JALが自転車輪行用の箱「SBCON」を開発 自転車ファンが「泣いて喜ぶ」のはなぜか?(2/3 ページ)

» 2018年07月02日 10時30分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

「飛行機輪行」はもっとハードルが高い

 新幹線と同じように、旅客機へも輪行袋に正しく入れれば持ち込めます。こちらは持ち込むといっても、空港カウンターで預ける「手荷物として」です。大きいスーツケースと同じ扱いですね。各航空会社が定める手荷物の重量、大きさの制限内であれば追加料金は掛かりません。

 ちなみに筆者は飛行機での輪行はやったことがありません。年に1〜2回くらいしかロードバイク旅に出ない初心者レベルなためでもありますが、飛行機輪行はとってもハードルが高いためです。

 ということで、筆者の友人で飛行機輪行経験者、そして漫画「いきなりロングライド!!」著者のアザミユウコさんに飛行機輪行のポイントを聞きました。この話を聞けば「ああ、それは面倒だわ」という気持ちを分かってもらえると思います。

「部品が破損しないようにする」──この対策がすこぶる面倒

 飛行機輪行で特に面倒なのが「部品破損の対策」だと言います。ロードバイクはかなり高額で、繊細な乗りもの。手荒い運送中の衝撃で部品が壊れてしまうことがあります。

 国民生活センターが実施したテストによると、輪行袋に入ったスポーツタイプの自転車を30センチ程度の高さから地面に落としただけで「ディレイラーハンガーが曲がる」ことがあるそうです。ここが曲がってしまうと、ギアチェンジをしたときに部品が車輪に巻き込まれて車輪が急停止する可能性があります。知らずに乗ってしまうと、極めて危険です。そもそも、大切にしているものが壊れるのは悲しいことです。

国民生活センターの報告書 落下試験の結果、破損してしまうことがある(国民生活センターより)

 しかし、預けた荷物は航空会社に委ねることになります。ときには手荒く扱われてしまうこともあるでしょう。そのために要所要所を緩衝材でしっかりと養生をし、また、荷物を預けるときにどのように取り扱って欲しいかをきちんと説明するなどで工夫をしているそうです。

 この面倒さは大きな壁です。初心者からすると「養生ってどうやんの?」「説明って何を説明するの?」から疑問はつのるばかり。さらに養生のやり方も「これなら絶対」という方法はありません。「壊れやすい部品は外しておく」という人もいるし、「傷ついても気にならない丈夫な自転車(ディレイラーガードなどが付いている)を輪行用にしている」という人もいます。

 そのため、何が正解か、何をすればいいのかが分からずに不安。「だから、大変そうなので諦めよう」。初心者のロードサイクルファンからすると、飛行機輪行は鉄道よりかなりハードルが高い方法なのです。

国民生活センターの報告書より ディレイラーガードがあると変形しなかった(国民生活センターより)

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