コラム
» 2018年04月29日 11時00分 公開

「ドラマの視聴率爆死」はどこまで本当? 記事に書かれない録画視聴者らの存在

「後で見る」人を加味すると、数字が倍になる番組も。

[マッハ・キショ松,ねとらぼ]

――― ○月○日に放送されたテレビドラマ「○○」第○話の視聴率が○.○%だったことが分かった。前回より○.○ポイント低下し、早くも2けたを割ってしまった格好だ。

 テレビ番組の視聴率低迷をテーマにした記事では、こんな書き出しがよく使われています。筆者が確認した限り、ネット記事の場合は放送から数日以内と、スピーディーに公開されることが多いようです。

 この“視聴率”は一般に「リアルタイムでの世帯視聴率」を指しており、録画などによる視聴は対象外。ですが実際には、ひとまず録っておいて時間に余裕があるときに見ている人も多いはずです。「視聴率爆死」記事は、どこまで信用できるのでしょうか。

いわゆる“視聴率”は総合視聴率ではない

 視聴率にはいくつかの分類があり、その調査を手掛けるビデオリサーチは「リアルタイム視聴率(単に視聴率と呼ばれることも)」「タイムシフト視聴率(放送から7日間以内に再生による視聴)」を合算し、重複分を引いたものを「総合視聴率」と定義しています。

 つまり、週1放送のテレビ番組であれば、放送を生で見た人の割合がいわゆる“視聴率”、録画利用者などを含む次回放送までに見た人の割合が総合視聴率ということになります。


ビデオリサーチによる各種視聴率の定義。「視聴率」は「リアルタイム視聴率」とも呼ばれます(視聴率ハンドブック)より


いわゆる“視聴率”に加え、タイムシフト視聴率を考慮したものが総合視聴率(視聴率ハンドブックより)

 この“視聴率”、総合視聴率のデータを比べると、ある傾向が見えてきます。バラエティやアニメ、ドラマなどはタイムシフト視聴率が伸び、“視聴率”と総合視聴率の差が大きくなりやすいのです

 例えば、TBS系列放送の日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士- SEASONII」最終回は、総合視聴率で平昌五輪開会式(NHK総合)を押さえ、2018年1月クール(1月1日〜4月1日)第2位になりました(※)。

 しかし、リアルタイム視聴率だけ見ると五輪開会式が30.1%であるのに対し、99.9最終回は21.0%と大きく下回ります。この逆転現象の原因は、タイムシフト視聴率。五輪開会式のタイムシフト視聴率は1%以下、99.9最終回は13.1%と大きな差があるのです。

※ 調査エリアは、東京都島部を除く関東1都6県。視聴率には「世帯」「個人」という区分もあるが、ここでは世帯。


2018年1月クール総合視聴率TOP30。平昌五輪、箱根駅伝とスポーツが高順位に入っています。なお、調査概要などの詳細はビデオリサーチWebサイトからご確認ください


高いタイムシフト視聴率で、99.9最終回が総合視聴率第2位に(ビデオリサーチWebサイトより)

 このような傾向は他の番組にも見られ、箱根駅伝の総合視聴率は往路/復路ともに29%台。ですが、タイムシフト視聴率は0.1%しかありません。2018年1月クールのタイムシフト視聴率を見るとTOP30はドラマ、アニメ、バラエティばかりが並んでいます。


2018年1月クールタイムシフト視聴率TOP30。総合視聴率のランキングに登場した平昌五輪、箱根駅伝、ニュース番組の名前はなく、ドラマ、バラエティ、アニメがずらり。ジャンルによる視聴スタイルの違いが読み取れそうです(ビデオリサーチWebサイトより)

放送から1週間で、総合視聴率が倍増するドラマも

 おそらく「結果をその場で知りたいスポーツ番組などはリアルタイムで。じっくり楽しみたい番組は、録画などを使って後で見る」という視聴スタイルが一般化しているのでしょう。しかし、「この番組の視聴率(リアルタイム視聴率)が低迷」という記事でやり玉に上がるのは、たいていバラエティやドラマです

 メディア側には「視聴者が番組内容をはっきり覚えているうちに、早く記事を出したい」などの考えがあるのかもしれませんが、結果が悪く見えるデータを根拠に「この番組は不評だ」と主張する形になっているのです。

 例えば、フジテレビのドラマ「海月姫(くらげひめ)」1月22日放送回のリアルタイム視聴率は6.9%。一部メディアは「打ち切り危機」「月9ワーストの崖っぷち」などと報じました。

 ところが、1月クールのタイムシフト視聴率ランキングでは、同放送回が第13位にランクイン。リアルタイム視聴率とほぼ変わらない6.5%を記録しており、総合視聴率は12.5%と記事内の“視聴率”の約2倍に跳ね上がります。


「海月姫」Webサイト


確かにリアルタイム視聴率は高くないのですが、タイムシフト視聴率は好調。ちなみに、同クールの別番組では「タイムシフト視聴率がリアルタイム視聴率を上回る」というもっと極端な事例も(ビデオリサーチWebサイトより)

 もちろん、タイムシフト視聴率が伸びる傾向は他作品にも共通しており、これらのデータから「海月姫の総合視聴率は、同クールに放送された他のドラマと比べてものすごく良かった」と説明することはできません。

 とはいえ、リアルタイム視聴率だけを取り上げるように、データの一部に着目してよいのであれば、「この放送回の海月姫のタイムシフト視聴率は、6.6%の『相棒 season16 元日スペシャル(※)』に匹敵する高さだった」という風に、肯定的に評価することも不可能ではないのです。

※ 相棒season16元日スペシャル:テレビ朝日系列で1月1日放送。リアルタイム視聴率は15.4%で、総合視聴率は21.2%。


 タイムシフト視聴率が登場したのは比較的最近のことで、2016年から関東地区での調査がスタート。2018年には関西、名古屋地区にも導入される予定です。ビデオリサーチは、この取り組みについて「視聴者の実態をより明確に捉えたメディアデータを提供する」狙いがあると説明しています。

 視聴率は、統計学に基づいて算出されたデータの1つ。センセーショナルなニュースで使われることもありますが、他の客観的な情報同様に正しく理解できるように注意したいものです。

マッハ・キショ松

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2107/23/news003.jpg ぬいぐるみを抱いて眠る保護子猫、寂しくなって……? 飼い主さんのもとへ行く姿がもん絶級にかわいい
  2. /nl/articles/2107/22/news018.jpg 【漫画】夫の買い置きを勝手に食べ、謝る妻だったが…… 思いがけない夫の愛ある言葉に「前世は仏様か?」の声
  3. /nl/articles/2107/22/news009.jpg 「私たち、どうして終わったんだっけ」―― 元カレと再会して本当の“別れの理由”に気付く漫画が切なくも心に刺さる
  4. /nl/articles/2107/22/news011.jpg リモートワークになったので田舎に移住してみたら…… ワケありなメイドさんと暮らすことになった漫画に「かわいい」「うちにも来てほしい」の声
  5. /nl/articles/2107/23/news050.jpg 小学生に読書感想文の書き方教えるテンプレが最高にわかりやすい 学生時代に「欲しかった」と2万“いいね”
  6. /nl/articles/2107/23/news014.jpg 「目がおかしくなりそうなぐらいアザラシの最中作っています」 まんまるでコロコロな「アザラシ最中」がずっと眺めていたくなるかわいさ
  7. /nl/articles/2107/23/news006.jpg シリアスなの? ギャグなの? 漫画「エスパー少女が花嫁を奪いにくる話」にツッコミが追いつかない
  8. /nl/articles/2107/22/news039.jpg 「ベンツが似合いすぎる」 矢沢永吉、28歳・ソロデビュー間もないころに買った愛車を披露 「やっぱ最高にセンスがイイ」の声
  9. /nl/articles/2107/23/news002.jpg 【なんて読む?】今日の難読漢字「蕩ける」
  10. /nl/articles/2107/22/news005.jpg 赤ちゃんウサギの世話をするハト 大きくなってもあたため続ける姿に愛があふれている

先週の総合アクセスTOP10

  1. 上野樹里、“娘”の誕生日に愛情たっぷり手作りオムライス公開 「がんばろうね ママより」と祝福メッセージ
  2. 石橋貴明&鈴木保奈美が離婚報告 今後は“事務所社長と所属俳優”として「新たなパートナーシップ」構築
  3. 元ブルゾンちえみ・藤原史織、最新ショットに反響 「更に痩せた?? 可愛すぎる」「素敵です!! 足細いですね」
  4. 「美容師人生の集大成を見せる」 タンザニアハーフ女子を縮毛矯正したら「美容師ナメてた」「人生変わるレベル」と360万再生
  5. 出勤時、妻にいつになく強く抱きしめられた夫→妻が家に帰ってくると…… 何気ない日常を描いた漫画にツッコミつつもジーンとする
  6. 怒られたシェパード、柴犬の後ろに隠れたけど…… でっかくて丸見えなしょんぼりワンコが応援したくなる
  7. 塚本高史、中2長女&小6長男の背の高さに驚き 「なんじゃこいつらの成長の早さは!」「俺身長抜かれるんか?」
  8. 「声出して笑った」「狂人度高くて好き」 自転車泥棒を防ごうと不吉そうな箱を自作→まさかの結末迎える漫画が話題に
  9. 石橋貴明の娘・穂乃香「お父さん大好き」 幼少期キスショット公開し「愛されてますね〜」「ステキな写真!」と反響
  10. 基地で生まれ育った子猫、兵士が足踏みすると…… まねをして一緒に行進する姿がかわいい

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「産んでくれた親に失礼」「ちょっと我慢できません」 上原浩治、容姿批判のコラム記事に不快感あらわ
  2. ホワイトタイガー「あっ、落としてもうた」 うっかり子どもを落とした母と、落ちてゆく子どもの表情がじわじわくる
  3. がん闘病の大島康徳、肝臓に続いて肺への転移を告白 息苦しさに悩まされるも「大して成長してない」
  4. 「目パッチリです」 宮迫博之、最高難度の美容整形を決行 クスリ疑惑もたれたクマやほうれい線の一掃で“別迫”に
  5. 石橋貴明の娘・穂乃香「お父さん大好き」 幼少期キスショット公開し「愛されてますね〜」「ステキな写真!」と反響
  6. 大島康徳、ステージ4のがん闘病でげっそり顔痩せ 相次ぐ通院に「正直かなりしんどかった」
  7. 山に捨てられていたワンコを保護→2年後…… “すっかり懐いたイッヌ”の表情に「爆笑した」「かっこよすぎ」の声
  8. 「ブス、死ね」 りゅうちぇる、心ない言葉への返答が感銘を呼ぶ 「心もイケメン」「りゅうちぇるのおかげで自己肯定感上がった」
  9. 『はらぺこあおむし』の版元、毎日新聞の風刺漫画を批判 「おそらく絵本を読んでいない」
  10. 小林礼奈、4歳娘を連れて夕食中に客とトラブル 痛烈コメント受けて「私たち親子を悪にしたい人がいる」