なぜ新潟や石川が「人口日本一」だったのか? 都道府県の人口推移から見る、日本近代化の歴史(1/4 ページ)

地方が今よりずっと元気だった時代は19世紀にありました。

» 2018年04月22日 11時00分 公開
[辰井裕紀ねとらぼ]
都道府県別「人口日本一」の移り変わり。かつて、広島や新潟、石川が「人口日本一」だった時代があった

 日本の人口は2017年10月1日時点で1億2670万人ほど。都道府県の人口1位はもちろん東京都で、1372.4万人。最下位となる47位は鳥取県で、56.5万人。その差は約24倍にもなります。

 現在ではあまりにも当たり前の東京の人口1位。しかし、かつては東京が人口1位ではなかった時代が続いたことは、あまり知られていません。


都道府県人口1位の変遷 現在は東京が1372万人、ぶっちぎり

都道府県人口1位の変遷 逆に人口ワーストは山陰と四国、北陸の県。

 元来日本はここまで東京一極集中ではなく、その地方に応じた産業が活発で、今より地方が元気な時代がありました。

 人口の統計がはじまった1872年から見てみると、実は東京ではなく、意外な都道府県がトップに立っていることが分かります。そんな思わぬ再発見の多い「歴代人口ランキング」(※)を見ていきましょう。

※:採用する人口データは、1872〜83年までは本籍人口。1884〜1907年までは乙種現住人口。それ以降は統計局の国勢調査・人口調査らを参考にしています。国勢調査以前の統計は若干精度に欠けるとされますが、ご了承ください。


統計開始後、最初の1位は広島県!(1872年)

 廃藩置県が行われた後、本格的な人口統計がはじまった1872年。当時の本籍人口はおよそ3311万人でした。人口1位は、江戸時代から行政首都であった東京……かと思いきや、実は広島(廣島)県で、91万9047人でした。2位は山口県で、82万7536人。当時の東京府は77万9361人と3位だったのです。

 なぜ広島なのか。それは江戸時代から瀬戸内海航路沿いの拠点として知られ、近畿地方で消費される綿や日用品、食品などの一大生産基地となり栄えていたからです。街単位でも江戸・大坂・京都・名古屋・金沢に次ぐ大都市として君臨していました。


都道府県人口1位の変遷 146年前の人口は、現在の4分の1強だった。写真は1872年に開業した横浜駅の様子(Wikimediaより)

都道府県人口1位の変遷 広島は1894年に臨時帝国議会が開催され、臨時首都の様相を呈したことも(広島市HPより)

江戸期から家康の力で繁栄した、愛知県が日本一(1873年)

 その翌年1873年。早くも1位は愛知県に入れ替わり、人口は121万7444人。廃藩置県後、尾張(知多郡を除く)は名古屋県、三河と尾張の知多郡は額田県と分かれていたのですが、1872年4月に名古屋県は愛知県となり、同年11月に額田県を廃して愛知県の管轄に移し、統合したことで日本一の人口県が生まれたのです。

 なぜ愛知が栄えたか。それは江戸・大阪につぐ城下町として地元出身の徳川家康が「6万人の街を丸ごと移転させる」など、過剰ともいえるほどの情熱を持って城下町づくりを行い、木曽の山林(御用林)も特別に与えたから。これにより財政が安定し、現在まで続く繁栄の基盤になりました。

 ちなみにこのときの2位が白川県。現在の熊本県で、八代県を吸収したことで、95万389人という当時の巨大人口県になりました。3位は広島県で92万5962人。東京はさらに順位が後退し、5位でした。


都道府県人口1位の変遷 当時の名古屋城は、一時的に金鯱がなかった。その金鯱はウイーン万博に出展され、帰国後、日本全国で公開された

都道府県人口1位の変遷 1873年時点での人口ベスト10。地図は現在のものを使用。(ビジュアル版 日本 歴史地図,カルチャーランド著,メイツ出版より)

19世紀ニッポンを代表する街「新潟」がついに登場!(1874〜76年)

 1874年、ここで19世紀における一大都市が1位に躍り出ます。それは新潟県。前年に柏崎県を合併したことで、人口は136万8782人に。この新潟県の天下は1876年まで続きます。1位の理由は、稲作に適した気候と、海運全盛期に主要の流通手段だった「北前船」の拠点だったことが理由だとされます(のちほど詳しく紹介)。

 2位はいまは無き“名東県”で133万5364人。徳島県+淡路島によって構成されており、これに加えて前年に香川県を併合したことでこの順位に飛び込みました。3位は愛知県で121万7521人、4位には木更津県と印旛県が合併して生まれた千葉県が104万3189人でランクイン。


都道府県人口1位の変遷 新潟県最大の繁華街だった、古町通(1873年)(新潟ふるまちより)

富山県と福井県を編入していた“大石川県”が1位(1877〜81年)

 さらに、1877年には新潟と同じ日本海側から新たな1位が登場します。それは石川県。人口はグッと上がって、180万6509人に達しました。実はこのとき、今の石川県の地域に加え、富山県と今の福井県の地域のかなりの部分を編入しており、広大な地域を誇っていたのです。

 2位は新潟県で150万63人。3位は愛媛県。前年に香川県と合併して、139万4091人という人口を誇っていました。4位は兵庫県で134万3758人。こちらは前年に飾磨県と豊岡・名東両県の一部を併合して現在とほぼ同じ県の区域となり、順位を上げています。

 この「大石川県」は、1881年まで5年もの間トップを守り通します。


都道府県人口1位の変遷 明治期の金沢駅の様子(Wikimediaより)

北陸は「口減らし」が少なかった

 それにしても、今ではちょっと地味な扱いをされることも多い「日本海側」の県がなぜ1位になったのでしょうか。

 北陸地方及び新潟は浄土真宗をはじめとした仏教が強く信じられた地域でした。そのため、口減らしのためにかつて日本中の多くの農村でみられた「間引き(赤ちゃんを殺すこと)」や身売りが非常に少なかったため、人口はどんどん増えていったのです。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/04/news113.jpg フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. /nl/articles/2403/04/news031.jpg 弟を出産したママをお見舞い、1歳息子が見せたけなげな姿が500万再生 かみしめる下唇に「背中から抱きしめたい」「涙腺崩壊」
  3. /nl/articles/2403/04/news068.jpg 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
  4. /nl/articles/2403/04/news086.jpg 明治のキャンディー「チェルシー」3月に終売 「販売を終了せざるを得ない状況」で53年の歴史に幕
  5. /nl/articles/2403/03/news012.jpg 築56年の小さな平屋→扉を開けると…… “予想もつかない内装”のレトロ物件に仰天「ギャップがすごい」
  6. /nl/articles/2205/10/news146.jpg フワちゃん、指原莉乃同乗のクルマで事故 瞬間を伝える動画が「予想の10倍ぶつけてる」「笑い事ではない」と物議
  7. /nl/articles/2403/04/news021.jpg 6歳娘「ママはどうしてパパと結婚したの?」 かわいい質問に隠された真意と軽快なトークに「人生何周目なん!?」「終始爆笑w」
  8. /nl/articles/2403/04/news096.jpg 辻希美、長女&長男の珍しい“年頃コンビ”ショット すっかり大人びた姿に感慨「16年前は想像も出来なかった」
  9. /nl/articles/2310/12/news116.jpg 1歳息子に付き合う柴犬、困惑しながらアンパンマンカーに乗り…… 優しい兄犬に「ワンコの表情w」「癒やされました」
  10. /nl/articles/2403/04/news016.jpg 眠る弟に膝枕する兄、カメラ目線で「し〜っ、だよ」と教えてくれた次の瞬間……! 衝撃の展開に「面白すぎる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  2. 庭にアジサイがあるなら知っておくべき!? 春になる前に急いでやりたい“大きな花を咲かせる”お手入れ術に反響続々
  3. 生まれたばかりの孫に会いに来た両親、赤ちゃんを見た瞬間号泣し…… 幸せあふれる光景に「一緒に泣いちゃいました」
  4. つんく♂、「僕の大好きな妻」と元モデル妻の貴重ショット公開 「めちゃくちゃお綺麗」と反響
  5. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. 「ずっと手を触って」「強烈な口説きが」 グラドル、元K-1王者のセクハラ行為を“告発”→反論しバトルに 「引っ込んどけよロバは」謎の容姿罵倒で流れ弾も
  7. 2歳娘、帝王切開で入院するママの前では強がっていたが…… 離れてから号泣する姿に「いじらしくて可愛くて朝から泣いた」
  8. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. 長女と赤ちゃんの夜のルーティンが「可愛いしか言えん」 愛が強すぎな姉から逃げる姿に「嫌いじゃないのねw」「素敵な姉妹」
  10. 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」