初体験、だいぶ前に済ませたって本当ですか、かぐやさん? 「かぐや様は告らせたい」3話(1/2 ページ)

かぐやの孤独が見える、転機のような回です。

» 2019年01月27日 00時00分 公開
[たまごまごITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 (C)赤坂アカ/集英社

 恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(原作アニメは、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディー。とっても愛しくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。


かぐや様は告らせたい


彼と彼女の性知識観

 財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。

 アニメ3話は、かぐやの置かれた複雑な境遇が見える回。そして御行に惚れざるを得ない回です。


かぐや様は告らせたい なんか安心しますね(1巻P75)

 清廉潔白容姿端麗眉目秀麗なかぐやと御行。割とお硬い学校の会長・副会長の2人は、生徒からの憧れの的。よもや煩悩なんて抱いていないんじゃないかくらいに思われていますが、そこは思春期の男女、煩悩はあります。あんな事やこんな事をしたいかぐやと、ドエロい事をしたい御行。なんかホッとします。

 ただしよく見てほしい。御行が割と直球なのに対して、かぐやの「あんな事やこんな事」はぼかしすぎていてなんのことかわかりません。これが後に大変な大惨事を招くことに……。

 没収になったティーン向け雑誌を見てしまったかぐや。そこに書かれていたのは「初体験はいつだったアンケート」。あるある。どうやって集計しているんだろアレ。藤原書記は純粋っ子なので、これには赤面。「そんなにしてるハズありません!」と絶叫。

 ところがかぐやは、思わぬ反応を取ります。


かぐや様は告らせたい !?!?!?!?!?(1巻P79)

 藤原書記「まさかとは思うのですがかぐやさんはその……経験あるんですか?」

 かぐや「はい だいぶ前に」

 これは、NTRシチュ……! 結論としては「かぐやは初体験の意味を知らない(キスだと思っている)」「御行が焦っているのを見て、有利を取ったつもりになっている」という2つの面で余裕を見せているだけ。

 こういう性的な「経験あるなし」はなぜ、意地を張りたくなるんでしょうね人類は。このあたりを謙虚になれる人種なら、かぐやと御行もすんなり告白しているでしょうから、然るべき展開だったとは思います。ただしその分、勘違いした時の恥と言ったら無い。


かぐや様は告らせたい 藤原書記えらい(1巻P91)

 ここで大失敗し、「初体験」の真実を知ったことで大きく成長したのでした。涙目になるほどの恥をかくという代償を払って。ここできつい役回りをちゃんと担って、16分に渡る性教育を行った藤原書記は、本当にいい友達だと思います。

 かぐやとしては穴掘って埋まりたい大惨事。けれどもこれで、御行はかぐやの重要な部分を知ることが出来ました。ウブだ、ということもそうですが、かぐやが外側を知らないほどの箱入り娘だということです。

 プライドの高い彼女だから、いろんな事を知ったかぶりするかもしれない。だからなおのこと、いろんな人に自分のことを真の意味では知ってもらえていない。そして周囲も彼女に世界の真実を教えていない。それって、とてもさみしいことだ。


知らない世界

 かぐやは財閥の長女。あらゆるものから守られ、仕えの者が四六時中ついている。けれどもそれと「愛されている」のは別物。

 学校に行く時も運転手付きの車で送り迎え。2574回車の窓から外を見ているそうです。単純計算すると小学校1年生の時から高校生の現在まで、全て車登校なのがわかります。

 そんな彼女が、人生で初めて、歩いて登校をしました。


かぐや様は告らせたい 生まれて初めての徒歩通学(1巻P172)

 「徒歩で学校に行ける機会なんてもう無いかもしれない……」というかぐやの言葉がヘビーすぎる。この登校は彼女にとって冒険であり、たった一度のチャンスです。目的は、御行と一緒に登校すること。彼とタイミングを合わせるために時間を調整する乙女っぷりを見せます。

 しかし途中で、泣きじゃくる小学生に遭遇。放っておけないあたりが、かぐやの根の優しいところ。


かぐや様は告らせたい ちゃんとってなんだろう?(1巻P179)

 「ひとりはいや みんなと一緒がいい!!」と泣く少女にあきれていたかぐや。

 でも「ちゃんとしてた」って、なんだろう。自分はずっと車の中にいて、みんなが仲良く登校していたのを見ているだけ。

 かぐやは、自分のさみしい感情について、まだ理解しきれていないようです。あるいは、わかっているけれどもフタをして押し殺しています。本当は、自分はどうしたいのだろう。「ちゃんとする」のは、自分の気持ちに嘘をついて我慢することなのか、あるいは、はっきり形にして、言葉で表現することなのか。

 このあたりが不器用なので、告白もできないし、人にうまく優しくすることもできない。周りにもなかなか、本当の気持ちを理解してもらえず、「高嶺の花」扱いされてしまい、気づいたら孤立してしまっている。

 人間は、自分を知ってもらうには、言葉にしなければいけない生き物。でも気持ちを発言できない環境にいるもんだから、かぐやは諦めるしかない日々を送りかけていたようです。

 そこに、本当に偶然にも、御行が彼女の前を通り掛かりました。


かぐや様は告らせたい 彼女の心に一瞬だけ、自由の翼が生えた(1巻P186-187)

 御行は、遅刻しないために道交法を破って二人乗りをする、という無茶理論でかぐやを後ろに乗せ、自転車で爆走しました。

 初めての自分の意志での外出。初めての規則違反。初めての憧れの二人登校。あらゆるものからかぐやが解き放たれた瞬間でした。もちろん規則を破るのはいいことではないけれども、家の規範にがんじがらめになっていた彼女にとって、この「自由」の体験は大きな意味があったはずです。


あなたのことをよく知りたい

 御行は天然なところがあるので、自転車二人乗りはあまり打算のようなものはなく、素なんでしょう。

 ただ彼は心の奥の部分で、かぐやがいろんなものを押し殺した人間になろうと徹し、今は少しずつ丸くなってきているのに気づいています。


かぐや様は告らせたい 最初は髪形も違ったようです(1巻P151)

 かぐやは今まで、自分の気持ちを言っていません。自分の置かれた環境の話も、寂しさも、ましてや恋心も。お互いが「好き」を言わないように計算しあっているせいでもありますが、かぐやの場合はもうちょっと事情が複雑。

 言葉にしないと伝わらない、人間の気持ち。でも御行はかぐやを見続けてきたことで、聞かなくてもかなり見抜いています。真っすぐな部分も、ひねくれた部分も。

 たいていコミカルなオチにはなるけれども、それも含めて御行にはかぐやの気持ちが伝わっている。これは家にとらわれた彼女にとって、救いの光です。藤原書記のゴリ押しなかぐや好き好きも……いや、あれは何も考えていない可能性もあるのかな……。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた