「鉄道会社は鉄ヲタを採用しない」という都市伝説は本当か 鉄オタ学生がガチ鉄道事業者と模擬面接に挑む(2/2 ページ)
続いては帝京大学鉄道研究部の大塚泰成さんが登場。笑顔がとてもさわやかですね。「面接に加えてステージの上、生放送もあるので緊張しています」と大塚さん。
大塚さんは旅行好き。以前、旅行移動中の京阪電車で忘れ物をしたところ、とても親切に対応してもらい感動したのだとか。「たくさんのお客さまにサービスで感動を提供したい」と考えたのが志望動機だそうです。
どんな職種を希望するのか。「お客さまと接する駅務をしたい。そこでキャリアアップを重ねて信号関係に進みたい」と答えます。駅務から信号取り扱いに進めるのかと向谷さんが確認すると、東京メトロでは「できますね」とのこと。大塚さんは運転業務に携わらなくてもよいようです。
京阪電車からは「お客さまという言葉が自然に出たのがうれしい」とまず高評価。「少子化時代に向けて、お客さまへのサービス向上のためにどんな手段が考えられるか」の問いに大塚さんは「鉄道はお客さまに乗っていただくことが重要。そして、沿線に住んでいただくことが重要です。通勤、通学、外出に利用してもらえてそれが収入となる。だから結果としては、お客さまに住み続けたい街作りを、鉄道を中心として関連施設を連携させることが大切です」と立派な回答。「その通りですね」と京阪電車の方はうれしそうです。
大塚さんのクレペリン検査は、「前の2人の方に比べるとマイペース。ゆっくり気味な傾向はありますが、最後まで作業効率が落ちていないところに彼らしさが出ている」と内田さんは解説しました。
結果は「京阪電車」のほかに「阪神電車」「東京メトロ」から札が上がりました。東京メトロは「サービスや接客についてのポリシーを既に持っていること、緊張していながらもそれを糧に受け答えしたことに感動した」。阪神電車は「緊張していながらも、質問に関して真摯に受け答えをしていた」。京阪は「やっぱり自然な笑顔。駅務係としてすぐにがんばってもらいたいほど」。真面目さと笑顔が大きなポイントになりました。
さて最後は帝京大学鉄道研究部の尾道裕太さん。「幼いころに住んでいた家のすぐそばに電車が通っており、そして小中高と鉄道が好きなまま大学生になった。自分が好きなものを支えていきたいため」と志望動機を述べます。
尾道さんは西武鉄道沿線に住んでいるそうです。そして、さまざまな鉄道に乗って最も好きな電車は京阪電車なのだとか。そして、「2200形、2400形、2600形が好き。細かい編成の違いが好き」と、なんだかマニアックな編成の話を展開し始めます。ともあれ、「細かいところまで見てもらっているとは、鉄道に携わるものとして普通にうれしい」と京阪電車の方はニコニコです。
ここでJR九州から「あなたのポテンシャルを全て出した笑顔を見せてほしい」という奇問が。「笑顔……!?」と一瞬困る尾道さんですが、いい笑顔を見せてくれました。
尾道さんのクレペリン検査は、「安全適性ではほとんど問題ない。運転関連、車掌関連でも対応できる資質を持っている」という結果でした。ちなみに内田さんによると、オリンピックで金メダルを取れるような人は、鉄道関係の安全適性とは真逆の結果が出るのだとか。「もちろん、これがいい悪いという話ではなく、自身に合った、適した仕事があるということですね。学生の皆さん、自分の活躍できる仕事を見つけて、がんばってほしいです」と内田さん。
結果は「JR九州」「静岡鉄道」「京阪電車」から札が上がりました。JR九州の札は、先ほどの笑顔がよかったのでしょうね。「しっかりと自分を持っていましたし、ユーモアもありました。これであればどんな困難も一緒に乗り越えられそう」。また、静岡鉄道からもはじめて札が上がりました。「いろいろな経験をしていたということ。小さいことからはじめて、次に成長していこうという意気込みを感じたので上げました」。
はじめはどんな内容になるのか不安でしたが、結果を見るととても興味深い企画でした。
「情熱を持った受け答えがよかった」「自分の好きな鉄道を出してくるので気持ちよかった」「自分をどうアピールするか、面接官の質問に思ったことを素直に答えるのが一番」「鉄道会社を目指している方は夢を持って輝いてほしい。その輝きは目に出ます」「鉄道に対する愛を感じた。あの頃の気持ちを思い出さないといけない」など感想を述べた鉄道各社の面接官も、ユーモアの混じる企画とはいえ自社の未来に向けて真剣に考察している姿が印象的でした。
結論。鉄道ヲタクであっても、鉄道会社には就職できます。今回公開模擬面接に挑んだ4人と、鉄道の仕事がしたい学生の皆さん、夢に向かってがんばってください!
(岩泉茂)
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