ニュース
» 2019年09月25日 08時00分 公開

ビビりなやつほど生き残る!? マングースの影響で奄美大島のカエルの逃げ足が早くなっていた

「逃げるが勝ち」は本当だった。

[神奈川はなねとらぼ]

 東京農工大学の研究グループは、奄美大島に生息する絶滅危惧種「アマミハナサキガエル(以下、カエル)」の逃避行動が、外来種「フイリマングース(以下、マングース)」の影響で急速に発達したという研究結果を発表しました


東京農工大 マングースとカエルの関係 アマミハナサキガエル(撮影:論文著者)

 捕食者がいない環境(島)で暮らしていた在来種は、新たに侵入してきた外来種に簡単に食べられてしまう傾向があります。奄美大島にマングースが導入されたのは1979年。島全域には拡大しなかったものの、導入地点に近い地域では多くの在来種を減少させました。


東京農工大 マングースとカエルの関係 フイリマングース(撮影:小原祐二氏)

アマミハナサキガエル

奄美大島および徳之島のみに生息する在来種。環境省レッドリスト絶滅危惧種II類、県の天然記念物に指定されている希少種。

フイリマングース

南アジア原産。世界各地に導入され、在来生態系に深刻な影響を与えている。世界の侵略的外来生物ワースト100に指定。※2000年に始まった環境省の駆除活動によってほとんどのマングースが駆除されています。

 東京農工大学 国立環境研究所 森林総合研究所の研究グループは、奄美大島のカエルの逃避開始距離(人がどこまで接近すればカエルが逃げ出すかという距離)を地域別に計測。マングース導入地点からの距離が近い(=マングースの影響を受けた)地域のカエルは、他の地域と比べていち早く逃げ出す(=ビビり度が高い)ことを明らかにしました。


東京農工大 マングースとカエルの関係 地域別の逃避行動を調査
東京農工大 マングースとカエルの関係 ビビり度(逃避開始距離)とマングースの影響(マングース導入地点からの距離)との関係図 マングースの影響が強かった地域では、逃避行動が発達している事が明らかに

 この調査結果は、マングースの影響によってわずか数十年の間にカエルの逃避行動が急速に進化した可能性を示しています。さらに、一度発達した逃避行動はすぐには戻らないこと、逃避行動が世代を超えて受け継がれた可能性、外来種は在来種を減少させるだけではなく行動という“性質”も変えることなどが分かるとしています。


東京農工大 マングースとカエルの関係 逃避行動が発達すると想定されるプロセス(a)と観察結果(b)

 外来種による在来種の減少については多くの報告がありますが、性質への影響はほとんど知られていません。同グループは、外来種と在来種の関係を“性質への影響”という新しい視点で評価する事で、影響の大きさや幅広さを適切に理解することが期待されるとしています。

この研究成果は、イギリスのロンドン動物学会発刊Journal of Zoology誌(9月9日付(イギリス時間))に掲載されました。

URL:https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/journal/14697998

掲載誌:Journal of Zoology

論文名:Rapid behavioural responses of native frogs caused by past predation pressure from invasive mongooses(外来マングースの過去の捕食圧による在来カエルの急速な行動変化)

著者名:Hirotaka Komine, Keita Fukasawa, Munemitsu Akasaka, Yuya Watari, Noriko Iwai, Koichi Kaji(小峰浩隆、深澤圭太、赤坂宗光、亘悠哉、岩井紀子、梶光一)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/08/news148.jpg DAIGOの姉・影木栄貴、ノーメイク姿の姉弟ショットで美形ファミリーぶり際立つ 「目元瓜二つ」「すっぴんでも綺麗」
  2. /nl/articles/2312/07/news024.jpg 生まれて間もなく捨てられていた保護子猫が“真っ白なエビフライ”に おなかいっぱい食べられるおうちで過ごす姿に心あたたまる
  3. /nl/articles/2312/08/news124.jpg 元・成宮寛貴ら、豪華メンバー飲み会に“元芸能人”が偶然登場 衝撃の身なりに「都内でこの格好ヤバっ」
  4. /nl/articles/2312/08/news109.jpg 小木博明の妻、52歳のサプライズ誕生日会に「負荷などありましたが嬉しくて」 “母”ら豪華メンバー集結に「みなさんいい笑顔」「ハッピーで最高」
  5. /nl/articles/2312/08/news023.jpg 赤いアロワナ(紅龍)を買ったら色が変化、「もしかして騙された?」と思ったら…… 劇的に変化した理由が興味深い
  6. /nl/articles/2312/05/news021.jpg 柴犬が見つけた瀕死の子猫、最後の力で立ち上がり…… 優しさが救った小さな命が600万再生「感動と感謝です」
  7. /nl/articles/2312/08/news026.jpg 子猫を保護して2週間、最初は警戒していた先住犬たちも…… みんなで団子寝する仲睦まじい姿に「なんて幸せな光景」「愛にあふれてる」
  8. /nl/articles/2312/08/news141.jpg 「感心しまくりでたーくさんGET」 神田うの、“初ZARA”での爆買いに感動「リーズナブルでビックリ」
  9. /nl/articles/2312/08/news147.jpg 寺田心、最新の“細マッチョ”姿に驚きの声が集まる 「体が逆三角形」「筋肉系になっていたとは」
  10. /nl/articles/2312/08/news017.jpg 柴犬、飼い主の「行ってくるね」にジワジワと表情がくもっていき……? 豊かな感情のゆれ動きに「切ない……」「押し寄せてる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」