高校生が授業で「小説」を読まなくなる? 変わる「高校国語」と新共通テスト(1/2 ページ)

国語教育の大きな岐路。

» 2019年06月03日 12時00分 公開
[分銅ねとらぼ]

高校の「国語」が変わる?

 ――高校の国語の教科書の内容を覚えていますか?

 そうたずねれば、『山月記』や『舞姫』『こころ』などを思い出す人が多いかと思います。こういった小説作品は記憶に残りやすく、その一方で「評論」のような堅い文章の内容はあまり覚えていない、という人が多数派ではないでしょうか。

 ところが、もしかするとこういった記憶は、あと数年後の高校生たちとは共有できなくなるかもしれないのです。

 彼らの「国語」の記憶は、小説などの作品にかわって、「評論や契約書みたいな文章ばかりを読む、退屈な時間」になってしまう可能性があります。

 この記事では、センター試験にかわる共通テスト「国語」の内容と、高校の「国語」の教科書をめぐる状況を解説します。



センター試験の廃止と新共通テストの導入

 ご存じの方も多いと思いますが、2020年度入試(2020年1月予定)をもって、センター試験は廃止されます。そのかわりに、2021年度入試(2021年1月予定)からは、「共通テスト」が始まります。すでに何回か、共通テストの導入試験が行われており、その際に使用された問題も公開されています。

 共通テストで大きく変わる点としては、記述式問題の導入があります。これまでのセンター試験はすべてマーク式問題、つまり選択肢から正答を選ぶものでしたが、共通テストではそれに加えて記述式箇所が設けられ、段階別で評価されます。

 さらに、センター試験が「評論(現代文)」「小説(現代文)」「古文」「漢文」で構成されていたのに対して、共通テストには「実用的な文章」が問題として加えられたこと、「小説」がなくなって、かわりに「詩・随筆」が入ったことが違いとして挙げられます。


センター試験と共通テストはどれくらい異なる?

 共通テストの試行調査は2017年度2018年度に行われましたが、それぞれの試験問題を比較すると、両者は全くの別物といえます。

 2017年度は「生徒会規約の読み取りとそれに基づく問答」(実用的な文章)が独立した問題となっており、これが記述式問題になっていました。つまり、従来のセンター試験に実用的な文章を加えて、これを記述式にしたわけです。問題が独立しているため、もしも記述式問題を入試要件としない大学を志望するのであれば、これを無視することもできました。この場合、従来のセンター試験に近い受験スタイルになるはずです。

 これに対して2018年度は「『レポートを書く』設定で、参考にされた評論的文章」についての記述問題と、「著作権法に関する文章」を問題文としたマーク式問題、そして「詩・随筆」「古文」「漢文」と続きます。つまり、大問1が評論・記述式、大問2が実用文・マーク式となっています。これは2017年度と比べても、従来のセンター試験との差がより大きいと言えるものです。



 なお、試行調査での試験時間は80分から100分に延長されます。本番の試験がより難しくなるのか、それとも試行調査と同じ程度の内容なのかは不明です。内容が2017年度と2018年度、どちらに近い(あるいはさらに別な)形式になるのかも気になるところですが、さらに注目したいのは、「小説」がなくなったことです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  2. 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  4. 友人にメダカと睡蓮をあげる→3年後に見に行くと…… 想像を超える“楽園”に「こんなに……!?」「めちゃくちゃ綺麗」
  5. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  6. 「24時間テレビ」ラストスパートでのやす子へのわいせつ行為に非難 「胸触りにいってる」「気持ちが悪い」
  7. 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
  8. 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. 300円で購入した格安熱帯魚を、1年じっくり育てたら……宝石に化けた「価格に見合わない」激変に「ダイヤ感出て綺麗」「ラメがすごい」
  10. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」