電子辞書に「シスプリ」、目の付けどころがシャープすぎると話題に 辞書の担当編集者に収録理由を聞いてみた
意外な言葉が収録されていると話題に。
「最近の電子辞書凄くない? どこから突っ込めばいいのか分からない」――Twitterユーザーのそぬ(@aityco)さんが電子辞書でまさかの単語「シスプリ」を発見し、ネット上をざわつかせています。
「シスプリ」とは2001年にアニメ化もされたメディアミックス企画「シスター・プリンセス」の略称。ヒロインは「お兄ちゃんが大好きな12人の妹」という前衛的な設定が話題を呼び、いまだに根強い人気を誇ります。しかしなぜ辞書に……?
実は「シスプリ」が収録されていたのは、『現代用語の基礎知識 カタカナ・外来語 略語辞典』の電子版。流行語やネット上で話題になった言葉などを貪欲に詰め込む方針で知られる辞典です。なぜ「シスプリ」が入っていたのか、同辞典の出版社である自由国民社の担当編集に聞いてみました。
「“ネオ東京”とか、なかなか気付いてもらえない」
――電子辞書に「シスプリ」が載ってる! と話題になっています。
担当:なんと! 『カタカナ・外来語 略語辞典』は監修の堀内克明先生がサブカル好きなので、そういった言葉もカバーしてるんですよ。最近の作品だと、「ガルパン」なんかも入っていたりします。
――堀内先生の意向も反映されているんですね。
担当:毎年出版している『現代用語の基礎知識』の資料を基に、さらに独自に言葉を追加しています。堀内先生は国内でも有数の英文学者でして、1931年生まれとかなりのご高齢ですが、まだまだお元気で。「東京五輪に合わせて“ネオ東京”を追加しよう」なんてご提案いただいたり(笑)。なかなか気付いてもらえないので、話題になるのはうれしいですね。
※ネオ東京:漫画『AKIRA』に登場する都市。作中では2020年の東京五輪を控えた2019年が舞台になっている。
――掲載する言葉を選ぶ基準はどういったものなのでしょうか?
担当:明確な基準はありません。例えばフランスだと母国語を中心に据えて、外来語を極力入れない方針がかなり制度化されてますよね。日本はその点良い意味で緩く、外来語も柔軟に取り入れてきました。そんな特色まで反映できるように、硬い言葉から下世話な言葉まで雅俗混合(がぞくこんごう)になるようには意識しています。
――電子版ならではの内容もあったりするんでしょうか?
担当:本だと紙面が限られているので、泣く泣く切ってしまう語もありますけれども、電子版では多めに収録しています。紙の『カタカナ・外来語 略語辞典』は2013年に出版された第5版が最新ですが、電子辞書版ではその後も年に1回、内容のアップデートを続けています。
ツイート主・そぬさんの使用機器がシャープ製だったことから、シャープの公式Twitterも「ご愛用ありがとうございます」と反応するほどの盛り上がりを見せたこの一件。話を聞いてみると、定期的にアップデートできるという電子辞書ならではの強みはもちろんですが、幅広い語句を分け隔てなく収録する『カタカナ・外来語 略語辞典』の編集方針も「シスプリ」収録の大きな理由だったようです。
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