賛否両論「ラジエーションハウス」死亡時画像診断Ai回 「なぜ犯人探しの場に幼い弟を同席させたのか」議論巻き起こる
「一度でいいから“お父さん”と呼んでもらいたかった」悔やむ父が見た「お父さん」の着信表示。
「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」(フジテレビ系)の第5話が5月6日に放送された。デンスブレストを啓発した3話に続き、今回のエピソードには「Ai」を周知させる意義があったと思う。
第5話あらすじ、着信履歴に「お父さん」の表示が
広瀬裕乃(広瀬アリス)は、威能圭(丸山智己)が焼死体画像を見ていたことに驚く。実は威能は、CTやMRIを使って遺体の死因を究明する死亡時画像診断「Ai」のスペシャリストだった。
そんな折、公園で倒れているところを発見され、その後、死亡が確認された少年・藤本直樹(南出凌嘉)のAi依頼が届く。第一発見者は直樹とキャッチボールするために公園に来た弟の雄太(斎藤汰鷹)。救急通報をしたのは、藤本家の近所に住む少年・山村肇(小林喜日)だった。
医師の辻村駿太郎(鈴木伸之)は、心臓付近に擦過傷が見られたことから心臓震盪の可能性に言及した。だが、直樹の父母、勝彦(三浦誠己)と歩美(森脇英理子)はかたくなにAiを拒否。勝彦と歩美は連れ子同士の再婚で、直樹は歩美の子だった。親による児童虐待が行われていた場合、解剖を承諾しないケースが多く「勝彦が直樹を虐待したのでは?」と疑いの空気が漂う。しかし、歩美は直樹のAiを承諾。結果、直樹の死因は肝臓破裂による出血性ショックだと判明する。
五十嵐唯織(窪田正孝)は会議室に藤本一家と山村を集め、格闘技経験者が直樹の肝臓に致命傷を与えた可能性があると告げた。右側の肝臓を損傷したのは左手で殴ったからではないか、というのが彼の読みだ。この中で左利きの格闘技経験者は山村のみ。酒を飲んでは暴力を振るう父親とうまくいっていなかった山村は直樹が同じような境遇にいると思い、シンパシーを抱いていた。しかし、直樹は勝彦と向き合うようになり、裏切られた気持ちになった山村は直樹を殴り、死なせてしまった。
「一度でいいから“お父さん”と呼んでもらいたかった」とつぶやく勝彦。唯織は勝彦に直樹のスマホの着信履歴を見せた。そこには「お父さん」の表示があった。
原作が今回のエピソードを描いたのは「アンナチュラル」よりも前
今回の放送終了後、「いつから医療ドラマからサスペンスドラマになったんだ?」「放射線技師の枠を超え過ぎ」「アンナチュラルっぽい」という視聴者の声がネット上で飛び交った。しかし、原作での唯織はドラマ以上の探偵っぷりを見せていたので、かなりマイルドにまとめたなというのが筆者の印象である。ちなみに、原作が今回のエピソードを描いたのは「アンナチュラル」(TBS系)が放送されるよりも前のタイミングだ。
ただ、ドラマ版にも気になるところはあった。第5話には「絶世の美少年が死亡 犯人は誰!?」なるサブタイトルが付けられていたのだ。今回、ストーリーの流れに直樹の美少年設定は全く出て来ておらず、このサブタイは完全にノイズでしかない。なぜ、このようなことをしたのだろう? 視聴者からの信頼を損ねかねない悪手だったと思う。
犯人探しの場に弟を同席させた理由
正直、粗はあった。例えば、唯織が投げたボールを山村がとっさに左手でキャッチした場面。このときの反応で唯織は山村を左利きと推測したが、ネットでは「ボールを左手で捕ったら右利きなのでは?」と多くの人が指摘している。確かにそうだ。また、“左利きの格闘技経験者”という材料のみで山村が犯人と言い切る唯織に「違っていたらどうする」というツッコミも入っていた。もっともだと思う。
一方で、遺族の心情に寄り添う唯織の優しさを窺わせる描写もあった。藤本一家と山村を1つの部屋に集め、「犯人は山村」と唯織が追い詰めるシーン。このくだりについて、ネットでは「弟の前でこんなことをするな」「幼い子どものトラウマになる」といった声が散見された。果たしてそうだろうか? 兄の死の原因を作ったのは自分と思い込む弟の誤解を解くため、あえて唯織は雄太を同席させたのではないか。その捉え方のほうを筆者は取りたい。
Aiは死因と共に加害者の不幸な境遇を明らかにしていた
3話のデンスブレストに続き、5話にはAiを周知させる意義があったと思う。Aiは死因を特定するための有効な手段である。
直樹が自分と同じ境遇だと思っていた山村。しかし、直樹は義父と向き合おうとした。置いていかれそうな寂しさから、思わず山村は手を出してしまった。あまりにも動機が浅はかである。山村はいつも父親から暴行されていた。だから、深く考えず自分も直樹を殴ってしまった。格闘技経験者が無防備の人間に手をあげるとどうなるか想像できず、力の加減ができないところが幼い。これら全て、「彼が父親に虐待されていなければ……」という後悔に行き着いてしまうのだ。警察に連行される際、山村は一人ぼっちだった。そばに家族は誰もいない。この姿から、不幸な彼の境遇が見えてくる。
直樹は勝彦とキャッチボールしたがっていた。「直樹は俺のことなんて見向きもしなかった」と勝彦はうなだれた。しかし、勝彦からの着信表示には「お父さん」の文字があった。照れる直樹が頑なに隠していた日々を知ることで、親子になろうとする息子の気持ちが見えてきた。
Aiは直樹の死因だけでなく、山村の不幸な境遇と、家族になるはずだった山村家の未来を可視化した。Aiによって知り得た真実には残酷さが伴っていた。しかし、真実を知らぬままでいたら、藤本一家に救いは訪れなかった。真実を知る意味と切なさを伝える5話だったと思う。
ネットを見ると、唯織のあまりの探偵っぷりが目に付く今回には賛否両論あるようだ。しかし、医師が見落とした事実を唯織が見つけ、むやみに医師vs技師の溝を深めるいつもの流れからようやく外れた今回の新機軸のほうを私は支持したい。
1話見どころ
2話見どころ
3話見どころ
4話見どころ
寺西ジャジューカ
ライター Facebook
関連記事
- 広瀬アリスの新人らしい苦悩に共感「ラジエーションハウス」4話 続く5話は“マンネリ”を脱せるか?
今回は“医療ドラマ”というより、広瀬アリスが主役の“お仕事ドラマ”。 - 「ラジエーションハウス」3話 マンモグラフィだけでは見つからない乳がんがある――検査の大切さを訴えた神回
「現実がよくわかった」「検査の予約を入れた」の声。 - 本田翼×窪田正孝「ラジエーションハウス」2話、遠藤憲一の底力。視聴者しみじみ「エンケンの部下になりたい人生だった」
遠藤憲一最高回、かわいいエンケンじゃなくていい、ゴツくていい。 - 「ラジエーションハウス」初回のつまずきを検証「平成最後の月9」よ、演出もテンポも古くないか? そして本田翼! ファンでもつらいぞ
本田翼と医師の掛け合わせが微妙……2話に期待している! - 2019年春ドラマ注目作レビュー【随時更新】
ドラマ注目作をレビュー!(5月6日更新)
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
-
自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
-
「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
-
「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
-
330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
-
ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
-
大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
-
58歳でトレーニングを始めたおばあちゃん→10年後…… まさかまさかの現在に「オーマイガー!!!」「これはAIですか?」【海外】
-
「水曜どうでしょう」“伝説のシーン”そっくりな光景にネット騒然 「ダメだ笑っちゃう」「なまら怖い」
-
大谷翔平、インスタ最新投稿で活躍シーンのハイライト公開 一瞬映る“妻・真美子さんと母・加代子さんの笑顔満開ハイタッチ”に注目
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
- イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
- 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
- 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
- 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
- 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
- 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた