「白鳥エステ」運営のアキュートリリーが破産 半年にわたる賃金未払い、社保滞納、口座凍結のうえ、社長は連絡つかず
賃金未払いがかねて問題になっていました。
東京商工リサーチによると、エステサロンチェーン「HSbodydesign」(通称白鳥エステ)などを運営するアキュートリリーが9月30日、東京地方裁判所に破産を申請し、10月1日に破産開始決定を受けたことがわかりました。
現在HSbodydesignの公式サイト及びTwitter公式アカウントは削除されています。
白鳥エステ問題の経緯
白鳥エステは賃金の未払いが以前から問題となっており、ねとらぼでも複数回にわたって記事に取り上げてきました。
7月30日付で「給与遅配に関するお知らせ」と題した文書(現在ホームページが削除されたため閲覧不可)を公開し、「2019年いっぱいでの遅配解消」を掲げていましたが、具体的な対策はなく、2019年9月の段階でも「2019年4月分の給与がまだ振り込まれていない」「会社側と連絡がつかない」などの声が上がっていました。
従業員の多くは経済的に困窮し、貯金が尽きる、病院にも行けなくなるなど、過酷な状況に追い込まれています(関連記事)。また賃金未払い以外にも、社会保険料を給与から天引きしておきながら支払っていなかった、従業員から受けた融資を弁済していないなど、複数の問題が現在も未解決のまま残されている状況です。
さらに問題は白鳥エステだけでなく、白鳥エステが主催するエステスクールでも起きていました(関連記事)。白鳥エステへの社員登用をほのめかしながら賃金未払いについて説明をしない点、内容や授業計画がずさんであった点などが受講生から指摘されています。
口座が凍結されていた
元従業員のAさんによると、白鳥エステは8月20日から8月22日まで会社の口座が差し押さえられ、その影響で8月21日から25日まで「当日の売り上げを給与としてそのまま持ち帰る」ルールが敷かれたといいます。
Aさんより提供を受けた白鳥社長からの連絡は以下の通りです。
「明日2019年8月21日(水)より、『法人名義の口座に一切の資金を入れない』方針へ切り替えます。具体的に何を行うかと言いますと、『その日個人が立てた売り上げは給与として本人が持ち帰ってOK』とします。
実際に持ち帰った金額の管理等に関する細かいルールの周知は営業部からアナウンスを行いますので、そちらに従ってください。
給与支払いに関する方針を大きく変えた理由について説明いたします。本日、弊社で管理している全ての法人名義口座が差し押さえとなり、口座が一時的に凍結状態となった上に、約60万ほどの資金がゼロとなりました。差し押さえ執行人は年金事務所となります。
現在、労働基準監督署より是正勧告書が発行されている事を受け、全ての保険料と税金の支払いよりも給与への支払いを最優先とさせていただくためのコミュニケーションを年金事務所にも税務署にも欠かさず行ってはいたのですが、本日予告なしに突然差し押さえを受けた形となります。」
売り上げの持ち帰りに関して従業員と白鳥エステが書類を交わすことはなく、営業部からは「持ち帰った金額とスタッフ名を記入したメモを金庫に入れて保管するように」と指示があったそうです。
即時解雇
9月30日の23時58分、白鳥紘子社長は従業員との連絡に利用していたチャットワークに以下の内容を投稿しました。
「お疲れ様です。突然のことで誠に恐縮ですが、事業再建を目的とし、正社員は本日2019年9月30日を以て解雇、契約社員及びアルバイト社員は本日の契約満了を以て雇用契約の更新を行わないこととします。既に深夜となってしまいましたため、詳細と今後の展望につきましては明日改めてお知らせいたします。」
解雇は本来30日前までに予告する必要がありますが、即時解雇の場合は解雇予告手当として30日分の賃金を払う必要があります。また、未払い分の賃金に関しては未払賃金立替払制度により、その80パーセントが労働者健康福祉機構から労働者に支払われます。ただし支払う額には年齢に応じて上限額が設定されているほか、退職日の6カ月前から立替請求の前日までの間に支払い期日が来た賃金と退職手当が対象であることにも注意が必要です。
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