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» 2019年09月01日 18時00分 公開

編集部員のつぶやき:「映画化するわ」「やっぱやめるわ」の無限ループはいつ終わるの? AKIRA信者がハリウッド実写版AKIRAの無期延期にブチギレている話

「再アニメ化があるから良いじゃん」とかいう問題じゃないんだよ!!

[イッコウ,ねとらぼ]

編集部員のつぶやき

この記事は、普段あまり表に出ないねとらぼ編集部員が、思い立った時に日々の出来事をゆるく書き綴る不定期コーナーです。


 2021年に公開予定だったハリウッド実写版「AKIRA」が無期限延期になったらしい。今年は“東京オリンピックを翌年に控えた2019年”だと言うのに、なぜそんなことになるのか。責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。


画像 私物の「AKIRA DVD SPECIAL EDITION」

 知っている人は知っているだろうが実はこの映画、10年以上前から制作が何度も報じられ、その度に見送りが続いてきた経緯がある。今回無期延期となった理由についてはキャスティングや脚本の問題が報じられており、監督を務める予定だったタイカ・ワイティティは、「AKIRA」ではなく「マイティ・ソー」第4作の制作に着手するという。

 筆者は自他共に認める「AKIRA」信者だ。初めて「AKIRA」に触れたのはケーブルテレビで放送していた映画版「AKIRA」で、当時中学生だった筆者はラストシーンの「僕は、鉄雄」という一言に脳天をぶち抜かれるような衝撃があった。それまでの自分はその瞬間に死んでしまい、そこから別な人生が始まったかのような気分だった。

 映画を見た後は、すぐに市立図書館に漫画版「AKIRA」を借りに行って読みあさり、レンタルビデオ屋に行ってDVDを借りて何度も見た。自分の部屋には「AKIRA」のポスターやTシャツを飾り、1万円もする「AKIRA DVD SPECIAL EDITION」をなけなしの小遣いで買った。

 「AKIRA」オタクと化した筆者は、その後も「AKIRA」関連の情報をあさり続け、問題の「ハリウッド実写版」も2ちゃんねるの「AKIRA」スレッドでウワサが持ち上がった当初から見て応援していた。だからこそ言いたい、「もういい加減にしてくれ」と。


画像 個人で足を運んだ渋谷のウォールアート

文字通りの「終わったコンテンツ」

 言うまでも無いだろうが一応説明すると、「AKIRA」は1982年から1990年まで連載していた大友克洋氏によるSF漫画(及び映画)だ。今や漫画界のレジェンドである大友克洋の名を世界に知らしめることになった作品であり、1988年には連載途中でありながら大友克洋氏自身が監督を務める形でアニメ映画化し、こちらも世界中で大ヒット。漫画版の評価はもちろん、アニメ映画版の評価も非常に高く、「ジャパニメーション」という言葉を広める立役者になった作品ともいわれているらしい。最近では作中で描かれていた「2020年の東京オリンピック」が現実のモノとなったことで話題を呼んだ。

 この作品には熱狂的ファンが多く、先述の通り筆者もその中の1人である。「人生最高のコンテンツは何か」と問われれば「AKIRAしかない」と即答するし、その他のコンテンツは「AKIRA」の素晴らしさの前では路傍の石ころ同然になり、対抗馬は一切存在しないと思っている。良く「格闘ゲームの記事を書いてる人」みたいな扱いを受ける筆者だが、何を隠そう格闘ゲームをプレイするきっかけになったのは「ザ・キング・オブ・ファイターズ」の「K9999である。「K9999」を操作したいがためにゲームセンターの筐体に100円を入れたあの瞬間は、きっと生涯忘れない。

※「K9999」と「AKIRA」の関連性については詳細に説明することが難しいため、各自で調べていただきたい。

 「AKIRA」に出会ってからもアニメ、漫画、映画、音楽、小説など人並みに嗜んできたつもりだが、「AKIRA」のように脳天をぶち抜かるような作品に出会うことはなかったし、今後そうした作品に出会える可能性は絶望的なほど低い。

 このように(少なくとも筆者のような熱狂的なファンにとって)「AKIRA」は天下無敵の最強コンテンツであるわけだが、長らくファンを苦しませてきた絶対的な欠点が一つだけ存在した。「AKIRA」は文字通りの意味で“終わったコンテンツ”だったのである。


画像 “ステッカーだらけの赤いバイク”はAKIRAのアイコンの1つ(画像はAmazonより)

 そもそも、連載開始時期が40年近く前であり、映像化すら30年以上前。当然続編が描かれることもない(おそらく、多くのファンは望んですらいないが)ので、「供給」と呼べるものはまれにリリースされる関連書籍やグッズ、あとは渋谷のアートウォールや大友克洋が超不定期に出す「AKIRA」とは無関係の新作などであり、「AKIRA」信者を心の底から満足させるようなものはなかった。当然の流れとして、「AKIRA」信者たちは「AKIRA」絡みのコンテンツが発表されることを渇望し続けているのである

裏切られ続けた「実写映画化」報道

 そして「AKIRA」作中の年代と同じ2019年、とんでもない報道がなされた。「ハリウッドで実写版『AKIRA』が本格始動した」というのである。ハリウッド実写版は、2000年代からウワサが出ていたが何度も何度も立ち消えていき、具体的な動きを見せることはなかったという不遇の映画だった。「シネマトゥデイ」で“AKIRA実写版”関連の情報を検索すると、2002年に「実写映画化決定」、2007年には「監督決定か」、2009年には「中止されていなかった」、2010年には「制作再始動」、2011年には「ワーナーがゴーサイン」、2012年には「またも制作中断」……。こんな調子の報道が数十件、2019年まで続く。

 もはやファンからは空想上の映画のように扱われていたが、くしくも「AKIRA」の設定と同じく“東京オリンピックを翌年に控えた2019年”に今回のような具体的な報道が出てくることに、多くのファンは運命的なものを感じずにはいられなかった。しかし、そんな期待を裏切ることになったのが、冒頭で書いたハリウッド実写版の無期延期報道だ。

 マジで、マジで勘弁してほしい。「AKIRA」のファンは……っていうかもうぶっちゃけて言うと“俺は”、何年も何年も新たな供給を待ち続けてきたのだ。「スチームボーイ」の公開を待ち望み、『童夢』などの過去作をあさり、「FREEDOM」を「もう実質AKIRAみたいなもんだろ」と自分の脳をだましながら楽しんだが、もはや飢餓状態も限界だ。何度も期待を裏切られ続けてきたのに、なぜこんなことになってしまうのか。

 「でも再アニメ化するからいいじゃん?」という声もあるだろう。だが、大友克洋信者を20年以上続けている筆者からすれば、「新作アニメの公開は10年ぐらい待つ必要があるかもしれない」とすら思っていて、速やかな供給は全く期待していない。そもそも、大友克洋が手掛けた「スチームボーイ」だって公開延期を繰り返し、何年も待たされてからようやく陽の目を浴びた映画なのだ。2012年発売の大友克洋を特集した『BRUTUS』には「大友克洋が新連載に向けて動いている」と書かれているが、ここ7年間新連載の具体的な話は出ていない。何よりも、10年以上待ち続けたハリウッド実写版がこのありさまなのだ。長編映画「ORBITAL ERA」を制作中の現段階で、「AKIRA」の新アニメに期待することは得策ではない。というか、今回の無期延期で俺の心はボロボロなのでもう裏切られたくない。

 俺は20年前から「AKIRA」が大好きだが、オタクが強烈な偏見にさらされていたころには「アニメはオタクのもの」と見下され、2010年前後にようやくアニメが市民権を得たころには“女子高生が主人公のゆるふわアニメ群”が大好きな層に黙殺された。生まれる前に「AKIRA」の連載が始まっていた自分のような人間にとっては、今この時代こそが覇権を握るおそらく最後のチャンスなのだ。

 もちろん「マイティ・ソー」シリーズの作品もファンも全く罪はないが、映画を見に行けばMCU作品の予告編が連発されるし、物販にはMCUグッズが「常設なの?」ってくらい常に販売しているし、大きめのシネコンに行けばほとんど常にMCU作品が上映されているので、正直言って「タイカ・ワイティティ監督も、もうアベンジャーズじゃなくてAKIRAにしません?」って思っている。

 奇跡的に2020年の東京オリンピックが決定し、読んで字のごとく「時代が追い付いた」というのにこの期に及んで“無期延期”は酷くはないか。俺だって、他のオタクらと同じように映画館に足を運んだ回数を競いあったり、「AKIRA」のコンセプトショップで散財したりしたいのだ。

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