「朝礼と掃除は仕事じゃないからタイムカードは今から切ります」 実話に基づいた「ブラック企業体験イベント」が完全にホラーだった

「残業は1日10時間まで」「ノルマ未達成だから罰金10万円」……パワーワードが多すぎる。

» 2018年11月26日 16時06分 公開
[ねとらぼ]

 去る11月23日(勤労感謝の日)に開催された、リアルに「ブラック企業」を体感できる参加型エンターテイメント「THE BLACK HOLIDAY(ザ・ブラックホリデー)」(関連記事)。本イベントに参加してきたので、当日の闇深い様子をご紹介いたします。




 ビル1階に到着するとフロア案内板に「スーパーミラクル」「ハッピー株式会社」と変な行間の入った表示が。そう、参加者はこの架空の健康器具販売会社「スーパーミラクルハッピー株式会社」の新入社員として“出社”するところからイベントが始まるのです。




 エレベーターで上がると、早速「新入社員なら30分前に来て掃除をしておくものでしょ!」と待っていた先輩社員から叱責が。一息つく暇もなく、全員がそろうまで先輩社員の監視と怒号のもと、部屋の隅から隅まで掃除をさせられました。掃除中、まわりをよく見渡すと「残業なき労働に価値なし」「残業は1日10時間まで」「土曜日が出勤日になります」などの張り紙が。まだ始業時間にもなっていないのに、すでにやばそうなにおいがプンプンします。




 全員が揃ってようやく朝礼がスタート。朝礼では、大声で社訓とともに社名である「スーパーミラクルハッピー」を読み上げさせられるのですが、誰か一人でも声が小さかったり、全員のタイミングが合わないと連帯責任として、何度でもやり直させられます。ようやく朝礼が終わると「掃除と朝礼は仕事じゃないから、タイムカードは今から切ります」と、この30分間が無給だったことを知らされます。まだ入り口にも立ててなかった!



 ここからようやく本来の、というか有給の業務がはじまるのですが、まずは新人研修の一環で社製品である1本30万円の「ツボ押しX2018」の営業研修がスタート。営業成績トップの先輩社員からは「独居老人宅にターゲットを絞れ」「どんなことをしても契約にもっていけ」「相手を脅してでも契約にもっていけ」などの説明を受けますが、これって詐欺では……? もちろん、そんな疑問をぶつけられる雰囲気でもなかったのですが、会社として積極的に推進しているのが本当に闇深いなと思いました。詐欺、ダメ。ゼッタイ。



 さらにこの営業研修ではロールプレイングも行うのですが、途中「先輩のくせに頑張ってない」と後ろの席で仕事をしていた先輩社員に白羽の矢が。「先月は3台しか売れずノルマ未達成だから罰金10万円」「ノルマのために今すぐ家族に電話をして売りつけろ」と強要されます。「年金暮らしだから勘弁してほしい」という先輩社員の訴えも虚しく、全員で取り囲む形で電話をさせ、強引に契約を成立させていました。



 その後は、入社前の宿題であった「商品の販売戦略についての企画書」を持ちグループごとに社長面談へ。企画書を一通り見てもらい「これはいいんじゃないか」と筆者の企画書が選ばれたのですが、すかさず先輩社員が「それ実は自分が書いたんです!」とアピール。まさかの、先輩社員に手柄を横取りされてしまいます。横取りに成功した先輩社員へは、ご褒美として金一封がその場でプレゼントされていました。わたしがもらえたはずだったのに……!



 他にも、労基の抜き打ちチェックのためにやばい張り紙を全員ではがしたり、一枚一枚手書きでダイレクトメールを書かされたり、今日一日のことを反省する「反省文」を書かされ一人一人全員の前で朗読させられたりと、理不尽なことばかりで構成されていた本イベント。ブラックづくめな一日でしたがようやくタイムカードが切られ、今日の業務は終了……と思いきや、ここで残業ということで紙の束を渡されダイレクトメールの続きを書くよう指示が! 朝までやっても絶対に終わらない量に目の前が真っ暗になったところで、ようやくイベントが終了。

 終了後に聞いてみると実際の体験時間は約90分だったそうですが、体感としては本当に一日働かされたかのような疲労感がありました。つ、辛かったー! かなり精神的に疲れたイベントでしたが、今回体験したさまざまなブラックな出来事は全て、「3社に1社がブラック企業」と言われている日本で本当にあった出来事をベースに作られているそうです。それが一番闇深い!

 企画・制作を行った株式会社人間によると、本イベントは「参加者がリアルに体感することで、本当にいい職場とはなにかを考え、自分たちの働き方を見つめ直すきっかけになること」を目的としており、「同様にイベントを行ったり、企業研修などに導入してもらえたりしたら」とのこと。演出は益山貴司氏、出演は劇団 子供鉅人、監修はブラック企業アナリストの新田龍氏。


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