Googleも手を引いた「URL短縮サービス」、終了後にユーザーはどうなる?
収益化困難、詐欺への悪用……。
先日、Googleによる「goo.gl」で始まるURL短縮サービスが終了することが発表され、注目が集まりました。
長いURLをコンパクトにしてくれるURL短縮サービスは、知らないうちにお世話になっていることが多いWebサービス。あまり詳しくない人でも「bit.ly」や「t.co」といったドメイン名には何となく見覚えがあるのでは?
しかし、URL短縮サービスが終了すると生成されたURLが無効化され、膨大な数のリンクが使えなくなる恐れがあります。今回のGoogleの撤退に関心が集まったのも、おそらくこのためでしょう。
このまま運営を続けるわけにはいかない。でも、ユーザーに迷惑をかけるわけにもいかない――今回はそんな葛藤が見え隠れする“URL短縮サービスの散り際”を3パターンに分けて見ていきます。
Twitterに見放され終了→2日後に再開した「tr.im」
収益化のめどが立たず、Twitterにも見放されてサービス終了……そんな悲しい最後を迎えかけたのが「tr.im」です。
かつてのTwitterは、URLをそのままツイートの文字数にカウントする仕様になっており、短縮URLは欠かせないものでした。2009年まで、Twitterは「TinyURL」をデフォルトのURL短縮サービスに選んでいましたが、これを当時急成長していた新興サービスである「bit.ly」に切り替えたのです。
競合サービスである「bit.ly」がTwitterの“お得意様”に選ばれたことで、「tr.im」のユーザーへの求心性は低下。収益化もできておらず、サービスの譲渡先も見つからなかったことから、サービスの終了を決断しました。
しかし、ユーザーにとって心配なのは「サービス終了後、発行された短縮URLはリンク切れになってしまうのか」という点です。
ユーザーからの声を受け、同サービスは終了発表の2日後に限定的に運営を再開。商用サービスから有志が運営する仕組みへと移行してサービスが継続され、過去に発行したURLも有効なまま残ることになりました。
不正利用を防ぐためURLの全てを無効化した「p.tl」
短縮URLは「元のURLと異なる文字列になる」という性質上、詐欺サイトへの誘導などに悪用されることがあります。こうした懸念から、サービスの完全終了に至ったケースが「p.tl」。
運営していたのは日本発のイラスト投稿型SNSとして有名なpixivで、2014年のサービス開始から880万以上のURLを発行しましたが、2014年にURLの新規生成を停止しました。
問題になったのはその3年後、2017年のこと。サービスを完全に終了し、過去に発行された全ての短縮URLがリンク切れになると発表されてからのことです。理由としては、前述の「不正サイトへの誘導の根本的な抑止」などが挙げられました。
pixiv側は「過去に発行されたURLのうち、99%以上は既にアクセスがない状況」と発表しましたが、それでも「リンク切れしたら困る」という声は根強く、サービス終了の翌月には使えなくなったURLを復元するサービス「p.tlの墓」が登場しました。終了したp.tlは、第三者による転用が行われないよう、引き続きpixivによってドメインが所有されています。
Webコンテンツの探し方が変わった――「goo.gl」
冒頭で触れたGoogleの件が発表されたのは、2018年3月30日(現地時間)のこと。約10年前に開始した「Google URL Shortener」を、翌年3月末に終了することが告知されました。なお、発行されたURLの無効化については行わないと明言しています。

終了の理由としてGoogleは、「Webコンテンツの探し方はアプリやモバイル端末、ホームアシスタントなどへと変わっていった」「方向性を改めるためにgoo.glのサポートをやめ、それをFDL(※)に置き換える」と説明しました。
※FDL/Firebase Dynamic Links:スマホアプリ内のコンテンツへのリンクなどに対応した開発者向けサービス)
2008年頃から2010年頃にかけて、URL短縮サービスは一種の流行のように次々とプレイヤーが参入し、活況を呈していました。当時のWebと言えば、Twitterが大きくユーザー数を伸ばし、Amazonをはじめとするアフィリエイトサービスが市場を拡大していた頃です。
それから10年、数々のサービスが姿を消していったのは、Googleが説明するようなWebの環境変化が背景にあるといえるでしょう。今回紹介した以外にも、利用不可となりユーザーが困惑したサービスは多くあります。
ニュースになりやすいサービス開始時だけでなく、あえてそのサービスの散り際にまで注目することで、運営元の考え方やWebの大きな流れをつかむことができるかもしれません。
(マッハ・キショ松)
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