米中追加関税取り下げ〜今回の合意は一時休戦にすぎない
世界経済のグローバル化が終わりに近づいている?
ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(12月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。米中貿易協議が第1段階の合意に達したニュースについて解説した。
米中追加関税取り下げ〜中国がアメリカから輸入、22兆円増加
米中貿易協議は13日、第1段階の合意に達したと発表した。アメリカは15日に予定していた新たな制裁関税の発動を見送り、アメリカと中国があらゆる物品に関税を掛け合う貿易戦争の泥沼化はひとまず回避された。中国がアメリカから農産物などの輸入を、今後2年間で約22兆円増やすことで同意している。
飯田)アメリカ政府によれば、中国は農産物の他、工業製品・エネルギー・サービスの4分野で輸入を拡大、規制の緩和を行うという話も出ていましたけれども。実際に緊張は緩和されたのですか?
須田)結論を言いますと、今回の合意はミニディール、ミニ合意です。
飯田)ミニですか。
今回は米中ともに「実行されないということを前提に行われた合意」〜一時休戦
須田)今回の交渉で、アメリカがこだわっていたポイントが2つあります。1つは中国政府から企業に対して行われている、産業補助金を廃止しろということ。もう1つが、農産物を購入しろということです。1つ目については今回の合意に入っておらず、先送りにされました。農産物の購入という点では、22兆円というよりも、とりあえず「500億ドル購入する」ということが決まったのですが、これは中国の需要を超えているのです。その上、アメリカの農家の生産能力も超えています。ですから双方ともに、これは実現できないだろうということを認識した上での合意だったのではないでしょうか。両者にとって実現不可能な数字ですから、結果的に、この約束は実行されないということを前提に合意が行われた。トランプ大統領にとっては大統領選に向けての、アメリカ国内の農家に対するアピールであり、中国にとっても、このくらい譲歩しても結果的に実現不可能なのだから、アメリカの機嫌を損なわなければそれでいいというところです。
補助金の問題は呑めない中国
須田)また補助金の問題ですが、絶対に中国は呑むことができません。これを呑んでしまうと、中国が国内で生産している製品の国際競争力が、一気に失われてしまいますから。つまり結果的に考えてみると、これは一時休戦だということです。
飯田)事実上、何も変わらないわけですものね。
須田)過去4回、合意の発表が行われましたが、その結果の度に「実は合意していませんでした」という状況になっているのですから、5回目も同じことです。もう1つ注目すべきポイントは、中国の経済体制において構造転換する意識があるのかどうかということです。今回の動きを見てみると、補助金を含めて、その気はさらさらないということです。
世界経済のグローバル化が終わりに近づいている
須田)今回の位置づけは何かと言うと、これまで1980年代以降、世界経済はグローバル化という流れのなかで進んで来ましたが、グローバル化が終わりに近づいているということです。将来、10年〜20年経ったときに振り返ると、5回目の米中合意がその大きな転換点になっているということに、私たちは気が付くのではないでしょうか。中国サイドとしては、「自分たちの体制構造を転換するつもりはない」ということが示された。そしてトランプさんは、「だったら中国とは分断、分離の方向に向かって行く」と、「言うことを聞けとは言わないけれども、相容れないから、関係を徐々に希薄化して遮断する方向に向かって行く」というところに動き始めるきっかけになったのではないかと思います。今回の交渉結果を意識しているかどうかは別として、トランプさんやトランプさんを支持している勢力が向かおうとしている、非グローバリズムの方向に向かい始めたのではないかと思います。
飯田)世界が国際的なものや人やお金に対して、壁を低くする動きに行ったけれども、その結果、国のなかで上下の分断が起こってしまった。それを是正する動きが、世界中で起きているような気がしますね。
トランプ大統領をはじめとする“脱グローバル派”にとっては「アメイジングディール」
須田)米中だけでなく、世界全体の動きで見ると、脱グローバリズムというところに向かって行くことになるのだと思います。トランプさんは今回の同意を「アメイジングディール」、「非常に素晴らしい合意だ」と自画自賛しています。アメリカのメディアはそれを冷ややかに捉えて、大統領選挙に向けて一定の成果を出したということをアピールしたいがために、自分で自分を褒めたという受け止め方をしています。しかし「脱グローバリズム」という流れのなかで見れば、これはトランプさんや脱グローバル派にとって、「アメイジングディール」なのです。
飯田)この先も、お互いの自国の事情があるのだと、お互いが自分の国の主張をぶつける形になる。そうすると経済のつながりも、徐々にどちらの陣営につくかという色分けがされて来ることになるわけですか?
須田)その辺りで、第2次世界大戦前のブロック経済を想起する人も多いのですが、そこはうまく折り合いをつける。つまり80年代以前に戻るということで、そのグループのなかで自由貿易を進めて行く。そして完全に高い壁を作るのではなく、陣営ごとに結束点を何らかの形で模索して行く。ただ、いままでのようにワンマーケットの発想で進めるつもりはない。それは温暖化に対するCO2抑制の動きなどとも、連動する話なのではないかと思います。あれはある意味で、グローバリズムの権化のような話ですから。
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