「180日以内に引き出さないと報酬没収」の規約変更に利用者から猛反発 クラウドワークスに改定の理由を聞いた
7月17日の規約変更について、利用者からは不満が噴出しています。
クラウドソーシング大手・クラウドワークスが7月11日、ある規約改定を行いました。それは「報酬が確定した日から、出金されないまま180日が経過した場合」、報酬が没収されるというもの。1000文字1円など非常に安価な案件が多数存在するクラウドソーシングサイトでは報酬をある一定額までためてから引き出すというスタイルも多く、クラウドワークスの場合は1000円以上からしか出金ができないということもあり、この規約変更は反発を招いています。
クラウドワークスでワーカー(ライター)として活動する神崎さんも新規約への反対を唱える1人です。神崎さんはクラウドワークスを利用し始めて約2年。企業案件などもこなしているため、ライターとしての年収はクラウドワークスでの報酬も含めて500万円台後半と比較的安定した生活を送っています。神崎さんにお話をうかがいました。
現役クラウドワークスライターが語る、規約改定への不満
――180日ルールの導入について、率直にどう思いましたか。
神崎氏:クラウドソーシングサイトというのは、マッチングサービスです。プロを対象に作ったというよりは病気などでフルタイムで仕事ができない人や、境遇に恵まれないという人にもハードルを低くして、誰でも簡単に契約を締結できて報酬をもらえる。なおかつ報酬はサイト側が保証するというのが魅力でした。ところが180日ルールが制定されてからその状況は一変してしまいました。金銭の支払いが発生するサービスであるのに、「報酬確定日から180日経過で全額没収」というポイントサイト然とした規約に変更されたあたり、「手を付けるべきではないお金に手を付けている」ような印象を受けました。また180日縛りにした理由もよく分かりません。さらにこんなに大切な改定なのに、事前告知がなかったのも驚きました。もっともこれまでにも何度か規約のサイレント改定は行われていますが。
――180日ルールが導入されたことによって、具体的にはどんなことに影響が出るのでしょうか。
神崎氏:クラウドワークスでは報酬の出金時に手数料が必要となります。楽天銀行を使えば100円、他行宛なら500円です(※)。1000文字1円などのタスクをこなすという場合に、この手数料は大きいですし、ある程度ためてからの出金にせざるを得ません。そんな中180日縛りが導入されてしまい、困っている人が多いと思いますし、180日以内に引き出さないと報酬を没収するのはいささかやりすぎのように感じました。そもそも銀行ですら預金没収の期間を5年としている中、クラウドワークスは安くない手数料を徴収しているわけですから、有事の際には銀行と同水準の補償を用意するべきだと思います。また180日ルール以外にも規約の中には「サイトを利用しての契約に関して 受注者発注者ともに過去5年間CWのサービスを利用していたものの直接契約を禁止する」というものもあり、これについても批判が集まっています。
(※)クイック出金と呼ばれる手数料が必要な出金形式も存在。
――つまり、クラウドワークス内で知り合った人や企業とは5年間はクラウドワークスを介さずにお仕事してはいけない、ということですか。
神崎氏:そうです。何をもって5年と設定しているのかがまず分かりませんが、「知り合った人と5年間は仕事をしてはいけない」ということは、書き手を要求しているクライアントとクラウドワークス外でも何らかの形で縁があるかもしれないという可能性までも摘み取ることになりかねないのでは、と危惧しています。
――WELQ騒動ではグレーな案件も話題になりました。
神崎氏:WELQ騒動以降、かえってグレーな案件は増えている印象です。代表的なものは、初回お試し価格のものを代理購入させる「お買い物代行」、特定のサイトをクリックして巡回させる「SEOスパム」などで、MERYに続く二匹目のどじょうを狙おうと「MERY経験者大歓迎!」など美容系のまとめサイトライターを募集している案件も珍しくありません。
――この他にも気になる案件はありますか。
神崎氏:「芸能人の裏ネタ情報」のようなゴシップブログ記事ですね。これらは2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)やまとめサイトから引っ張ってくるような「ウワサ話の又聞きの又聞き」程度の情報です。ニュースソースが全く無いのに風評だけで書いてしまうということなんです。中には「面白おかしく書けることこそがライターの腕」だとする人もいますが、こうしたモラルハザードがもっとも大きな問題だと私は感じています。
クラウドワークスに規約改定の理由を聞いてみた
神崎さんの取材内容を踏まえ、なぜ規約改定に踏み切ったのかクラウドワークスにも取材を申し込みました。
――180日ルールなどが導入された7月の規約改定について、事前告知は行いましたか。また改定の告知はどのように行いましたか。
クラウドワークス:規約変更時の事前・事後の通知は基本的に行っておりません。今回の改定部分の対象者には、同日よりログイン後の報酬画面・返金履歴画面にて、自身の報酬や仮払金が出金対象である旨をお知らせしております。さらに、スケジュールならびに方法に関しては、該当者さまへ個別にご連絡させていただく予定です。
――なぜ180日ルールが導入されたのでしょうか。
クラウドワークス:ユーザーの報酬・仮払金を長期間預かることに関し、当社顧問弁護士とも相談の上、コンプライアンスの観点から出金期限を設定しました。リスクを防ぐことで、ユーザーのみなさまに安心して利用いただけるサービスであり続けることが今回の目的となります。
――少額案件をこなしているライターからは180日ルールが不評ですが、これについてはいかがでしょうか。
クラウドワークス:出金時に振込手数料が発生するため、弊社としても検討を重ねてまいりましたが、前述の通りユーザーの報酬・仮払金を長期間預かることに関し、当社顧問弁護士とも相談の上でコンプライアンスの観点から今回の決定となっております。健全なサービス運営を行っていくためにご理解をいただければ幸いです。
――依頼側が後払いできるシステム「PAID」の導入により、これまでクラウドワークスが報酬を供託することにより守られてきた「取りっぱぐれのない報酬」という大前提が覆されたのでは? との声もあります。
クラウドワークス:ご指摘いただいたような「前提となるユーザーメリット」は覆されることはありません。今回導入したラクーン社が提供する「PAID」サービスの詳細をご覧いただければご理解いただけると思いますが、ラクーン社が後払いを代行しユーザーの資金回収リスクは無い形を維持した上で、後払いにより発注者を増やすことによりユーザーへの報酬額を増やすための取り組みです。
――初回限定の「買い物代行」やワンクリック巡回案件などグレーゾーンの案件も見受けられます。これらについてクラウドワークスではどのような対策を講じているのでしょうか。
クラウドワークス:公開されているお仕事の中で、品質や単価に課題があると感じた仕事を評価できる「お仕事評価機能」を、2016年12月12日よりアプリ版、2017年3月7日よりPC版にてリリースしています。「相場より安い」「依頼内容があやしい」「曖昧な依頼」など複数項目から選択可能で、選択された評価データを元に、仕事一覧画面でお仕事の表示順が変更されます。さらに評価を受け当社が「不適切である」「知的財産を侵害している可能性がある」と判断した場合は、掲載停止やアカウント凍結となる場合もあります。
――実際にその評価に基づいて何か対応を取ったケースもあるのでしょうか。
クラウドワークス:お仕事評価に基づき、改善に向けて弊社が何らかの対応を取った案件がいくつか出ています。また今年5月より、悪質案件に関する健全化への取り組みを本格的に開始しました。AIによる自動検出とユーザーサポートの目視チェックにより掲載されないようにしています。今後もよりよいマッチングのために、プラットフォームの健全化に向けた取り組みは強化していく予定です。
働き方のひとつとして浸透しつつあるクラウドソーシングサイト。クラウドワークスでは9月21日に「政治系ブログ記事作成」の依頼案件について掲載を中断したことを発表するなど、規約に反する取引が横行しているのはサイト側も把握している様子です。しかし神崎さんが指摘しているグレーゾーンな取引や利用者のモラルハザードについては、まだまだ対策に改善の余地がありそうです。
なおクラウドワークスにおける180日ルールについては、適用された7月11日から180日後の2018年1月7日までに報酬を引き出す必要があります。過去にクラウドワークスで仕事をして報酬を放置しているユーザーはなるべく早めに出金を行うのが良いでしょう。
(画像:クラウドワークス公式サイトより・一部画像は編集部で加工しています)
(Kikka)
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