っすぐ取り組んだことから生まれた、ユニークな返礼品。いつかディスガイアに出られる日が来たりして……と夢想しつつ、今後も各務原のふるさと納税の展開に期待が寄せられます。

黒木貴啓


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/10/news102.jpg 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  2. /nl/articles/2412/09/news188.jpg 結婚発表の高畑充希、「いつ恋」共演の有村架純と2ショット “プレートの文字”に注目するファンも「ただただ尊い」
  3. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  4. /nl/articles/2412/09/news172.jpg 市川團十郎、亡妻・小林麻央さんが着用していた服を長女が着られるようになったと報告「よく似てる」 そっくりな姿を投稿
  5. /nl/articles/2412/10/news163.jpg 「えーー」「衝撃!」「食べれるんですか!?」 大沢たかお、“まさかの食事風景”にファンびっくり 「明日は雪かな」
  6. /nl/articles/2412/09/news049.jpg 道端で凍える野良子猫を保護→病院で安楽死を勧められるも…… 1年後の姿に感動「救ってくれてありがとう」【海外】
  7. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  8. /nl/articles/2412/09/news063.jpg 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  9. /nl/articles/2412/10/news160.jpg 「マニアックすぎw」とざわつくも“1分で完売”の最新ガンプラ話題 「この令和の世に??」「珍しいヤツだから普通に欲しい」
  10. /nl/articles/2412/10/news032.jpg 黒留袖をざっくり切って大胆リメイクしたら…… 完成した“普段使いのオシャレアイテム”に「感動しました」「素敵!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」