【漫画】進路に悩む女子高生が出会ったのは、公園に落書きする中年教師 飾らない言葉に「勇気もらった」「感動した」

大人になるってどういうこと?

» 2019年12月18日 20時30分 公開
[ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 高校2年生、冬。進路に悩む女子高生・カホが夜の公園で出会ったのは、飲酒しながら落書きに興じる中年教師でした。スズキスズヒロ(@suzuhirosuzuki)さんの漫画「木村先生」がTwitterで話題に。子どもから大人への過渡期を生きる若者たちに勇気を与えています。


木村先生


 進路を決める面談の日、高校2年生の井上カホは学校を抜け出し映画館にいました。「今すぐ決めるなんて無理よ」「だめだ! 今決めるんだ!」――映画のせりふに自分が重なり、ぽつりと言葉がこぼれます。「無理だよ そんなの」


木村先生

木村先生

木村先生

 悩める女子高生が独りごちる一方で、彼女の学校の教師・木村先生は浮足立っていました。

 きっかけは昼間の公園で見かけた路面に落書きする子どもたち。レトロな遊びを無邪気に楽しむ様子が、中年教師のノスタルジーを呼び起こしたのでしょう。辺りが暗くなったのを見計らうと、子どもたちの絵の隣にチョークで大作を描き始めます。

 傍らには缶ビールとカップ麺。地べたに座り込んで「いやぁ ノってきちゃったなぁ」とはしゃぐ姿は、いい年した大人……まして生徒の規範たるべき教師の姿とは思えません。

 そんな様子を教え子に見られたのは、思わずビールを落とすほど大きな誤算でした。


木村先生

木村先生

木村先生

木村先生

木村先生

 映画館帰りに教師の非行を目撃し、思わず「木村先生?」と声をかけるカホ。落書きの側に回り込み「へぇ 上手ですね」「私も描いてみたいです」と畳みかけるようにせがみます。

 写真をSNSにアップするという脅しが功を奏し、難なくチョークを入手した彼女は、なんともヘタクソな猫を描き始めました。


木村先生

木村先生

木村先生

 楽しみごとチョークを奪われて不機嫌になっていた木村先生でしたが、へろへろで立体感の無い猫を前にして、教師モードのスイッチが入った様子。「いいか 動物を描くときはな その構造をよく理解してないといかん」とお手本を描き始めた……かと思いきや、指導を忘れて絵に熱中してしまいます。


木村先生

 「できた! どうだ!」「わ! すごい!」――子どもじみた落書きに夢中になり、作品を褒められて得意げな先生は、高校生のカホが信じる大人像と懸け離れていました。

 「大の大人があまりに真剣になってるから」と笑うカホに対し、目の前の中年男性はことさら信じられない言葉を言い放ちます。

 「いいか俺はな もう干支が4回も回ってるが 大人になったなんて一度も思ったことなんかないぞ」「人の生き方はそれぞれなのに いくつになったからこうでなくちゃとか 高2の冬だからこれ決めろとか そんなのおかしい そうだろ?」

 それはまさに、カホが求めていた言葉でした。17年もの間「子ども」として扱われ、映画だってまだ学生料金なのに、「大人」になってからの生き方を今すぐ決めるなんてできるわけがない。ずっと抱えていた思いが肯定され、思わず涙が潤みます。


木村先生

木村先生

木村先生

 「でもな 人が決めたスケジュールなんか守らなくていいが 道を探すことはやめちゃだめだ」「そうすりゃちょっとずつでも前に進むだろ」「大丈夫 こんなオレでも三度のメシは食えてる」

 それは木村先生の人生訓そのものなのでしょう。自然体で語られた彼のメッセージは、1人の生徒、そして多くの読者の心にあたたかく染み入ったのでした。


木村先生

木村先生

 大人になることに悩む子どもと、子どもらしさを受け入れて生きる大人の出会いを描いた「木村先生」は、作者・スズキスズヒロ(@suzuhirosuzuki)さんのTwitterで全ページ公開されています。

 また同作が収録された短編集『空飛ぶくじら(イースト・プレス)』が12月7日より発売中。描きおろし作品を含む全6編。価格は990円です。


画像提供:スズキスズヒロ(@suzuhirosuzuki)さん


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」