あれから10年、「ケータイ小説」が急速に廃れた理由とは? 現役女子高生に『恋空』を読んでもらった(1/2 ページ)
何がケータイ小説を“終わらせた”のか。
今から約10年前。日本中の女子中高生の間で大流行した、「ケータイ小説」を覚えているでしょうか。
10代の読者の方々はご存じないかもしれませんが、ケータイ小説は当時日本中で大ブームを巻き起こしたコンテンツであり、2000年代の若者文化を語る上でも重要なキーアイテムなのです。
ケータイ小説とはその名の通り、「ケータイ」で書かれ「ケータイ」で読む小説のこと。今でいう「ガラケー」で書かれたその小説は、素人が「実話」を元に書いたものがほとんどだとされています。
ただ、2017年現在、ケータイ小説という単語を久しく聞かなくなってしまいました。あれだけ流行したケータイ小説文化は、一体なぜ廃れてしまったのでしょうか。
今回はその歴史と背景を交えながら、なぜケータイ小説が若者たちの間でブームになり、なぜ急速に人気が衰えたのかを探っていきたいと思います。
参考文献
『ケータイ小説的。 “再ヤンキー化”時代の少女たち』/速水健朗
ケータイ小説の歴史
単にケータイ小説といっても、ひとくくりにして語るには難しい文化です。2000年代、携帯電話の急速な普及に伴い、さまざまなケータイカルチャーが中高生の間で人気となりました。特に「パケホーダイ」などの通信料定額サービスの影響で、“インターネットで遊ぶ”というハードルが低くなったことも背景にあります。
「前略プロフィール」「学校裏サイト」「mixi」「魔法のiらんど」「個人ブログ」「●●掲示板」(バンドメンバー募集・画像掲示板とか)などは、当時触れていた方も多いのではないでしょうか。
筆者は“非リア”な高校生活を送っていたため、専ら「2ちゃんねる」の住民でしたが(ROM専)、クラスの女子の大半はこのようなサイトで自らのプロフィールを作り、コミュニケーションをとっていたようでした。(今でいうTwitterやInstagramみたいなものですね)
時を同じくして、中高生の間で流行したケータイ小説。専門家に「小説をほとんど読んだことのない作者によって書かれ、小説をほとんど読んだことのない読者に読まれている」とも揶揄(やゆ)されるほど、当初は大人たちには全く相手にされていませんでした。
しかし、新垣結衣さん主演で映画化もされた『恋空〜切ナイ恋物語〜』を筆頭に、『赤い糸』『天使がくれたもの』『teddy bear』などいくつものケータイ小説が書籍として刊行されるやいなや、全国でベストセラーになりました。当時、街の本屋さんでアルバイトをしていた筆者は、平積みされたさまざまなケータイ小説を、子ども連れの主婦やスーツを着たおじさんが買っていった姿を記憶しています。
第一次ブームと第二次ブーム
さて、そんなケータイ小説には第一次ブームと第二次ブームがあることをご存じでしょうか。
現在30代以上の方々にとってのケータイ小説といえば、Yoshiさんが個人のサイト上で連載した「Deep Love」が脳裏に浮かぶかと思われます。この小説は2000年初頭に書籍化され、大ベストセラーになりました。(学校の図書室にもあった気がする)
この「Deep Love」を第一次ブームとし、本記事では次にご紹介する「第二次ブーム」にフォーカスしていきたいと思います。
2006年以降の「第二次ブーム」を語るうえで欠かせないのが、携帯サイト「魔法のiらんど」の存在。もともとは個人ホームページを作れる携帯サイトとして人気だった「魔法のiらんど」に、小説が投稿され、それが中高生たちの間で評判を呼び、次々と書籍化されるようになったのです。
それ以降、Chacoさんが執筆した「天使がくれたもの」を皮切りに、女性が“自らの恋愛経験”を小説の中に交えながら描く物語が、急速に世に送り出されるようになりました。
このような自らの「リアル」を前面に押し出した小説たちの中でも最も売れた小説が、美嘉さんが書いた「恋空〜切ナイ恋物語〜」。上下巻を合わせて160万部以上の大ヒットを記録。2007年の文芸書売り上げ第1位となっています(トーハン調べ)
そんな大ヒットを連発していたケータイ小説たち。しかしなぜ、急速にその名を聞かなくなってしまったのでしょうか。
その理由は、参考文献として挙げた速水健朗氏の指摘にもある通り、郊外在住の中高生が好む“音楽”からの影響があるのではないかと筆者は考えています。
浜崎あゆみがいなかったら、ケータイ小説はなかったかもしれない
ケータイ小説に出てくる主人公たちは、主に地方在住の中高生。最近は地元志向の強い「マイルドヤンキー」という言葉も生まれています。遊び場所は大きなショッピングモールやドン・キホーテ、車を使わないと行けないファミレスやカラオケボックスなど。「東京」という単語は、修学旅行先の候補くらいにしか出てきません。
先述したように、ケータイ小説は自分たちの“リアル”を押し出していた小説。ゆえに、当時書き手だった層も、それを好んで読んでいた層も、主に郊外在住の中高生だったと予測されます。(流行した後は都内在住者もいたと思いますが)
では、この郊外在住の中高生たちが特に好んで聴いていたアーティスト。どなたかお分かりでしょうか。
答えは、浜崎あゆみさんです。
実はケータイ小説は、浜崎あゆみさんと密接な関係にあります。
ケータイ小説の中でも一番にヒットした作品「恋空」を例に挙げると、この作品には恋人との死別、レイプ、妊娠、流産、リストカット、DV、地元のつながり、ドラッグなど、ケータイ小説の定番ともいえる要素が全て入っているのですが、それに比べ“固有名詞”がほとんど登場しません。一般的な小説であれば、物語の舞台の地名、主人公たちが通う高校の名前、最寄り駅の駅名などの“固有名詞”が入ってくるのですが、恋空のみならずケータイ小説は全体的に見てもこれらが入っていないのです。
にもかかわらず、なんと「浜崎あゆみ」というアーティストとその曲名は、“実際の名前”で登場します。このことは恋空だけでなく、他のケータイ小説も同じ。
ここから考えられる1つの結論は……。
ケータイ小説の作者は、浜崎あゆみさんが作ってきた世界観に感銘を受けて執筆している方がほとんどなのではないか、ということなのです。
浜崎あゆみさんの歌詞の特徴の1つに「泣ける」というキーワードがあります。浜崎さんは、過去のトラウマや、恋人関係、友人関係などの「リアル」を追求し、中高生の心に響かせました。そんなカリスマの詩に共感したリスナーが、自らの経験を交えて小説を執筆することは至極真っ当。ゆえに、浜崎さんがいなかったら、携帯小説は生まれなかったと言っても過言ではありません。
ケータイ小説を“終わらせた”ものたち
ただ、月日は流れ……。
浜崎あゆみさんが、中高生のカリスマではない時代になってしまい(と言っても現役バリバリのスターではあるのですが)、ケータイ小説もバイブルではなくなってしまいました。
その理由はいくつかありますが、1つの仮説として「代用品」がたくさん生まれたということを筆者は提示します。
1つ目の代用品が、「スマホ」です。Appleが「iPhone 3GS」を発売した2009年以降は、ガラケーからスマホに移行した若者が増え、それに伴いケータイ小説ならびに「ケータイカルチャー」も下火になっていきました。この2009年時点では、たくさんの携帯サイトがiPhoneに対応していなかったため、閲覧する人が極端に少なくなったという点もあるでしょう。特にmixiはアプリを作るタイミングが遅れたせいか、一気にTwitterやFacebookに人が流れてしまいました。
2つ目に、「AKB48」をはじめとするアイドルグループや、「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」「AAA」といったダンスグループ、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)という新しい音楽ジャンルなど、浜崎あゆみさんに変わる若者のカリスマが出現したこと。このグループの音楽性は、浜崎さんの詩によくあった「若者のリアル」よりも、「踊ろう、歌おう、みんなでウェイウェイ」系です。
“いろいろあるけど、元気出していこうぜ!”的なニュアンス(これは3.11の影響もあるかと思います)の音楽がニッポンに浸透し、ダークな雰囲気のJ-POPが売れない時代になっていきました。
そして3つ目、突如現れた黒船、Twitterです。多種多様な文化を肯定し、新書にも書かれたような“一億総ツッコミ時代”を作り上げます。これにより、今まで「身内」だけでコミュニケーションをとっていた中高生が地元のつながりを脱し、他の新しい世界に目を向けるようになり、「ケータイカルチャー」文化の衰退に拍車を掛けることになりました。
その他にもさまざまな原因があると思われますが、ガラケーや音楽(主にあゆ)と密接だったケータイ小説がこの時期を境に一気に衰退していったのです。
そんなわけで2011年以降は、ちまたの話題にあまり上らなくなってしまったケータイ小説ですが、次の項では今の時代にケータイ小説は通じるのかを実験してみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ミス東大の水着グラビアデビューに「東大まで行って」と失望の声 本人&現役グラドルも加わるネット論争に
DAIGOの姉・影木栄貴、ノーメイク姿の姉弟ショットで美形ファミリーぶり際立つ 「目元瓜二つ」「すっぴんでも綺麗」
ゲーム中も寝るときも……大好きなママから片時も離れない元野良ネコ 無防備すぎる寝顔が本当の子どものよう
飼い主、猫ちゃんの様子を見に行くとPCの前に座っていて……? 衝撃の展開に「独学で学んだ…?」「見なかったことにw」
愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙
息子に「ラーメンでも適当に作って食え」→男子高校生らしい自作ランチが「天才」「ヨシ!」と大好評
小木博明の妻、52歳のサプライズ誕生日会に「負荷などありましたが嬉しくて」 “母”ら豪華メンバー集結に「みなさんいい笑顔」「ハッピーで最高」
12歳のシニアワンコをドッグランに放ったら…… 目を疑う脚力にびっくり「カメラが追いつけない」「愛されてるんだなぁ」
「ちいかわ」知らない母が“ガチャ”挑戦→「変なの出てきた」と思わず泣き顔…… 珍エピソードに「笑った」
どこの温泉地に行くか迷ったら…… 「行きたい温泉が見つかるチャート」が参考になると話題に
- オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
- 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
- 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
- マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
- 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
- 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
- “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
- 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
- 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
- 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
- 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
- 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
- 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
- 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
- “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
- 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
- おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
- 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」