ウナギ蒲焼そっくりのカマボコ「うな次郎」、丑の日に「再現度ヤバイ」と話題に ほろほろ食感の秘密は

製造している一正蒲鉾に取材しました。

» 2017年07月25日 23時40分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 土用丑の日となった7月25日。風習にのっとりウナギを食べたいところですが、ウナギは絶滅の危機にひんしているので何か代わりの物を食べるべきだ、という意見がTwitterで数多くあがりました。

 そんな中、代用品として注目を浴びているのが「うなる美味しさ うな次郎」。新潟の一正蒲鉾が販売している、ウナギの蒲焼をイメージした魚のすり身で作った練り製品です。発売されたのは昨年(2016年)6月30日ですが、Twitterではこの土用丑の日に合わせて、「本当にウナギっぽい」「半分くらいの人は本物と間違えるのでは」と、食べてみた人から再現度の高さに驚く声が相次いで投稿されています。

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 「うな次郎」。ウナギの蒲焼に見えて、実は魚のすり身です

うな次郎、実食

 編集部でも「うな次郎」を入手してみました。1パック、“疑似ウナギ”2枚入りで328円(税別)。見た目は確かにウナギの蒲焼……ちゃんと裏の黒い皮も再現されていて芸が細かいです。レンジで温めご飯にのせ、付属のタレと山椒をかけていただきます。

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 レンジでチンしてから、開封。うおお、ふっくら具合とタレの匂いがすでにウナギっぽい

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 裏側の皮の焼け具合も、かなりリアル

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 いただきまーす!

 一口目で「ウナギだこれ!」と声をあげてしまいました。口の中でふっくらした身がほろほろふわふわ崩れていく食感が、まさにウナギの蒲焼そのもの。皮の部分も、箸で多少引っ張ってもちぎれない弾力の強さでこれまたリアルです。

 味は、魚のすり身ならではの甘さがあり、ウナギ特有の脂のうまみがなく、ウナギとはいい難いです。それでもタレや山椒でごまかしが効くので、多くの人がウナギの代わりとして楽しめるのではないでしょうか。カニカマのように、全ての魚は練り製品で再現できるというのか……!?

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 クオリティ高いぞこれ……!

 他6人に食べてもらったところ、5人が「ウナギの代用品としていける」と好反応。「8割ウナギかもしれない。ジェネリックウナギ(誤用)」「卵でとじたらもう本物と変わらないのでは」「売れて知名度が上がってどのスーパーでも手に入るようになってほしい」。味は本物ほどではないとはいえ、皆その食感の再現度を評価していました。

 ネットでは他にも「油で焼いてみたらリアリティが増した」など、ウナギに近い食べ方を追求する人も現れていました。発売2年目ですが、「うな次郎」はその支持者をウナギ昇りで増やしているようです。

担当者「うな次郎は進化している最中」

 今年で創業50周年を迎える一正蒲鉾は、スティックタイプのカニカマ「オホーツク」がロングセラーを記録している、カニカマ業界の最大手です。近年になって、なぜこのような“疑似ウナギ”を開発したのでしょうか。

 「ウナギがこのまま行くと食卓に運ばれないと危惧したんです」と語るのは、営業統括部の森田洋二さん。

 開発に着手したのは約8年前。ウナギが絶滅の危機にひんしているのを受け、価格の高いカニの代わりに「オホーツク」を開発したときのように、今度はカニカマの成形や蒸しの技術を生かしてウナギの代わりになるような商品を作れないか――と新開発を若手社員に任せました。

 ウナギの価格が高騰した一昨年、試作品を業務用に販売したところ反応は良好でした。大量生産するため昨年工場に「うな次郎」専用ラインを新設。身のふっくら感と皮の弾力感をそれぞれ出すため、2種類のすり身を別々に調合し、特殊技術で合体させます。成形時に表面に特殊な切れ込みを入れて、ふわふわ食感を再現しているのが一番のポイントとのこと。

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 身の部分と皮の部分を、それぞれ別工程で作る

 さらに“関東風の蒲焼”を目指し、形成したすり身に「蒸し加熱」と「白焼き」を施した後、「タレ掛け」と「蒲焼」の1セットを3回繰り返して両面焼きを行います。ウナギの蒲焼の製造業が行っている工程を、カマボコ工場にそっくりそのまま取り入れてしまったのだそうです。ウナギは「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」といいますが、「うな次郎」の焼きへのこだわりもすさまじい……!

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 関東風の蒲焼のように、身をちゃんと蒸して、白焼きして……

うな次郎 ウナギ カマボコ そっくり 再現 この「タレ掛け」&「蒲焼」を3セット!

 Twitterでは「昨年よりさらにウナギに近くなった」という声も見かけましたが、何か改良も加えているのでしょうか。

 「はい、表面の身はよりふっくら、皮も弾力が出るようすり身の配合を昨年とまた変え、コントラストをはっきりさせました。“焼き”の熟練度も上がってきていまして……専用ラインでは上火と下火をコントロールできるのですが、よりいい焼き色を付けられるよう成熟してきました。『うな次郎』は進化している最中なのでございます」(一正蒲鉾・森田さん)

 昨年本格的に発売したところ、2016年度は100万パックを売り上げ。今年度は192万パックを目標に、CM展開など宣伝にも力を入れて「うな次郎」の魅力を訴えていきます。

 「ここ数日、世間の反応も良くてうれしいです。『うな重』などに使う本格的なウナギに取って代わるというよりは、『う巻き』『茶碗蒸し』やお弁当など、もっと安価にウナギを使っていただくこともできます。ウナギと“競争”ではなく“共生”していけたら幸いです」(一正蒲鉾・森田さん)

黒木貴啓


関連キーワード

うなぎ | 再現 | そっくり | 取材 | 製造業


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」