「テロップは全て人力でした」 史上初の「パワプロ風野球中継」 実現の陰にあった3つの壁とパワプロ愛(1/3 ページ)
プロ野球の試合中継をゲーム「実況パワフルプロ野球」風に配信し、大きな反響を呼んだAbemaTV。実現までにはさまざまな苦労が――プロデューサーの押目隆之介さんに話を聞いた。
プロ野球の試合中継を、野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」風に生配信する――パワプロ好きにとっては夢のような企画が、9月に「AbemaTV」で実施された。パワプロ第1作目の発売は1994年と、20年以上続く人気シリーズにもかかわらず、プロ野球中継とコラボしたのは史上初めて。企画の発表時点で大きく話題になっただけでなく、フタを空けてみれば中継の視聴数は通常の約2倍、コメント数も3倍以上と大盛り上がりとなった。
しかし発売元であるコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)や球団側を納得させながら、現実の試合にゲームの仕様を融合させるのは一筋縄ではいかなさそうだ。AbemaTV側は壁をどのように乗り越え「パワプロ風野球中継」というホームランをかっとばせたのか――スポーツ局野球中継担当プロデューサーの押目隆之介さんに話をうかがった。
「ストライク」等のテロップは全部人力 スタッフは通常の倍以上に
――史上初のパワプロ風野球中継となったわけですが、どういった経緯で実現に至ったのでしょうか。
押目: 前々から社内の企画出しでは、野球中継をパワプロ風にできたらおもしろいよね、という話はずっとあったんです。転機は1月から始めた大相撲の中継で、力士のデータを格闘ゲーム風に表示する企画がある程度実績が出たというところで、「野球でもユニークな中継はいけるんじゃないか」と宣伝部に協力をもらいながらKONAMIさんにご提案したのがパワプロ企画の始まりです。
――大相撲のステータスグラフはネットでも相当話題になりましたもんね。
押目: 話が出たのは4月あたりで、KONAMIさんには6月くらいに企画を持っていきました。最初はパワプロのブランド面や各所への調整が必要とのことで、KONAMIさん側でも迷いの色があったようでなかなか進まなかったのですが、こちらも企画をだいぶ煮詰めて「再現度もかなりのレベルまで高めて話題化させます」と粘り強く話を持っていった結果、ようやく実施が決まりました。ただ、決まってからが大変でしたね(笑)。
――どんな苦労があったんでしょうか。
押目: 大きく3つです。1つは企画を出落ちにしないよう、厚みをもたせて番組そのものをおもしろくしていく作業。2つ目は映像、技術面。3つ目は各所への配慮ですね。
まず「厚み、おもしろさ」でいうと、ただ「中継をパワプロ風にする」だけだと飽きられてしまう懸念がありました。いかに視聴者を留めさせるかということで、懐かしのパワプロのキャラクターを出したり、実況をパワプロ内で実況している堂前英男さんにお願いしたり。あとは解説者として招いた多村仁志さん、元木大介さんに現役時代のパワプロの能力値データを見てもらったりしました。
――あれは熱かったですね。多村さんが「確かに右方向に打てていたから『広角打法』はうれしい」とか、元木さんが「俺って『ケガしやすい』の?」とか、自分の特殊能力にツッコミをいれるという。
押目: そうやって企画出しにはかなり時間をかけて厚みをもたせていきました。特にキャラクターが出るとコメントの盛り上がりが違いましたね。「●●が出た」「懐かしい」みたいに……あと定番キャラの矢部くんはあえてすぐ出さずにいたんですが、「矢部くんまだ?」「まだ出ていない」とじわじわ熱が高まっていきました。
――矢部焦らし(笑)。
押目: 満を持して矢部くんを出したら、コメントも「出たーー!!」と白熱するという(笑)。キャラクターって重要なポイントだったんだなと学びを得られました。
2つ目は「技術」です。パワプロの「ストライク」「ボール」「アウト」「ホームラン」みたいなテロップって、簡単に実装できるだろうとなんとなく思っていたら思いの外大変で……。
――テロップは投球ごとにも何げなく出ていましたが、AIとかプログラミングとかで出していたんですか?
押目: 全部人力ですね。
――人力……!
押目: 裏側は超アナログですよ(笑)。テロップを出すスタッフがストライク担当とボール担当それぞれ構えていて、主審が判定を出した瞬間にクリックして表示するという。さらに球速表示役、「BSO」のいずれかを点灯させる役……普段の野球中継ではテロップ担当のスタッフは2人しかいないのに、今回は7人ぐらいいました。まさか倍以上になるとは……。その他、現場ディレクターやアプリケーション担当なども増員しています。
テロップも表示されて消えるまでの動きがそれそれ違うんですよ。「ストライク」や「ボール」は中央でふっとフェードインする、「ホームラン」は右から流れてきて止まったあと、少し光沢が出る……とか。単にテロップの画像を1枚もらって表示するだけではこの動きまで再現できないためKONAMIさんに多大なるご協力をいただき、連番ファイル(コマ送りのようなもの)を全データいただいたんです……(笑)。
こんな調子で、何をどういう風に出すのか、誰が担当するのか、企画が通ってからは9月まで映像・技術とひたすらすり合わせましたね。
――あのテロップ1つにそこまでの工程があったとは……。
本当は出したかった「能力値」「調子マーク」
押目: 3つ目は「配慮」です。まずはKONAMIさんへの配慮。さっきのテロップの動きもそうですが、キャラクターの設定など向こうが納得するレベルで原作を模倣しなくてはいけませんでした。
特にキャラクターのコンセプトは厳格で。猪狩守の口調はこうで、こんなことはしゃべらない、この場面ならこんな表情はしません、など1キャラ1キャラに明確なルールが存在したんです。このキャラ2人は同じ場面で出てくることはないのでやめてください、このキャラたちは「実際のプロ野球選手とかかわらない」という裏ルールがあるので出せません、とか(笑)。
なのでオンエアで使うであろう告知文言は全部洗い出して、このキャラにはこういうことをしゃべらせたい、と全キャラ・全パターンをKONAMIさん側に確認してもらったんです。その修正作業はオンエア前日まで行いました。
――細かすぎる……でもそのこだわりがキャラ登場時にコメント欄での盛り上がりにつながったわけですよね。
押目: やっぱりそうですね。言い回しまで全部模倣させてもらったので。
もう1つの配慮は、球団側に対してです。今回の中継では、パワプロ内での選手の能力値、調子マーク、顔のグラフィックデザインなどは球団との話し合いの中で「やめておこう」となりました。“パワプロ風”と掲げる上で肝となる部分なので、僕はすごく出したかったんですけどね……!
――ですよね、やっぱりのあの選手データが実際の野球中継で出てきたら胸熱すぎます。
押目: 「チャンス×」とか「三振男」といったネガティブなデータが出たら選手はどう思うかなとか、簡単に表示するわけにはいきませんね。そこが今後の課題かなと思います。代わりに折衷案として解説者の多村さんや元木さんの能力値を出すことはなんとかOKもらえたんですが、これがコメントで盛り上がってよかったです。
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