メントスがなくても、“アレ”の破片があれば「メントスコーラ」ができる理由
いつからメントスが必要だと錯覚していた?
メントスを放り込みコーラを盛大に吹き出させる、いわゆる「メントスコーラ」。各種メディアで取り上げられ、すっかり有名になりましたが、改めて考えるとかなり不思議な現象です。
なぜ吹き出すのか。なぜコーラ×メントスという組み合わせなのか。というか、最初に発見した人はどうしてコーラにメントスを入れようと思ったのか……。気になることは山ほどありますが、今回は「メントス“ではない素材”で、メントスコーラが再現できないか」検証してみました。
メントスコーラの原理
そもそもメントスコーラとは、コーラ内の二酸化炭素が一気に逃げ出し、容器の口から勢いよく吹き上がる現象です。では、どうしてメントスがこの引き金になるのでしょうか。
水に二酸化炭素(CO2)を溶かすと、その多くはCO2分子の状態で水分子の隙間に入り込みます(ごく一部は化学変化により炭酸H2CO3に)。これが気泡になる様子は、コップに注いだだけのコーラでも確認可能。観察していると、気泡がコップの壁面や底面から出ていることが分かります。
これは、水に溶けたCO2がたくさん集まって気泡になるのに、容器の壁面にぶつかるなどして分子が衝撃を受ける必要があるから。例えば、塩や砂糖などの固体を入れると、それを放り込んだ部分からもシュワシュワと気泡が出るようになります。
メントスコーラの基本的な仕組みは、これと一緒。ですが、シュワシュワが非常に強い(つまり、二酸化炭素の気泡がより多く現れる)ため、噴水のように吹き出すのです。
なぜメントスだと、シュワシュワがあそこまで強くなるのか
では、なぜメントスを使うと、コーラ内の二酸化炭素を一気に解放させることができるのでしょうか。
まず、メントスの形状が良いといわれており、次のような説があります。
- 表面に開いた多数の穴によって効率よく気泡を生み出せる
- 落下速度が速いために容器中のガスを一気に解放できる
また、メントスに添加された「アラビアガム」「ゼラチン」などの成分が気泡をより出やすくしている、ともいわれています。つまり、メントスコーラは「メントスのザラザラ具合と、落下速度(これには大きさが影響)」「メントスの成分配合」の2つによって生まれた現象ということになります。
ちなみに、使用する炭酸飲料も吹き出し方に影響。同じコーラでも「アスパルテーム」などの人工甘味料を用いたものの方が、砂糖入りのものより盛大に吹き出すとか。
メントスを使わない「メントスコーラ」は可能なのか
メントスと同じ特徴を持つ物質を用意すれば、メントスでなくても「メントスコーラ」ができるはず。ややこしいですが、科学的に考えるとそういうことになります。東大王・伊沢拓司が実験動画を撮影してみました。あふれだすコーラはもったいないですが……これも科学の発展のため!
今回は、メントスの「表面に開いた多数の穴」に着目して、木炭、軽石、素焼きの植木鉢(※)の3種を用意しました。いずれも「多孔質」と呼ばれ、小さな穴がたくさん開いている素材です。
※素焼きとは、釉薬(うわぐすり)を使わずに焼き固めた陶磁器のこと。理科の実験でおなじみ沸騰石にも使われる
これらの素材を1つずつ「コカ・コーラゼロ」に入れてみたところ、ダメだったのは軽石。軽さが災いして水中に沈まず、ほとんど効果がありませんでした。
木炭も、投入するとちょっとシュワシュワするだけで効き目なし……かと思いきや、しばらく様子を見ていたら、コーラがあふれ出しました。動画内では「コーラに入れることで木炭が洗浄され、穴に詰まっていたものが出てから反応が起こったため、効果が現れるまでに時間がかかったのではないか」と推測しています。
最も効果があったのは、素焼きの植木鉢。メントスほど強力ではありませんでしたが、反応後には、ペットボトル内のコーラが半分ほどにまで減ってしまいました。
というわけで、今回の結論。「メントスコーラをやりたいけどメントスを持っていないときは、植木鉢の破片を探せ」。
参考文献
Why Do Mentos And Diet Coke React? - Today I Found Out
Tonya Coffey, “Diet Coke and Mentos: What is really behind this physical reaction?" (PDF)
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