子どもたちの“科学の芽”を見つけるきっかけになりたい 番組プロデューサーに聞く大人にも人気の「夏休み子ども科学電話相談」の作り方(1/2 ページ)
放送時間中、約1000件のアクセスがあり、その中から実際に番組で取り上げられるのは25から30件という狭き門。後半戦を前に“対話”でなりたつ番組の魅力とその意義を聞く。
夏真っ盛り、外ではセミがわんさか鳴いていますが、ねとらぼ読者の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
夏といえば夏休み、夏休みと言えば「夏休み子ども科学電話相談」。7月24日から8月4日まで放送されていた前半が終了し(公式サイトで一部視聴可能)、8月24日からは後半がスタートします。子どもたちが研究者を相手に素朴な疑問をぶつける名物番組の裏側を、チーフプロデューサーの佐久間知樹さんにあれこれうかがってきました。
―― 「夏休み子ども科学電話相談」、毎回ワクワクしながら聞いております。この番組は1984年に始まったそうですが、どういう経緯があったんでしょうか。
佐久間P もともと「夏休み子ども科学電話相談」の時間帯には長年、大人向けの番組を放送しているんです。ただ、夏休みの午前中は子どもたちに聞いてもらえる時間帯ですから、その時間に何か子どもたちが楽しめる番組はないのか……と考えていたようです。ちょうどその頃はつくば万博が企画されるなど、国内で科学への関心が高まっていた時期だったこともあり、この番組が立ち上がったと聞いています。
―― 時代の空気を反映して生まれた番組だったんですね。 当時はどういうジャンルの先生がいらっしゃったんですか?
佐久間P ジャンルは当初より昆虫、植物、動物、科学ですとか、子どもたちが親しみやすいように設定したジャンルに分かれていました。この分野は今も続いています。今年で言うとロボットや天気・気象ジャンルが新しくスタートしました。
―― 2017年からロボットの先生が追加されたのは、ロボットに関する質問の要望が多かったからですか?
佐久間P (ジャンル追加の)要望を事前に募集することはやっていないのですが、社会の関心をくんで検討しました。やはり今はAIにたくさんの注目が集まっているので。
―― 相談内容には例年変化はありますか。
佐久間P 基本的に本質は変わらないと言うか、実はそれほど大きな変化はありません。いつの時代も子どもたちが思う素朴で本質をつくような質問が繰り出されている、という印象があります。期間中に何度か同じような質問が出てくることもありますね。
―― 新しい先生をお呼びする場合はどうやって決めているんでしょうか。
佐久間P ケースバイケースですが、やはり著書です。ユニークな発想の本。例えば鳥の質問を担当されている川上先生は、『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』(新潮社)をスタッフが読ませていただいて今回出演を打診することになりました。専門的な内容を子どもたちに分かりやすく伝えるのはとても難しいと思うんですが、そういったことが得意な、ユーモアのある先生を探しています。
―― 今後新設されるかもしれないジャンルはありますか。
佐久間P 難しいですね……。さきほどお答えした通り、古典的な質問が毎年来る、ということが多いので、毎回ジャンルを変えて新しい先生を入れていくことはそんなに考えていないんです。番組が終わった後に検証して、これまでのジャンルに収まりきらない質問が多く来ている、ということであればまた考えたいと思いますが。
先生も毎年最新の研究情報をもとに回答しているので、同じ質問でも10年、20年前の答えと今の答えは違っているはずなんですよね。だからこそ同じ質問が毎年来ても古臭くならないんです。
―― 全体的に、ゴリラが人気だなという印象があったんですけれども……。
佐久間P 「なんでゴリラはうんちを投げるんですか」という質問ですね。
―― 小菅先生の名回答「うんちを汚いと思っているのは人間だけ。先生も自分のうんちをいとおしく思う」が印象深いです。
佐久間P 小菅先生はご自身の経験から回答してくださいましたが、実はそもそもゴリラにうんちを投げる習性はなく、動物園で人間の反応を見て楽しむためのひまつぶしだとのことでした。自分の動物園のゴリラにはうんちを投げる習慣がなかったのに、他の動物園からうんちを投げるゴリラがやってきたら投げていなかったゴリラたちもうんちを投げ始めたそうです。そういう、聞いてみないと想像もできないような答えは大人も楽しめますし、この番組がネットでもウケている理由の一つだと思います。
―― 確かに、大人だからこそ何となく勝手な想像で片付けてしまった問題を子どもの目線から掘り返して楽しめるのが新鮮でした。特に人気のあるジャンルはありますか。
佐久間P やはり恐竜ですね……。
―― ダイナソー小林先生ですか!
佐久間P はい。小林先生は恐竜キッズにとってはもはや神様のような存在なので、先生と話せるだけでもうれしいと思うんです。先生に挑む子どもたちの様子からは、本当に恐竜が好きで勉強しているんだなということが伝わってきます。
―― 小林先生だけちょっとカラーが違うというか、子どもは必死に食らいついて質問をし、小林先生もそれを試すというような、知的なバトルが繰り広げられていたなと思いました。あの「北海道大学に来なさい」がいつ出てくるのかも楽しみにして聞いていました(笑)。
佐久間P 恐竜に興味がない人たちにとっては何を言っているかちんぷんかんぷんな内容ですが、その「理解できなさ」も楽しめると思います。
―― アナウンサーの方も復唱できない難しい恐竜の名前も登場しましたね。
佐久間P アナウンサーは、どうしても専門用語が出てきてしまう時や話の展開が少し難しい時に、もう一歩かみ砕いてお話するという立場で関わっています。先生たちにはできる限りやさしく話していただくようにお願いしているんですが、それでも恐竜は呪文のような言葉の連発ですので、「分からない」こと自体も含めて楽しんでいますね。
―― 「分からないということを楽しむ」というのはとても大事なことですね。ちょっと前の子ども科学電話相談は、先生に対して知識を披露したいというタイプのお子さんが多かったといううわさを聞いたことがあるんですが、本当なんでしょうか?
佐久間P それは今もあると思います(笑)。それが顕著に出ているのが恐竜、あとはカブトムシ・クワガタですね。自分が知っていることを先生にぶつけてみたいという子は少なくないです。昆虫で言うと、「世界で一番強いカブトムシは何ですか」というカブトムシ好きからの質問は、具体的な種の名前を挙げて「こういう理由でこのカブトムシが強いと思う」と自分なりの見解を話していました。「ハリガネムシはどうやってカマキリを操るんですか」という質問は、ハリガネムシがカマキリの中にいて、自分が生きるためにカマキリを操っている……という知識を先生にぶつけた上で回答を要求している、チャレンジングな問いでしたね。子どもの側からも先生を試す、そういったシーンもあると思います。……でもやっぱりその視点で行くと、一番は恐竜ですね。
―― ひしひしと伝わってきます(笑)。「子ども科学電話相談」は長年継続している番組ですが、続けることに関して意義や重要視していることはありますか。
佐久間P 意義の一つは、番組が科学に少しでも興味を持ってもらえるきっかけになっているのではないか、という点です。
放送の30分ぐらい前から電話受付が始まるんですけれども、放送時間中大体1000件前後のアクセスがあって、そのうち3人の電話係で受けられる電話は大体100から150ぐらい。その中から実際に採用されて放送されるのは25から30ぐらいなんです。それほどの数、子どもたちからの需要があり続けるということは、この番組の継続の一つの原動力になっていると思います。また、過去にこの番組を聞いていた人の中で実際に科学者になっている方に出会えたときは、この番組には意義があるんだなと実感しました。子どもが科学の芽を見つけるきっかけになっているところが継続の大きな理由かもしれません。
―― それは素晴らしいお話ですね! 科学で道が開けた人たちが確実にいるんですね。
佐久間P それは確実にいると思います。実際に科学者になった方には、夏休み子ども科学電話相談を紹介するプレ番組ご出演いただきました。子ども科学電話相談を聞いて育った方が自分の子どもたちにも聞かせるなど、リスナーが世代をつないで番組に接触してくれているのがすごくありがたいなと思います。
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