どうして日本語の横書きは「右→左」から「左→右」に? 昔は書く方向が逆だった理由

素朴な疑問。

» 2017年11月07日 11時30分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 今あなたが読んでいるこの文章は、おそらく左から右に進む横書きで書かれていることでしょう。しかし、かつての日本では、右から左に読む横書きが使われていました。縦書きも横書きも左右の進み方が同じだったのです。

 では、どうして横書きの向きが変わったのでしょうか。順を追って、1つ1つ疑問を解決していきましょう。

縦書きはなぜ「右→左」?

 時代をさかのぼると、日本語には縦書きしかなかった時代があります。これが、中国語および漢字の影響だ、というのは容易に想像がつくでしょう。漢字は本来、縦書きで用いるための形をしている、とされています。

 では、なぜ縦書きは右から左に進むのでしょうか。この理由は明確には分かっていませんが、有力な説の1つに「巻物に文字を書いていたから」というものがあります。

 右利きの人なら、巻物を読むとき、左手で巻かれている部分を持ち、右手で引っ張り出すのが自然でしょう。この場合、右から左に文章が書かれているとスムーズに読めます。書くときも右手に筆を持ちながら、左手で紙をずらしていくことになるため、左側に余裕がある必要がありますよね。

横書きはなぜ、縦書きと反対の「左→右」?

 前述の通り、かつての日本では右から左に読む横書きが使われていました。これは縦書きの書き方にならったものです。

 では、左から右に進む横書きは、いつ生まれたのでしょうか。それは、日本人が西洋の言語に触れた江戸〜明治期。左から右に読む横書きの日本語が初めて使われたのは、外国語の辞書だったとされています。つまり、横書きの向きの違いは、影響を受けた文化の違いに由来していたのです。

 ちなみに、大正〜昭和初期は、日本古来の「右→左」と西洋渡来の「左→右」が混在していた時期。当時の東京朝日新聞を見ると、見出しは「右→左」の横書きで、今とは反対向きでした。また、10円紙幣にも「行銀本日」と印刷されているのですが、アルファベット表記の「NIPPON」は西洋の横書きと同じ書き方になっています。

東京朝日新聞(1942年6月6日)の見出しは右書き。「特殊潜航艇・マダガスカル・濠洲を奇襲」と書かれています

 ちなみに、「横書きはどちらから書くか」という問題は、終戦とともに終結。例えば、読売新聞は1946年1月1日から、見出しを「右→左」から、われわれ現代人にはおなじみの「左→右」に変えています。

制作協力

QuizKnock


参考文献

屋名池誠 『横書き登場』 岩波書店、2003年

参考記事

日本語が縦書きから横書きになるまで(前篇)(WEDGE Infinity)

気がつくと手が真っ黒…どうして縦書きの文字は右から書くの?(進路のミカタニュース)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた