台風19号 接近・満潮・大潮が重なるおそれ 高潮警戒
台風19号は12日から13日にかけて近畿〜関東甲信地方に接近。接近時間帯と満潮時刻など悪条件が重なるおそれがあるため、高潮への警戒が必要です。
台風の接近と満潮などの悪条件重なるおそれ
台風19号は、12日から13日にかけて、非常に強い勢力を保ったまま、近畿〜関東甲信地方付近に接近・上陸する可能性が高くなっています。今回の台風では、暴風や大雨はもちろんですが、沿岸では高潮に十分な警戒が必要です。その理由は・・・
1:台風の吸い上げ効果
台風の中心は気圧が低くなっているため、気圧の高い周辺の空気は海水を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げる「吸い上げ効果」が起こり、その結果、海面が上昇します。気圧が1ヘクトパスカル下がると、潮位は約1センチ上昇すると言われています。 9日正午現在、12日午前9時の台風の中心付近の気圧は950ヘクトパスカルと予想されており、この効果によって、60センチ近く潮位が上昇するおそれもあると考えられます。
2:台風の吹き寄せ効果
さらにこの「吸い上げ効果」に加えて、台風の強い風が沖から海岸に向かって吹く際に、海水が海岸に吹き寄せられることによって海岸付近の海面が上昇する「吹き寄せ効果」も加わり、台風接近時は、特に東側の沿岸部を中心にさらに潮位が上昇する危険性があります。
3:台風接近時刻に満潮時刻重なるおそれ
さらに、台風の接近する時間帯に、ちょうど満潮時刻が重なる可能性があります。満潮と高潮が重なると、潮位が一層上昇して大きな災害が発生しやすくなります。
4:大潮の時期も重なる
さらに、14日は望(満月)で、この前後数日間は、1日の満潮と干潮の潮位差が大きくなる「大潮」にあたります。このため、満潮時刻前後は、さらに潮位に注意が必要な時期でもあります。
このように、「台風による潮位上昇」と「満潮」、「大潮」の悪条件のタイミングが揃うことが予想されます。高潮の高さによっては、波が堤防を越えて(=越波)、沿岸部が浸水する危険もあります。厳重に警戒するようにしてください。
過去の高潮被害:2018年台風21号 大阪などで最高潮位記録更新・関西空港浸水
台風による高潮被害で思い出されるのが、2018年9月に日本列島に上陸した台風21号です。9月4日に非常に強い勢力で徳島県南部に上陸後、勢力を保ったまま兵庫県神戸市付近に再上陸し、近畿地方を縦断した台風21号の影響で、大阪湾では、第2室戸台風のときに観測した過去の最高潮位を超える329センチを観測し、関西空港の滑走路やターミナルビルなどが浸水するなど、近畿地方を中心に、高潮による被害が相次ぎました。
あの時、多くの方が、「高潮」の恐ろしさに驚がくしたのではないでしょうか。今回の台風19号でも、同じような高潮被害が発生する可能性もありますので、厳重に警戒してください。
高潮に備えて今やるべきこと
高潮により、浸水被害が発生するおそれがあります。そうした「万が一」に備えて、今からできることの準備をしておきましょう。
周囲の高潮危険度を把握しておく
各自治体では「高潮ハザードマップ(浸水想定区域図)」などを配布しています。普段あまり見たことがない、という方も、Webサイトなどで公開している自治体も多くあり、お手持ちのスマートフォンなどで手軽に確認することができます。沿岸部にお住まいの方は、ご自身が生活されている地域がどれくらい危険があるのかを、ぜひ一度は見るようにしてください。
また、海岸付近の低地、湾奥部や河口部、遠浅な海底地形、V字谷のような地形は、高潮の危険が特に高い場所です。もしハザードマップに危険と示されていなくても、危険な場所だという意識を持つようにしましょう。
また、地震などと避難場所が異なる場合もあります。避難場所と避難経路も合わせて確認してください。
非常持ち出し品の準備を
万が一に備えて、避難時に持ち出せるような荷物の準備をしておきましょう。
<準備品の例>
水や食料、救急用品、貴重品、懐中電灯、携帯ラジオ、スマートフォン用の充電器および携帯充電器(充電は満タンに)、衣類、下着、タオルなど
早め早めの避難を
高潮から身を守るためには、台風接近時は、できるだけ小まめに気象情報や自治体からの情報確認するようにし、避難情報などが出たら、すぐに避難をするようにしましょう。また、状況によっては、自ら判断して早めの避難をしておくことで、「万が一」のリスクを減らすことができます。雨風が強まる前に、対応をしておくと安心です。
もし高潮が迫っていたら……落ち着いて「高い所」へ
高潮が迫っている状況下では、無理して避難所に行くのではなく、高いところに逃げて待機することも大切です。もし、気付いた時に既に高潮が迫っていた場合は、あせらず、落ち着いてできるだけ高い所に避難してください。
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