こうしてダメな文章は作られる! 読み手を混乱させる「ダメ文」の特徴 その傾向と対策(3/3 ページ)
頭でっかちな修飾 〜蓄積されている情報が、読み手の負担になる〜
最初から読んでいくと、情報は蓄積されていくのにそれが何を意味するのかが分からず困惑する文。それが「頭でっかちの修飾をもつ文」です。実例をみてください。
18世紀当時は蒸気機関を動力とし、その後19世紀になってガソリンエンジンを動力とする機関を備え、日本国内でも20世紀になって生産が始まった自動車は、現在、極めて一般的なものとなっている。
「自動車」を修飾している部分が長すぎます。途中までは、まるで「自動車」を当てるクイズのようです。この文の修飾部は70字弱ですが、手元のサンプルでは、90字をこえるものもあります。被修飾語の「自動車」が出てくるまで、「この内容は一体、何についてのものなのだろう?」と、蓄積されていく情報を保持しながら読まなければなりません。読み手には大きな負担がかかりますし、途中で内容を忘れてしまいそうになります。
この文章の場合、修飾部分をうしろにもってくると、読みやすくなります。
現在は極めて一般的なものとなった自動車であるが、日本国内での生産は20世紀に入ってからである。エンジンを動力とするようになったのは19世紀のことで、それ以前、開発当初の18世紀では、蒸気機関を用いていた。
このように、修飾部分が長すぎるものを、わたしは「頭でっかちの修飾」と呼んでいます。頭でっかちの修飾と相性のいいのが、前回記事でも紹介した「ねじれた文」や「長すぎる文」です。以下は、あるWebメディアの記事を改編したものです。
××国の大統領が昨年9月に公表した声明により、××国との関係が冷え込んだ○○国では2020年の××国万博開催の決定を控えて、△△国のオンライン請願掲示板で、万博の開催を阻止する署名運動が開始されたことを紹介する書き込みが立ち上げられた。
まず、「大統領が昨年9月に公表した声明により、隣国××との関係が冷え込んだ」が「○○国」を修飾するのは、容易に理解できます。が、挿入された「2020年の××国万博開催の決定を控えて」がその「○○国」と、どのような関係にあるのか、考えながら読み進めることを強制されます。そして、「△△国のオンライン掲示板で、万博の開催を阻止する署名運動が開始されたことを紹介する」が「書き込み」を修飾しています。ここで、××国でも○○国でもない、第三の要素が現れたことが、内容を複雑にしています。
そして、その「書き込みが立ち上げられた」で文が結ばれているので、その主語は「○○国」ということになると思われますが、オンライン掲示板は「△△国」のもののはずなので、文意がうまく通じません。
そうすると、どうやら「○○国」で立ち上げられた書き込みは、△△国のオンライン請願掲示板とはまた異なったサイトもしくはオンライン掲示板かもしれないと推測されます。
……おそらく、多くの読者の方は、上の解説を読み飛ばしたはずです。わたしが読者であれば、スルーします。つまり、それくらい面倒な構造になっている、ということです。頭でっかちの修飾・ねじれ文・長い文の三重苦です。実のところ、上の説明も確かな内容といえるのかどうか、自信がありません。
とはいえ、この文は、修飾関係がややこしく、ねじれも生じているものの、「多分書き手は○○国を批判したいのだろうな」という気合いのようなものだけは感じ取ることができます。もしかすると書き手は、その「気合い」を理解してもらって、「気合い」に共感してもらえれば表現はどうでもいい、と思っているのかもしれません。
ダメ文のポイント
- 修飾部分を長くすると、文全体の意味を理解させづらくなる。
- 長い修飾部分を持つと、文全体が長くなりがちである。
- 長い文の場合、文のねじれを生じさせやすい。
- 気合いが伝われば、文としての整合性は無視してもよい。
いかがでしたか。そういえば、この時期、大学生は学期末の試験やレポートも終えて、勉強から解放された、と一息ついているころでしょうか。一方、大学に入ろうとしている受験生のみなさんの中には、入試がまだ続いているというひともいるでしょう。
私立大学の一般入試にはあまりありませんが、国立大学の二次試験では小論文を課すところも多いと思います。二次試験対策で小論文を書く練習を繰り返してきた受験生のみなさんであれば、本稿にみるようなダメ文を書くことも少ないと思います。が、ひょっとすると、ちょっとくらいはダメ文が生まれるかもしれません。
前回記事と今回記事を読めば、受験生のみなさんもダメ文が書けます。何しろ、稿者のわたしは浪人を2回、留年も1回経験していますから、自信をもって断言できます。
関連記事
これさえ守れば「ダメ文」が書ける! 人に伝わらない「ダメな文章の書き方」講座
ダメ文は、ダメポイントでできている。「16×4は?」「68−4だから64」 小学1年生の掛け算の計算方法が斬新だと話題に
発想が見事。これ12歳が解けるの!? 超難関「灘中学」の入試問題「初日の出を2回見るには?」を解いてみた
あなたは最強小学生に勝てるか?ディズニーランドやUSJはいくらで貸し切りにできるのか?
友人の数が物を言う。「67×63」を一瞬で解けるようになる方法
インド人に学ぶヴェーダ数学。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
昨日の総合アクセスTOP10
この写真の中に1人の自衛隊員が隠れています 自衛隊が出したクイズが難問すぎる……「答え見ても分からない」と人気
鳥居みゆき、キャンプを楽しむ1枚に青白い顔 “ホラー風”ショットに「全く知らずに見たら怖すぎる」
イタズラが見つかった柴犬、しょんぼりしてると思いきや…… まさかの真相に「大声で笑ったw」「反省姿がツボです」の声
あの、バイクで転倒して顔面骨折 手術も要する突然の事故報告に「悲報すぎる」「生きててよかった」
野良猫親子を保護→怒られるのを承知で子猫を抱っこしたら…… 親猫のまさかの反応に「信頼しているんでしょうね」の声
階段が下りられない35キロのデカワンコ…… お父さんに抱っこで運んでもらう姿に「世話の焼ける子ほどかわいい」の声
松井稼頭央ヘッドコーチの妻・松井美緒、突然のシルバーヘアな“おばあちゃん”姿に「まさかの!」「お上品」と反響
久慈暁子アナ&渡邊雄太、インスタ初2ショットで結婚発表 仲良く肩寄せ合う身長差カップルに「最高にお似合い」
なぜか車から降りるのを完全拒否するワンコ 諦めかけると……予想外の結末に笑ってしまう 【豪】
「爆笑しましたww」「元気出ました、ありがとうございます!」 予想外のおしゃべりで別室に移動させられたインコに腹筋崩壊
先週の総合アクセスTOP10
- 誰にもバレずに20年 別荘を解体中にバスルームから“とんでもないモノ”が見つかる 「わけがわからない」と困惑
- 「チコちゃん」マナー講師が炎上で、エガちゃんの株が上がってしまう 「エンタメの見本」「エガちゃんはやっぱり偉大」
- 「だめだお腹痛い」「大爆笑しました」 榎並大二郎アナ、加藤綾子に贈った“ガチャピン人形”が悲惨な姿になってしまう
- ジャガー横田、愛車・BMWが高速手前でエンスト 九死に一生も原因不明の故障に「新車でまだ一年半なのに…」
- 「志摩スペイン村」微塵も人がいないのに突如トレンド入り 「にじさんじ」周央サンゴの“正直すぎるレポ”で話題に
- キンコン西野、“勝手に出された婚姻届”にまさかの展開 証人欄にはお世話になっている「森田一義って名前が」
- 「ゆっくり茶番劇」商標取得者の所属コミュニティーが声明 商標権の完全放棄を要求
- 中村江里子、174センチの長女&181センチの中学生長男に驚く声 「足ながっ!!」「モデルになれそう」
- 「志摩スペイン村」がトレンド入り→公式ホテルの予約が急増とさらなる展開へ 広報「すごいことが起こっているぞと思った」
- 華原朋美、デザイン手掛けた黒ミニドレスを披露 「本当に痩せて綺麗になって」「全てが可愛すぎました」と反響
先月の総合アクセスTOP10
- 「普通ではなかった」 坂上忍、「バイキング」卒業翌日に“生放送”の重圧語る 都内自宅取り壊しの決断も明かす
- どうやって着てるんだ! 冨永愛、背中丸見えな“人魚風衣装”に「誰にも真似できない」と反響
- 柴犬が1年ぶりの再会に待ちきれず…… 帰省したお姉ちゃんを見つけてよろこびを爆発させる姿に涙が出る
- 「カムカム」最終回目前、怒涛の展開に視聴者からのツッコミ殺到 「突然のどエラい告白で放送事故」
- 「お綺麗すぎてぶち抜かれた」 フワちゃんが2時間メイクで雰囲気一変、シックな黒ドレスでのモデル姿に称賛の声
- この画像の中に猫が隠れています 見つかるとスッキリなクイズに「わからん」「手こずった」
- 「きもい」「仕事減ったな」水谷隼、誹謗中傷DMへ怒り 「後で泣き喚いても一切同情しないから」
- だいたひかる、虐待の疑いで通報される 警察の訪問受け「アンチが多い事もお伝えしておきました」
- 里田まい、入学準備中の長男に「違う、そうじゃない」 父・田中将大選手そっちのけの推し愛が暴走
- 息子が、大親友ハスキーの「あそんで」を無視した結果…… 激おこワンコとのわちゃわちゃなやりとりに21万いいね