さよならPHS。往年の名機「京ぽん」をいま使ってみた 11万画素のカメラで写す、2018年の東京(4/4 ページ)
PHSの身上「音質」はどう?
当時PHSの通話音質は、長らく携帯電話をしのぐものとされてきました。それは、いま聞いても良い音と思えるのでしょうか? 試しに電話をかけてみました。
今の携帯電話の高音質規格VoLTEに比べると「クリア」さがほんの少しだけ落ちるかな……というぐらいで、懐かしい力強さを感じる確かな音。2018年でもまだまだ現役で戦える音質に思いました。
11万画素のカメラで写す、2018年の東京
さて、ここでネットにつなげなかった初代「京ぽん(AH-K3001V)」の出番です。当時「京ぽん」でうれしかったのはカメラ。11万画素という低画質ですが、とにかく目の前の光景を手軽に写真に収められることが楽しくて仕方がありませんでした。
それでは14年の時を超え、この「11万画素」の京ぽんを持って東京の街に出てみましょう。被写体は、当時はまだできておらず、京ぽんが写すはずのなかった建物たちです。
まずは2012年に開業した東京スカイツリーへやってきました。先に現在の筆者のスマホSO-02J(SONY)で撮影します。さすが約2300万画素を誇るだけあり、キレイに撮影。
対して11万画素の京ぽんは……画素のつぶつぶが見えるほど極めて粗い画質です。14年前はこれで満足できていたことを思うと、時の流れを感じざるを得ません。
次は豊洲市場。小池都知事と自民党が侃侃諤諤とやりあった揚げ句、築地からの移転が決まった新しい市場も、京ぽんの11万画素カメラにかかればこのような写真になります。まるで砂上の楼閣のようにはかない写り方で、本当に消えてしまいそう。
東京オリンピックへ向けて建設中の新国立競技場もこのありさまです。通行人の顔へのぼかしも(そもそもつぶれているので)必要ありません。2020年の東京をふと思うと、2年後の東京で躍動している選手たちをこれで撮りたくなってきてしまいます。
現在のクリアな画像とは全く比較にならないほどの画像の粗さ。しかし、これでも当時は撮影できる喜びの方が勝っていました。今見ると、写真ではなくどこか油絵のような雰囲気をまとっているように見える、と言ったら、褒めすぎでしょうか。14年という時の流れは、それだけのことを感じさせるほどの長さだったのです。
「世界を驚かせたPHS」のエンディングロード
安い値段でケータイを持つ楽しさを教えてくれたPHS。通話音質の良かったPHS。携帯電話にはない独自色のある端末やサービスを生み出し、売上減の大ピンチからよみがえってみせたPHS。
今度ばかりはとうとう役割を終えることになりそうですが、いち早くモバイルインターネット時代を呼び起こしてくれたPHSは、ネット社会が大衆に浸透する大きな一歩にもなりました。
実は日本発の技術であるPHSはアジアでも受け入れられ、特に中国では05年3月の時点で7000万回線もの契約を集めており人気でした。しかしその後は携帯電話へ力を入れる国策やスマホの台頭などで押され、尻すぼみになっていったそうですが、その活躍は世界の通信史に残り続けます。
18年3月末で法人向けのテレメーター用プランを除き新規受付は終わりますが、今後もサービス自体は継続していくPHS。既に停波へのカウントダウンがはじまったといわれますが、6年間愛用していた元ユーザーとして、せめて2020年の東京オリンピックまでは、世界を驚かせた「PHS」サービスが続くことを願ってやみません。
(辰井裕紀)
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