ブックオフの伝説記事「異世界転生ファンタジー年表」を作った“ラノベ担当ミヤザワさん”とは一体何者なのかかーずSPのインターネット回顧録(番外編)(1/3 ページ)

ガチすぎる特集を連発する「ブックオフのミヤザワ」さんとは一体何者?

» 2018年04月21日 09時00分 公開
[かーずねとらぼ]

 コミック・書籍をはじめ、ゲーム、CD、DVDなど400万点以上もの中古商品を取り扱う「ブックオフオンライン」。その中でもひときわ「ヤバい」といわれているのが、担当者がさまざまな切り口からオススメのラノベを紹介する「ライトノベルコーナー」です。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ブックオフオンライン「ライトノベルコーナー

 同コーナーが注目を集めるようになったのは、2014年の異世界召喚・転移・転生ファンタジー年表から。「古事記」「日本書紀」から「Re:ゼロから始める異世界生活」に至るまで、実に1300年以上にわたる“異世界モノ”の歴史をまとめたこの特集は、たちまち「ガチすぎる」「よく調べたな……」と大きな話題に。その後も史上最高の『ループもの』ライトノベル特集や、死ぬまでに読むべき名作ライトノベル特集など相変わらず“ガチすぎる”記事を連発し、今やラノベ読みの間では一目置かれるコーナーとなっています。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ いきなり古事記から始まるガチっぷりが話題になった「異世界召喚・転移・転生ファンタジー年表

 この特集は一体誰が書いているのか、あの「異世界転生ファンタジー年表」はどのようにして作られたのか。今回の「かーずSPのインターネット回顧録」では番外編として、ラノベ好きとしても知られるかーずさんが「ぜひ会って話を聞いてみたい」と言う、“ラノベ担当者ミヤザワ”さんに話を聞きに行ってきました。(聞き手:かーず/平和


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ミヤザワさんがオススメするライトノベルなども聞きました!

かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ


6週間かけて書いた「異世界ラノベ」記事

── ミヤザワさんは普段どんなお仕事をしてらっしゃるんですか。

ミヤザワ:
 ブックオフオンラインのページの更新を担当しています。企画、コーディング、サイトの更新と分析などWebまわり全般、JavaScriptも組んでます。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ラノベコーナーを担当する“ミヤザワ”さん

── あまりにもラノベに詳しいので、てっきり書店の方かと思ってました。ミヤザワさんの書かれたラノベ記事で最初に話題になったのが、「異世界召喚・転移・転生ファンタジー年表」でした。どういうきっかけでこの記事を書こうと思ったんでしょうか?

ミヤザワ:
 2014年ごろに『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』を読みながら、「今、自分が読んでるのが全て異世界転生ものだな」って突然気づいたんです。2011年ごろから異世界モノが増えていって、そのころスタートした『はたらく魔王さま』『ノーゲーム・ノーライフ』がちょうどアニメ化されていった時期でした。そこからさらに異世界ラノベが増加していった時期でしたので、それまでの異世界ラノベをまとめたいと考えて企画しました。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ 無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』(MFブックス)/『はたらく魔王さま!』(電撃文庫)

かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ノーゲーム・ノーライフ』(MF文庫J)

―― この記事を書くのに、どのくらい時間がかかりましたか。

ミヤザワ:
 だいたい6週間かかりました。まず全部の異世界モノを調べるのに1週間。そのあと作品を読むために4週間かけて、50冊ぐらい異世界ラノベを読みました。さらに原稿を仕上げるのに1週間です。

―― さらっと50冊とおっしゃいましたね。この記事でどんな反響がありましたか。

ミヤザワ:
 サイト全体でいえばラノベの売上自体が1.5倍ぐらいに、異世界モノに関しては2倍から4倍ぐらいに売上が増えました。タイトル別では、『無職転生』『異次元騎士カズマ』『リーンの翼』『異世界迷宮でハーレムを』『神秘の世界エルハザード』。それと『古事記』『遠野物語』『仙境異聞』もそれぞれ売れました。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ 異次元騎士カズマ』(スニーカー文庫)/『リーンの翼』(角川ノベルス)

かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ 異世界迷宮でハーレムを』(ヒーロー文庫)/『神秘の世界エルハザード』(徳間AM文庫)※出版社側にページが存在しないため、ブックオフオンラインにリンクしています

―― 『古事記』も入っていて、「異世界モノって、まずそこから!?」という驚きがありました。

ミヤザワ:
 最初に調べたら「異界」って言葉が出てきたんです。すでに『古事記』で異界に行くような話があるぞってことで入れました。

―― 『古事記』みたいな古いものから今のラノベまで、何か共通する点はありましたか。

ミヤザワ:
 「ここではないどこか、全然知らない場所や物への好奇心」みたいなものが共通していると感じました。『古事記』も異世界に行って、妻の顔を一目見たいという好奇心からですし。

―― 逆に、昔と今の異世界モノで違いはあるんでしょうか。

ミヤザワ:
 昔は「異世界ファンタジー」っていうと、剣と魔法で戦う冒険の話が、大きなひとくくりのジャンルとしてありました。

 今は「異世界」っていう1つのジャンルの中に、「推理モノ」「料理モノ」「日常モノ」みたいに細分化されている印象があります。『この素晴らしい世界に祝福を!』みたいに、異世界で日常生活を楽しむものなど、バリエーションが増えました。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ この素晴らしい世界に祝福を!』(スニーカー文庫)

転生ラノベの魅力は「新しい自分に生まれ変わりたい」

―― 「転生」は分かるんですが、「転移」と「召喚」はどう違うんですか。

ミヤザワ:
 あくまでもミヤザワの意見なんですが、「召喚」というのは異世界から誰かが呼んでくるパターン。「転移」というのは、超自然的な現象で突然光に包まれたり、人の意思が介在していないパターン。「転生」は現世で命を落としてから異世界に行くっていうパターンです。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ 年表では作品ごとに「転生」「転移」「召喚」の3パターンに分類していた

―― ミヤザワさんの好みはどれですか。

ミヤザワ:
 転生です。自分も生まれ変わりたい。

―― 今の生活になにかご不満でも……?

ミヤザワ:
 今の生活には満足してます!

―― 「転生」は最近増えてきたカテゴリーだと思います。なぜ今「転生」がヒットしているんだと思いますか。

ミヤザワ:
 「自分じゃない自分になりたい」「今の現世は完全に捨てて、転生して新しい自分になりたい」っていう願望があるんじゃないかなと。例えばエルフに転生したら、寿命がものすごく延びて、魔法が使えて自分じゃない自分になれるっていう。そんな魅力を感じている人が多いんじゃないでしょうか。

―― 思い入れのある異世界ラノベはどれでしょうか。

ミヤザワ:
 いきなりラノベじゃなくて申し訳ないんですけど、私の異世界のルーツは「神秘の世界エルハザード」のアニメでした。

 『MAZE☆爆熱時空』も大好きで、アニメの主題歌を歌っている聖飢魔IIの大ファンだったので当時見はじめました。『火魅子伝』も主題歌が好きで、佐々木ゆう子さんの「PURE SNOW」がとにかく名曲なんですよ! あとは『ゼロの使い魔』『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』。これは完全に東山奈央さんが好きでして。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ MAZE 爆熱時空』(スニーカー文庫)/『火魅子伝』(富士見ファンタジア文庫)

かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ゼロの使い魔』(MF文庫J)/『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』(アルファライト文庫)

―― アニメ、歌、声優、いろんなものからラノベにハマってますね。

ミヤザワ:
 小説のみの作品でもいっぱいありますよ。『ディバースワールズ・クライシス』はすごい特徴的なセリフがありまして、「だって、私は勇者だから」っていうセリフ回しが好きなんです。十文字青さんの『灰と幻想のグリムガル』もいいですね。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ ディバースワールズ・クライシス』(MF文庫J)/『灰と幻想のグリムガル』(オーバーラップ文庫)

―― 流れるようにタイトルが次々出てきて、「好き」が伝わってきます。次に「死ぬまでに読むべき名作ライトノベル特集」もネットでバズりました。ここでもメディアミックス作品が多く入っていますね。

ミヤザワ:
 『シムーン』はもともとアニメが好きで、挿絵を描かれているのが西田亜沙子さんで、のちに「ラブライブ!」のキャラデザをされた方なんです。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ シムーン』(メガミ文庫)

―― 名作ライトノベルで『To Heart マルチ、がんばりますっ!』はなかなか入ってこないチョイスだと思います。

ミヤザワ:
 これはですねぇ、本当にゲームが好きなんですよ。『小説 北へ。―いつか出会うあなたに…』も同じ理由ですね。



 それと小説『仮面ライダー』、これはすごい名作です。本当に暗い話で、全然救いがないんです。悪の怪人側もいろんな葛藤があって。石ノ森章太郎を超えた小説であるといわれていますね。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ 仮面ライダー 1971-1973』(KADOKAWA/エンターブレイン)

―― 暗い作品がお好きなんですか。

ミヤザワ:
 明るい作品も好きですよ、『あそびにいくヨ!』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『やってきたよ、ドルイドさん!』とか。


かーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワかーずSP ライトノベル ブックオフ ミヤザワ あそびにいくヨ!』(MF文庫J)/『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(電撃文庫)


とにかく『Re:ゼロ』が推したくて企画した『ループものラノベ』特集

―― 次に、「史上最高の『ループもの』ライトノベル特集」についてですが、あらすじでループを明かしていない作品もありますし、自分が疎いジャンルでループものがある場合はどうやって調べてますか。

ミヤザワ:
 見つける方法は、とにかくひたすら調べる、検索するしかないです。例えばループもので言えば「ループ」「リセット」、そういう単語で延々と関連ワードを調べて、リスト化していきます。

―― その作業がループっぽいですね。


       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声