「個人の感想です」ならどんな広告でも許されるのか? 消費者庁が見解を発表(1/5 ページ)

消費者庁が考え方を発表。

» 2017年08月09日 11時00分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

 広告に小さく書いてある「※個人の感想です。効果には個人差があります」などの“打ち消し表示”は、景品表示法上の問題はないのだろうか。

 消費者庁が2017年7月に95ページにも及ぶ報告書を公表した。この報告書は「※個人の感想です」だけではなく、「※エリアにより使用できない場合があります」「※オプション加入が必要です」など、大きく宣伝されている宣伝文句を打ち消す注意書き、いわゆる“打ち消し表示”全般について調査している。実に90%近くの人が打ち消し表示に気付いてない実態がこの調査で浮かび上がったのだ。

 この実態をふまえ、消費者庁はこれらの表示に対する景品表示法上の考え方も示している。具体的にどのような“打ち消し表示”が問題となるのか、報告書を読み解いていこう。

報告書表紙 95ページにも及ぶ報告書が発表された(消費者庁より)

“打ち消し表示”を見落とせばトラブルにもなる

 新聞広告、電車内の広告、テレビ、Webサイトを見たときに、大きく書いてある宣伝文句の下に、小さく注意書きがあるのはよくある光景だろう。この小さな注意書きが“打ち消し表示”である。

 例えば、「入院保障が一生涯続く! 何回でも受け取りOK」という宣伝文句を見れば、誰もが入院したら必ず給付金がもらえる保険のように感じるが、よく見れば「医療行為、医療機関などによっては、給付対象とならない場合があります」と宣伝文句を打ち消す、例外条件が書いてある。

打ち消し表示の例 広告の下に「※○○○○○」という打ち消し表示

 実際に打ち消し表示を見落としたことによるトラブルも起きている。

  • スマートフォンの端末が割引されていたので購入したが、割引を受けるためには別途有料サービスの契約が必要であった。
  • 何かのサンプルを安価で購入できるとあり、申し込んだが、小さく定期購入が条件とあったのを見落としていた。
  • 通販サイトで送料無料とあったので1個購入したが、送料無料は3個以上の購入の場合のみだった。

 この例を見れば、誰もが自分にも起きそうなことと受け取れるだろう。

 そういったトラブルが起きている実態があるにもかかわらず、普段から57〜70%の人は打ち消し表示を見ようと意識していないのである。

どのくらい意識しているかのグラフ 多くの人が、打ち消し表示を見ようとしていない(報告書を元に編集部にて作成)

94%が気付かない Web広告の打ち消し表示

 消費者庁は、架空のインターネット回線を宣伝するWeb画面をつくり、1000人のモニターを使って評価をしている。

 「18カ月間 月々320円割引!」という大きな宣伝文句の下に、小さな文字で注意書きが書かれている。そしてスクロールしなければ見られない下の方に、金額や通信速度の大きな宣伝文句とともに、打ち消し表示がされている。合計4カ所の打ち消し表示がある。

試験ページ1枚目試験ページ2枚目 試験用のWeb画面。インターネット回線の広告に似ている

 調査の結果、一番気付いた人が少ない打ち消し表示は94%もの人が見落としていた。一番気付いた人が多かった打ち消し表示でも84%は見落としている。想像以上に気付かないことに驚いたのではないだろうか。大きな字で書かれている宣伝文句だけに意識が向いてしまい、小さい打ち消し表示に気付くことができなかったようだ。

 ちなみに、この打ち消し表示の文字の大きさは10ポイント程度で作られている。同報告書で実際の広告の調査もされているが、PC向けのWeb広告の打ち消し表示の文字サイズは10ポイント未満が80%を占めている。決して消費者庁が作った架空の広告が現実離れしているわけではない。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた