小学校プールをウミガメやサメが泳ぐ 廃校舎を水族館にした「むろと廃校水族館」、非日常感と懐かしさで人気
高知県室戸市にある児童減少で廃校となった小学校。4月に水族館として生まれ変わったところ、GWに1万人が訪れるなど大人気に。
小学校のプールを、ウミガメやサメがのびのびと泳いでいる……! 廃校舎を水族館にしてしまったという施設「むろと廃校水族館」(高知県室戸市)が、珍しい鑑賞体験を味わえる場として大きな注目を集めています。4月26日のオープン後、ゴールデンウィークの9日間だけで1万人が訪れるという人気ぶり。来館者数は累計1万5000人を超え、誰もいなかった校舎が再び活気を取り戻しています。
「むろと廃校水族館」は2006年に児童減少により廃校となった旧椎名小学校を再活用した水族館。3階建ての校舎は、1階はエントランス、2階は水槽のある鑑賞ゾーン、3階は骨格標本などを置いた展示ゾーンに。3〜3.5メートル大の円形水槽3基、小さめの四角い水槽16基を設置し、室戸沖の海洋生物を90種類ほど展示しています。
人気の理由の1つは、小学校内をたくさんの魚が泳いでいるという非日常感です。教室のど真ん中に円形水槽が立ち、数百匹のサバの大群が回遊。廊下に水槽が並び、マツサカウオやタカアシガニといった室戸の生き物が彩ります。手洗い場も海水が張られ、ヒトデやナマコと触れ合える「タッチプール」に変身。うがいや歯磨きをしたり、書道の筆を洗ったりと、あの思い出深い銀色の槽内に海の生き物が漂っています。
特に目を引くのは屋外プール。おなじみの25メートルコースを、アオウミガメやクロウミガメといったウミガメが20匹、他にもサメやエイがゆうゆうと泳いでいます。来観客もその様子を校舎の2階から見下ろして興奮の声をあげているそうで、先日Twitterに来観客が投稿した動画は5万回以上リツイートされるなど反響を呼びました。教室の窓から見えるプールに魚影……白昼夢が現実になったような光景にわくわくせずにはいられません。
「学校の懐かしい雰囲気を楽しんでくれるお客さんも多いです」と話すのは、室戸市観光ジオパーク推進課・課長の山崎桂さん。
館のキャッチコピーは「いつでも参観日」。校舎内には実際に学校で使われていた机や椅子をそのまま置いたり、黒板にスケジュールや解説をチョークで積極的に書いたりと、魚だけでなく昔ながらの学校らしさを出すことにも力を入れています。理科の実験で使うビーカーやてんびん、社会の世界地図など、年季の入った用品をオブジェとして展示することも。それらを年配客が凝視していたりと、普段は立ち入れない小学校の空気を味わえる空間としても好評を博しているようです。
廃校舎を水族館にするという試みは、室戸市でウミガメの研究をしているNPO法人・日本ウミガメ協議会のアイデアから始まりました。
室戸市が廃校舎の再活用の意見募集をしていたところ、同協会がプールでウミガメの飼育をしながら研究もしたいので、水族館を運営するのはどうかと提案。室戸沖で穫れる海洋生物を展示することで、室戸の資源を生かした観光交流の拡大、地域の活性化につなげていけるという狙いのもと、改修計画が決まりました。
展示する生き物は地元漁業関係者に協力してもらえることに。室戸沖の漁で中心となっている、沖合で潮の流れを読んで網を仕掛けて待つ「定置網漁」で獲れた魚のなかで、市場では扱わないような生き物を提供してもらっているそうです。おかげで室戸沖の海中の世界を、校舎の水槽で生き生きと映し出せています。
オープン後から約1カ月半で、来場者数は累計1万5000人超え。特にゴールデンウィークは1日2000人以上の日もあるなど多くの人が足を運び、山崎さんも「正直ここまでの人が来てくださるとは思っていませんでした」と驚きます。室戸沖の生き物の珍しさに興味を示すのは県外客だけでなく、地元客にも「室戸にはこんなにいっぱい魚がいたんだ」と地域の魅力を再発見してもらえているそうです。
今後の展示については、「これから夏にかけて海が暖かくなり、変わった魚や大型魚が定置網に入ってくると思います。そうした室戸沖の自然の魚を水槽に入れることで、企画を練らずとも色とりどりで魅力的な展示になると期待しています」とのこと。
8月25日〜9月2日は“夜間学校”と称し、22時まで小学生の夏休みの宿題を手伝う企画も準備中。もはや“廃”の文字はふさわしくない賑わいを手にした旧椎名小学校――廃校舎の再活用モデルとして全国から注目を浴びていきそうです。
画像提供:むろと廃校水族館
(黒木貴啓)
関連記事
- 鹿児島の水族館、20年何もない水槽「沈黙の海」 「不気味」「アート」と反応さまざま 続ける意図は
「怖い」「トラウマ」と話題を呼んだこともある衝撃的な水槽。開館20年を迎えても設置し続ける理由を、いおワールドかごしま水族館に取材した。 - 学校に泊まれるぞ! 廃校を改装した宿泊施設「さる小」がわくわくする
グラウンドやプールも貸し切りできて、素泊まり1人3150円! - 21年前のワープロ「書院」で2018年にインターネットをしたら、無間地獄に突入した
ネット機能を搭載した21年前のワープロで、2018年のネットの世界を見てみました。 - 昭和の香り漂う喫茶店「カド」。入ってみたら……想像を絶する異空間だった!
古き良き。 - 昭和期のフード自販機だけの飲食店「自販機食堂」が群馬県にオープン
ラーメンもトーストサンドも全自動で提供されるレトロ&ジャンク感が最高。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」