ニュース
» 2018年05月16日 19時00分 公開

絵本のような大人向け短編『二匹のばけもの』 赤ん坊を拾った二匹のダークでユーモラスな物語

小さいばけもの「赤ん坊は水で飼えないらしい」大きいばけもの「まぎらわしい」

[宮原れい,ねとらぼ]

 樫尾 了(@ka40ryo)さんがTwitterに投稿した短編作品『二匹のばけもの』が「切ない」「引き込まれる」「胸にくる」とさまざまな反響を呼んでいます。絵本のような雰囲気で描かれたユーモアのあるダークな内容が、何度も読み返したくなる世界観です。


 物語は、ある日二匹のばけものの大きい方が、食べるために人間の赤ん坊を拾ってきたことで始まります。ちょうどペットの金魚が死んだ直後だったこともあり、小さい方の案でやはり赤ん坊を食べずに飼うことにする二匹。

 彼らは、人間とは別の常識の中で生きる二匹の“ばけもの”であり、直接的なシーンこそないものの、生活の中で人をあやめることもあり、一見すると暗く恐ろしいお話です。


二匹のばけもの 漫画 絵本 短編 赤ん坊 飼う 金魚の代わりという理由で赤ん坊を飼うことにした二匹のばけもの

 ですが読んでいくと、二匹の印象的なせりふから、彼らは純粋な感情を元に行動していることも伝わってきて、だんだん憎めない存在になっていくのを感じます。

 本を通して人間について少しずつ学ぶ彼らは、赤ん坊が母乳を飲むと分かると人間にわけてもらいに行き「うるさい奴だな」と殺してしまいますが、牛の乳でも大丈夫なことに気付くと「背に腹は代えられん」と牛を居間に置きます。

 また赤ん坊が成長すると学校へ連れていき、家に友達を連れてきた日にはお茶を入れてその友達を食べてしまいますが、悲しむ子どもを見て「すまない俺らへのお土産だと思ったんだ」「泣くなよ 友達ならまた見つけてくればいいじゃないか」と、謝ったり励ましの言葉をかけたりします。


二匹のばけもの 漫画 絵本 短編 赤ん坊 飼う 友達は食べちゃいますが、自分の子供が泣くと謝る二匹

 そして「名前なんて無い方が良いさ その方が何にだってなれるだろう?」という理由で彼らが“子供”と呼ぶ拾い子は、いつの間にか年老いていきます。そこでようやく彼らにとっては「やけに短い」寿命が近いことに気付き、「せいぜい可愛がってやろう」と言ったタイミングで、大きい方のばけものが間違えて弱った“子供”の首を取ってしまいます。

 「ごめん…」「いずれ死んでた 仕方ないさ」という会話が、淡々としつつも愛情があったことが分かって、静かな切なさを覚えます……。

 その後小さい方が「生き返りのまじない」として、怪しい鍋を煮込み始めます。実際には輪廻転生の呪いらしいこの儀式を経て、死んだ子供を地中に埋める2人。ついでに「肥料としては申し分ない」と林檎の種も埋めて、長い時間がたったラストには、大きく大きく育った林檎の木がベンチに座る二匹の背後にそびえ立ちます。子供の生き返りを待ち続ける二匹のばけものはひと言、「戻ってこないなぁ」と呟くのでした。


二匹のばけもの 漫画 絵本 短編 赤ん坊 飼う せりふから、彼らが人間からするとほとんど永遠のように生きているのが想像できます

二匹のばけもの 漫画 絵本 短編 赤ん坊 飼う 植えた林檎がここまで大きくなるほど、長い年月の間待ち続ける二匹のばけものでした……

 作者の樫尾さんによると、同作は短編漫画「同じ顔シリーズ」の前日譚(物語の始まるきっかけのお話)で、続く『足の遅い兎』と『勇気』では、今回育てられ最後に輪廻転生の呪いをかけられた“子供”として登場する黒髪の男が、違った物語・世界で描かれています。どちらも若干のグロ要素を含みますが、pixivでも公開されているので、興味がある方はのぞいてみるといいかもしれません。

 なお樫尾さんは、自身の作品については「正解の解釈は用意していないので見た方それぞれで自由な想像をしてもらえたらうれしい」とも話していて、さまざまな見方による感想はどれも歓迎だとしています。




 独特な読後感にTwitterでは「すっごい染みる」「とても好き」と称賛と感動の声が多く集まり、世界観に引かれたという声からばけものの言葉が好きという声まで、人によっていろいろな感想を抱いているのが分かります。

 また大人向けの絵本作家としてカルト的な人気を誇るエドワード・ゴーリーを連想したという声も見られますが、ゴーリーは樫尾さんが好きなアーティストの1人で、同作は特に意識して描いたため、そこに気づいてもらえたこともまたうれしいとコメントを残しています。

 ちなみに「絵本で欲しい」といった声もありますが、絵本ではないものの樫尾さんが7月発行予定の漫画短編集に収録する予定とのことです。




画像提供:樫尾 了(@ka40ryo)さん



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2112/03/news106.jpg 45キロ減のゆりやんレトリィバァ、劇的変化の“割れたおなか”に驚きの声 「努力の賜物」「昔を思い出せない」
  2. /nl/articles/2112/03/news085.jpg 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  3. /nl/articles/2112/03/news088.jpg ダレノガレ明美、“痩せすぎ”指摘する声に「体絞っていました」 現在は4キロの増量 「ご安心ください」
  4. /nl/articles/2112/02/news159.jpg 骨折で入院のLiLiCo、小田井涼平との密着夫婦ショットで退院報告 「大きな男が迎えに来てくれた」
  5. /nl/articles/2112/03/news006.jpg 「楽しくないでしょひとりじゃ」→「楽しいですが」 バイト先のおひとりさま女子を描いた漫画に共感の嵐
  6. /nl/articles/2112/02/news156.jpg お台場のガンダムが撮影ミスでめちゃくちゃ発光 奇跡のショットが「自爆寸前」「トランザム付いてたっけ?」と話題
  7. /nl/articles/2110/12/news157.jpg 「身長もすっかり抜かれてしまった」 新山千春、15歳娘との長身2ショットで成長をひしひしと実感する
  8. /nl/articles/2112/02/news121.jpg 「俺、死ぬな」 はじめしゃちょー、5日続いた39度の熱で救急病院へ 4キロ減した“意外な原因”に「みなさんも気をつけて!」
  9. /nl/articles/2112/02/news133.jpg 岡田義徳、家族4人での初集合ショットが「愛あふれる写真!」と反響 妻・田畑智子は約8カ月ぶりのインスタ登場
  10. /nl/articles/2103/19/news141.jpg 鈴木光、美しい和服ショットで東大卒業を報告「先生と友人に感謝です!」 お別れ近づき“涙の祝福”メッセージ殺到

先月の総合アクセスTOP10

  1. 池田エライザ、 “お腹が出ている”体形を指摘する声へ「気にしていません」 1年前には体重58キロ公表も
  2. 「前歯を取られ歯茎を削られ」 広田レオナ、19歳デビュー作で“整形手術”を強制された恐怖体験
  3. ゴマキの弟・後藤祐樹、朝倉未来とのストリートファイトで45秒負け 左目腫らした姿を自ら公開し「もっと立って闘いたかった」
  4. 清原和博の元妻・亜希、16歳次男のレアショットを公開し反響 「スタイル抜群」「さすがモデルの遺伝子」
  5. 小林麻耶、おいっ子・めいっ子とのハロウィーン3ショットに反響 元気な姿に安堵の声が続々「幸せそうでなにより!」
  6. カエルに普段の50倍のエサをあげた結果…… 100点満点のリアクションに「想像以上で笑った」「癒やされました」
  7. 「左手は…どこ?」「片腕が消えてる」 中川翔子、謎が深まる“心霊疑惑”ショットにファン騒然
  8. 「家ではまともに歩けてない」 広田レオナ、左股関節に原因不明の“炎症” 夫から「凄い老けたと言われてます」
  9. 小林麻耶、髪ばっさりショートボブに「とても軽いです!」 ファンも反応「似合います」「気分も変わりますよね!」
  10. キンタロー。浅田舞の社交ダンス挑戦を受け体格差に驚がく 「手足が長い!!」「神様のイタズラがすぎるぞ!!」