アルゴンキン、ピースナウ、プトマヨ…… ゴスロリパンクブランドは本当にV系と共に衰退したのか?(1/2 ページ)

衰退の理由は「ヴィジュアル系の人気が低下したから」?

» 2019年03月20日 20時00分 公開
[水田眞子ねとらぼ]

 パンクやゴシックの要素を取り入れたブランド「ALGONQUINS(アルゴンキン)」の 運営会社が破産し、話題を呼んでいます。過去にヴィジュアル系のファンが好んで着用していたことから、V系ブームの衰退と共にブランドも終了したのではないかという声も上がっていますが、実際はどうなのでしょうか? ゴシック・ロリータ・パンクなどのファッションと、ヴィジュアル系を愛するライターが分析します。

アルゴンキンと、ゴスロリパンクブランドの相次ぐ終焉

 蝶やスカルなどのプリントや、ベルトやネクタイなどのマスキュリンなデザインに、アシンメトリーなパターン。パンキッシュなテイストをカジュアルに落とし込んだアイテムで知られるブランド・アルゴンキンを展開するアーミッシュの破産は、SNSでも大きな話題となりました。

 Twitterでもアルゴンキンがなくなることを惜しむ声が数多く投稿されました。しかし、そのほとんどが「持っていた」「好きだった」という、ブランドを懐かしむもので占められており、現在のユーザーはそう多くはないことが感じられます。

 ここ5年ほど、アルゴンキンと同じく黒を基調とし、パンクやゴシックの要素を盛り込んだアパレルブランドの休止・終了が相次いでいます。2013年にはオリジナルのキャラクターのアイテムも人気があった「PEACE NOW(ピースナウ)」の運営会社が破産、2017年にはアリスなどのガーリーなプリントとダークな要素をかけあわせた「PUTUMAYO(プトマヨ)」がブランドを休止しました。

 これらのブランドの共通点として語られるのは、バンギャル=ヴィジュアル系バンドを愛好するファンが好むブランドだということ。ハードな雰囲気がヴィジュアル系の世界観と合うことや、実際にヴィジュアル系バンドが衣装として着用していたことがその理由としてあげられます。

 そのため、ヴィジュアル系人気の低下とともにブランドの売り上げも下がっていったのではないかという見方もされています。しかし本当にそれがブランド終了の直接の要因なのでしょうか。

ヴィジュアル系がブームと呼ばれたあのころ

 ヴィジュアル系がブームと呼ばれたのは2005年ごろ。「ネオ・ヴィジュアル系」という言葉が生まれた時代です。この時期には、the Gazette(ガゼット)、Alice nineなど、数多くのバンドがメジャーデビューを果たしました。

 このネオ・ヴィジュアル系の波は去りましたが、現在のヴィジュアル系シーンの人気が低迷しているかというと……必ずしもそうではありません。メジャーデビューするバンドは当時より減ったものの、ジャンルとしては安定した人気を維持しており、武道館や幕張メッセイベントホールなどの大規模な会場でのライブを敢行するバンドも見られ、ヴィジュアル系のフェスも定期的に開催されるなど、盛り上がりを見せています。

 ヴィジュアル系はブームが去り市場が縮小したのではなく、ネオ・ヴィジュアル系の時代よりもバンドの人気が細分化し、より多彩なバンドが生まれているということができるでしょう。

ライブ”参戦服”の変化

 洋服の話に戻りましょう。ヴィジュアル系ファンはライブに行くことを”参戦”と呼ぶことが多く、1回のライブに対し文字通り”戦”に行くような気合いを入れることも少なくありません。

 以前は、その気合いをメンバーのコスプレやお気に入りのコーディネートなどファッションで表すことが多かったのですが、近年その傾向は弱まり、現在はライブの物販で購入したTシャツなど、動きやすい服装で参加する人が増加しています。

ゴスロリ ライブの“参戦服”が変化している

 これには主に3つの理由が考えられます。1つめは、ネット発達によりSNSアカウントの特定などを危惧し、ファンが目立つ格好を避けるようになったこと。2つめは、ライブのエンターテイメント性をモッシュなどのスポーツのような運動量に振ったバンドが現れ、服装に実用性が求められるようになったこと。3つめは、物販の売り上げ=バンドの資金源になるという知識が浸透した結果、バンドTシャツが売れるようになったことです。

 参戦服がカジュアル化した結果、アルゴンキンなどのヴィジュアル系らしい服装のファンは現場から年々減っていきました。ブランド終了はヴィジュアル系バンドそのものの衰退ではなく、ファンのライブの楽しみ方の変化の影響を大きく受けているのではないでしょうか。

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