「魔法のiらんどは死んだ」と思っている“インターネット老人会”の皆さん ……それ、錯覚みたいですよ

KADOKAWAに取材したところ、無料ホームページ作成サービスは今も使われているとか。

» 2019年04月11日 11時00分 公開
[マッハ・キショ松ねとらぼ]

 「かつてのインターネット文化などについて語り合う人々の集まり」を意味するネットスラング「インターネット老人会」。実際にそのような会合が存在するというよりは、“インターネットの昔話”をするTwitter上のハッシュタグなどとして定着しています。

 そこに投稿されたツイートを見てみると、「キリ番」「テレホーダイ」「ギコ猫」「FLASH」、さらには「魔法のiらんど」など、懐かしい言葉がズラリ。ああ、あの頃のインターネットはもう過去の存在になってしまったのか、と思わずにはいられませんが……実は誤解があることも。

 というのも、「魔法のiらんど」は現在も運営が続いており、媒体資料によると、月間PV(ページビュー)はなんと10億もあるのだとか。過去の存在どころか、現役バリバリで活躍している同サービスについて、KADOKAWAに取材しました

「無料ホームページ作成」で人気を集めた魔法のiらんど

 魔法のiらんどのサービス開始は1999年。ちょうどNTTドコモによる「iモード」が提供され始めた時期にあたります。iモードの普及により、携帯電話は「話すためのもの」から「メールやWebサイト閲覧など、さまざまに使えるもの」に変わったともいわれており、魔法のiらんどは「携帯電話の発展と歩みをともにしたサービス」ということができるかもしれません。

 ドワンゴと業務・資本提携した2006年の資料を見ると、当時の魔法のiらんどの月間PVは約12億(6月時点)で、「日本最大級のコミュニティーサイト」という位置付け。さまざまなサービスが提供されていましたが、特に有名なのは「携帯電話向けの無料ホームページ作成」で、自分のWebサイトを開設した覚えのある読者も多いはず。

 ただ、中高生くらいの年代で利用して黒歴史を作ってしまった人もいるとかいないとかで、もしかすると「魔法のiらんどを使っていた記憶はあるが、あまり思い出したくない」という声も少なくないかもしれません。残念ながら、似た事例は他サービスでも数えきれないほど報告されているので、本質的な原因は「自分自身の若さゆえの過ち」というやつでしょう。認めたくないものだな……。


かつてのTOP画面。ガラケーのボタンを連打して、スクロールした記憶ありませんか?

サービス内容を大きく変えないまま、現在も運営

 暗い話はさておいて、スマホ全盛の現在、魔法のiらんどはどうなっているのでしょうか。KADOKAWAに話を伺ってみました。

―― 魔法のiらんどは現在、どのようなサービスになっているのですか?

 現在のWebサイトはスマホからのアクセスを前提としたデザインになっており、開始当初と比べると、まったく違うサイトのように見える部分もあります。また、見た目が変わった理由としては「お客さまが投稿する画像などのクオリティーが、かつてよりも高くなっていること」も挙げられるかもしれません。

 ですが、提供しているサービスのテーマ、大まかな内容は変わっていません。開始当初からあるホームページ作成サービスは、今も多くのお客さまにご利用いただいております。


現在のTOP画面。右の画像は小説サイトのもの


現在も残っているホームページ作成サービスを使ってみました。アクセスカウンターがけっこう回っていますが、訪問者は自分だけ(出来を確認するために、何度も更新した結果)

―― かつては「日本最大級のコミュニティーサイト」などとサービス内容が紹介されていましたが、現在は「小説や、ティーン向け情報が無料で楽しめるガールズエンターテインメントサイト」など。この変化の理由は?

 先の通り、サービスとしてのテーマなどはあまり変わっていないのですが、時代の変遷とともに、SNSなど「無料でより多くの人により多くの情報を発信できるサービス」が大変多くなりました。

 魔法のiらんどの特徴や、今人気のサービスをより分かりやすくお伝えするため、このような説明の仕方をしています。小説投稿サービスは2000年にスタートしたもので、現在、もっとも人気があります。

―― 現在のユーザー層は?

 約40%が10代の女性です。サービス開始当初のデータを見ると20〜24歳がピークになっているのですが、ケータイ小説(※)がブームだったころに10代の女性が増えました。その後、10代の割合がやや減少しながらも、現在のようなユーザー層となりました。

※ケータイ小説:携帯電話で書いたり、読まれたりしていた小説。魔法のiらんど発の作品では「恋空」(作:美嘉さん/2006年書籍化)などが有名。同作はTVドラマ化、映画化、マンガ化とメディアミックスが行われた

―― 魔法のiらんどは、ケータイ小説の投稿先としても有名でしたね。これまでにどれくらいの作家を輩出しているのですか?

 投稿した小説を書籍として刊行したユーザー数はこれまでに170人ほどおり、現在も続いております。

 また、2018年には電子マンガサービス「ピッコマ」で行われた「ピッコマ AWARD 2018」で、「恋空」を原作としたコミック(作画:羽田伊吹さん)が受賞しています。

―― 「恋空」って10年以上前の作品でしたよね?

 魔法のiらんどに投稿される小説はほとんどが恋愛もので、その内容は時代の移り変わり、ユーザーの年齢にあまり影響されることなく、お客さまからお客さまへ届けられているのかもしれません。


現在もWebマンガサイトで人気だというマンガ版「恋空」。ちなみに、双葉社から刊行された紙のコミックは、2009年に完結。息の長いコンテンツになっているようです(画像はピッコマより)


 今回の記事で分かったことを簡潔にまとめるなら、以下のような感じでしょうか。

  • 魔法のiらんどは現在も続いているし、かなり利用されている(月間10億PV)
  • 時代の流れでサイトの見た目は変わったが、提供しているサービス内容はあまり変わっていない
  • 現在人気があるのは、10年以上前からあった「投稿小説サービス」
  • 「恋空」は今でも有力なコンテンツ

 では、なぜインターネット老人会では「魔法のiらんど = 過去のWebサービス」と扱われることが多いのでしょうか。筆者も同老人会に所属する1人の人間ですから、正直に言うと、この現実とは向き合いたくなかったのですが……。

 同サービスのユーザーは若年層が多いことを考慮すると、「年を重ねたネットユーザーは世代交代で“卒業” → 現在の動向が見えなくなり、自分たちの中で『過去のもの』と捉えるようになった」というのが真相なのかもしれません。認めたくないものだな、自分自身の、年をとったが故の過ちというものも……。


ちなみに、魔法のiらんどのスマホアプリも存在。ガラケーと一緒に消えたわけではないのです

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」