月ノ美兎が語るヤバイ少女漫画『秘密のチャイハロ』(1/2 ページ)
『なかよし』で連載しているすごい漫画をご存知ですか?
バーチャルYouTuberの月ノ美兎(つきのみと、愛称:委員長)が気になったコンテンツを紹介するコーナーです。月ノ美兎はかつてねとらぼの企画で“クリオネ”を食べたことがあります。
今回取り上げるのは『なかよし』(講談社)で連載中の少女漫画『秘密のチャイハロ』。原作は放送作家の鈴木おさむさん、作画は桜倉メグさんです。8月9日に第1巻が発売された同作は、「子どもの貧困」「小学生の格差社会」をテーマにスタートしたといい、低年齢向けながら非常にインパクトのある内容となっています。以下、対談形式でお届けします。
あらすじ
主人公の愛(あい)はいつも前向きで元気な女の子。病気がちの母親と二人暮らしで、お金はない。「貧乏」を理由に学校でバカにされる日々だったが、ある時イケメンの先生に秘密のチャイハロの話を聞く。そこでは大金がもらえるものの、おそろしい仕事を依頼されるという。なんとか愛は面接を突破し、チャイハロで働くことになるのだが――
こちらがヤバイ漫画『秘密のチャイハロ』です。チャイハロとは「チャイルド・ハローワーク」。選ばれた子どもだけが行ける、高収入のヤバイ仕事を紹介してくれる場所です。
し、少女漫画なんですよね?
はい。テーマは「子どもの貧困」らしいですよ。
重い。原作は鈴木おさむさんで、ドラマ「奪い愛、冬」(2017年)を見たなかよしの担当さんが漫画作りを依頼したそうですね。
連載時は扉絵によく「圧倒的No.1」と書かれています。『カードキャプターさくら』を凌ぐんですかね。鈴木おさむ作品といえば、私は「芸人交換日記」(舞台版)が好きです。オードリー若林さんと田中圭さんが主演で、最後にある場所でする漫才がふつうに面白い。
なるほど……。実に委員長向けな漫画だということがよくわかりました。
主人公の貧乏っぷりが結構すごいですよ。1話早々、愛ちゃんが6着の服を着回ししているところをクラスメイトが雑誌にまとめちゃうんです。こんな凝ったいじめ、あまり見たことない。
無駄にクリエイティブですね。
お父さんが借金を作って他の女の人と逃げちゃって、お母さんは一人で育ててくれたけれど、愛ちゃんが4歳のときに事故で右足が動かなくなって、体も弱って病気がちに。それで親戚の雪江(ゆきえ)さんが住む場所を貸してくれてるけれど、物置なうえに家賃も払えてないんです。
これはもう、国の保護のもとで生活した方がいいのでは……?
雪江さんは一瞬普通の人そうにみえてすごいんです。この顔とか。
「あなたたちは死ぬまで不幸のまま ずぅっとわたしに家賃をはらいつづけるのよ!!」
悪魔じゃないですか! これを小学1〜2年生が読んでいると。
ヤバすぎますよね。「なかよしはチャイハロがあるから読んじゃいけません」っていう人もそのうち出てくるんじゃないですか?
(笑)。
チャイハロの場所もすごいですよ。図書館でカチッと本を入れるとゴゴゴゴと出てくる。夢のある登場の仕方です。
ツッコミどころはありますが、王道的な少女漫画っぽい展開ですね。
働くためには面接に合格しないといけなくて、落ちると『カイジ』の星がなくなっちゃった人が行くような部屋に連れて行かれちゃうんですね。
子どもがめちゃくちゃ泣き叫んでる……。
そして面接になると「1億かせぐ小学生になりたくはないか?」と聞かれます。
1話目から話のスケールがデカい。
キャラを立たせるためにリンゴを食べている感じがよいですね。
面接では愛ちゃんが大嫌いなゴーヤを食べさせられるんですね。全部食べたら3万円やる、と。「でも、これ生…」って言ったら「貧乏人が好き嫌いしてんじゃねぇよ!」って言われる! 貧乏人が好き嫌いしてんじゃねぇよ……人生で1回言ってみたいセリフですね、うふふ。
好き嫌いの問題ですかね、これ……?
それで愛ちゃんは「これをゴーヤだと思うな 諭吉だと思え」と言われて食べさせられるんです。格言ですよ。
……。どうですか、この食事シーンは?
かっこいいですね。ゴーヤの作画も丁寧だし、このリョナ顔……!! 「胃の中でゴーヤが暴れているみたい」という愛ちゃんのグルメレポートも味があります。
そんな読み方をするのは委員長だけでは(笑)。
なかよし読者はこういうドSな男の人にときめいちゃうのかもしれないですね。このエピソード(MONEY.2)の後編では雪江さんがわざわざお弁当を作ってきて、目の前で犬に食わせるといういじめを披露するんです。
また手の込んだ嫌がらせが……!
愛ちゃんのことを考えて、愛のある……。雪江さんの能面顔は印象的ですね。
実は、この犬と愛ちゃんは仲が良いんです。そしていい話を挟んで犬への愛情を高めてから、初めての仕事として「(別の)犬の処分」を命じられてしまう。
展開がエグい……! 引きが上手ですね。
放送作家ならではの、ドラマの引きですからね。ターゲットの犬はリンゴという名前で、飼い主の梨子(りこ)ちゃんは愛ちゃんと同じく貧乏で母子家庭。お母さんがお金持ちのお父さんと再婚するんですが、そのお父さんが大の犬嫌いで、チャイハロに「リンゴの処分」を依頼するんです。それが愛ちゃんに回ってくる。報酬は10万円です。
これは悩ましい。
でも、愛ちゃんは指令に背くんですね。そしたら仕事放棄扱いされて炎に焼かれそうになってしまいます。
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