ニュース
» 2020年01月05日 11時30分 公開

今注目の「IR」……日本に必要なのか? 外国のIRに勝てるのか?

増え続ける訪日外国人旅行者。それでもIRは必要?

[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

12月31日、経済ジャーナリストの渋谷和宏がニッポン放送「報道スペシャル 日本初上陸! IRってナニ?」(出演:ジャーナリスト・須田慎一郎/新行市佳アナウンサー)に出演。2020年代には国内で最大3か所に誕生する予定の『IR=統合型リゾート施設』について分析、解説した。

フォト 世界で最も成功したIRと言われるシンガポールのホテル『マリーナベイ・サンズ』

増え続ける訪日外国人旅行者、それでもIRって必要か?

新行)2019年上半期の外国人旅行者は前年比4.6%増の1663万3600人で、半期として過去最高を記録した。「わざわざIRをつくる必要ないのでは」という声もあります。

渋谷)どんどん訪日外国人旅行者は増えているのですが、本当に来て欲しいエリアに来ているかと言うと、必ずしもそうとは言えない部分があります。多くの外国人旅行者は「ゴールデンルート」という東京―大阪を拠点にして、京都で寺社をめぐって、富士山や箱根に立ち寄るというのがほとんどなのですよね。その結果としてとにかく外国人が押し寄せてしまって、京都だとホテルに泊まれなかったり、あるいは路線バスが外国人だらけになってしまって、本当に必要としている地域のお年寄りが座れなかったりという「オーバーツーリズム」問題も出てきているのです。IRをつくることで、そういった「ゴールデンルート」以外のエリアに直接外国人旅行者に来て貰うという「ダイレクトインバウンド」が実現できます。もう1つは、MICEなどの国際会議でやって来る外国人旅行者の1人当たりの旅行消費額は33万7000円と、一般の外国人旅行者15万3000円の倍もあるのです。つまり、1人当たりの経済波及効果が非常に大きいことから、IRも必要なのではないかという位置付けです。

須田)いま、外国人観光客が自然体に右肩上がりで増えているように見えます。あまり努力もしないで増えてはきたけれど、今後を考えると頭打ちになってきますよね。

渋谷)例えば、東京や大阪だとキャパシティに限りがありますよね。これ以上無尽蔵に数を増やすわけにはいきません。それから、外国人旅行者が増えている大きな前提として、円安があるのです。為替が1ドル90円や80円になった場合、日本が割高になってしまいます。須田さんが右肩上がりとおっしゃいましたが、実はこれは自然体ではないのです。環境にめぐまれているということがあるので、これにあぐらをかけない状況があります。

フォト IR誘致先を想定している山下ふ頭=2019年8月27日 横浜市 写真提供:産経新聞社

新行)「ダイレクトインバウンド」という言葉が出てきましたが、IRを地方につくったとして、IRのなかにいろいろな施設があるということはその施設だけで完結してしまって、せっかく地方にIRをつくったとしても、地元にまでお金が回っていくのかというところは疑問に思うのですが。

渋谷)もっともな疑問ですよね。「IR実施法」という法律では、IRに送客機能施設をつくることを設けているのです。ですから、IRから周辺の観光地に行って貰う動機付けをするような。例えば、展示場があって、そのエリアの観光施設が写真で説明されていて「あそこへ行ってみようかな」とIRに来た人が思えるような施設を設けて、IRのなかだけで完結しないようにする機能を設けることです。昔は、温泉地に大きなホテルができるとみんなそこから出ませんでした。他が寂れてしまうことがないようにIRに送客機能を持たせる。言ってみれば、日本の魅力を伝えるショーケース機能を持たせようとしているので、なんとかそこは食い止められると期待しています。

新行)そういった送客機能施設がつくことによって、地元の人たちも楽しんで貰うためのアイデアを出し合って、活性化しますよね。

渋谷)逆に送客機能がないとIRから一歩も出ないことになってしまうので、ここは重要なポイントだと思います。

フォト 『マリーナベイ・サンズ』の屋上プール『インフィニティプール』

外国のIRに勝てるのか?

新行)シンガポールやマカオのIRといった、すでに成功しているIRがあります。後からできる日本のIRに勝ち目はあるのでしょうか?

渋谷)特にシンガポールのマリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサはすごい競争力で世界的に有名ですよね。そこにどう勝っていくかというのは大きなポイントになると思います。それを実現するための必要条件は3つだと思います。1つは「日本らしさ」をどう出すか。そのときの日本らしさですが、かつての“富士山”“芸者”ということだけではなく、外国人が日本らしさをどう評価しているのか、外国人の視点というフィルターを入れたらいいのではないかと思うのです。例えば、いま外国人の観光客に人気のスポットとして、渋谷のスクランブル交差点がありますよね。たくさんの人たちがぶつからないで四方八方から通り過ぎていくのが珍しいということで、たくさんの人たちが集まっているのですが、そんなことになるとは思いもしませんでしたよね。私たちにとっては当たり前の光景、当たり前のエリアのなかに外国人から見た面白いものがあるので、外国人の視点をどう入れていくのかがポイントだと思います。

2つ目は、「絶えざるリニューアル」です。シンガポールの2つのIRも7000億円を新規に追加して、拡充するのです。そういった絶えざる進化、リニューアルが必要なのですよね。それをどういう風に実現していくのかということが2つ目です。3つ目は、「コト消費」というものをどう取り込んでいくのかが大きいと思います。「コト消費」とは、ものを買ったり消費したりということではなく、時間を楽しむという賞日です。単にIRへ行ってギャンブルをするだけではなく、日本らしいエンターテインメントをどう楽しんで貰うのか、風光明媚な風景や食事をどう楽しんで貰うのかという「コト消費」を実現するためのいろいろなコンテンツですよね。これをどう継続的に打ち出せるのかがポイントになると思います。

フォト 『マリーナベイ・サンズ』のカジノで働く日本人ディーラー

新行)須田さんは海外のいろいろな場所へ行っていますけれど、海外のIRにはその国らしさや独自性があるものですか?

須田)ないわけではないけれど、確かにシンガポールも成功しているし、マカオもそれなりに成功しています。韓国もいい方向へいっているのですが、点のカジノ、点のIRでそこからあまり人は移動しません。特に韓国は仁川空港に降り立って、空港とカジノの往復で、ソウル市内へ入っていかない状況があります。「日本らしさ」「コト消費」を考えていくと、施設は中心にあるのだけれど、周辺地域も一体化して外国人観光客をおもてなししていこうという……実は、2025年の大阪万博も同じような発想を持っているのですよ。万博会場だけではなくて、道頓堀にも来て貰う、北新地にも来て貰うという仕掛け。突き詰めていくと、IR施設の外側にある日本のいろいろな文化、飲食、サービスも楽しんで貰えば、かなり上手くいくと思います。

渋谷)日本って多様性があって、観光資源は世界でも突出してめぐまれていると思うのです。風光明媚な自然があったり、先端的な都市があったり。歴史、四季があって多様ですよね。そういうなかでのIRなので、都市国家のなかでのシンガポールのIR以上の連携による波及効果を見出せるポテンシャルがあるのではないかと思います。

須田)そういった点で、渋谷さんは『「IR」はニッポンを救う!』(マガジンハウス)という本を出されているのですよ。そういった視点で考えないと、IR=カジノというイメージが定着しているのは悲しいですよね。

渋谷)3%以下なのですよね。IRはカジノをエンジンにして、そのお金で多様な施設を継続的に発展させていき、それを見なさんに楽しんで貰おうというエリアなのです。『「IR」はニッポンを救う!』というタイトル案が出てきたときに、言い過ぎじゃないかと私自身思ったのですが、今はこれでよかったと思います。

フォト 須田慎一郎 渋谷和宏 新行市佳アナウンサー

番組前半では、須田慎一郎によるIR入門編解説や、ニッポン放送・宮崎裕子記者によるシンガポールのIR取材レポートも行われた。

ニッポン放送「報道スペシャル 日本初上陸! IRってナニ?」

FM93AM1242ニッポン放送 12月31日(火) 17:00〜18:00


radikoのタイムフリーを聴く

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/1907/29/news103.jpg 秋吉久美子、亡き息子の誕生日に思いをつづる 「二人は常に連なって一緒に生きている」
  2. /nl/articles/2104/12/news014.jpg 柴犬たちもソーシャルディスタンスばっちり……! 絶妙な距離感で並ぶ柴犬親子が面白かわいい
  3. /nl/articles/2104/12/news075.jpg 「3時のヒロイン」ゆめっち、メイクのビフォーアフターに驚きの声 「ライザップのCMくらいの衝撃」「違う人かと思った…!」
  4. /nl/articles/2104/12/news077.jpg 「カブトボーグ」がJ:COMの無料チャンネルでまさかの再放送! 「次回予告がウソ」「ヒロインが週替わり」数々の伝説残したカオスアニメ
  5. /nl/articles/2104/12/news128.jpg 元“小学生ホスト”琉ちゃろ、中学入学で10年ぶりの黒髪に 母ちいめろは校則に苦言も、本人は「そんなに違和感がなくてびっくり」
  6. /nl/articles/2010/05/news063.jpg 第2子妊娠の浜崎あゆみ、42歳バースデーで華やかな豪邸披露 「幸せの形は人それぞれ」と私生活に持論 
  7. /nl/articles/2104/11/news006.jpg 仕事中でも注意散漫、集団行動ができない「発達障害」な漫画家の通院体験漫画『なおりはしないが、ましになる』
  8. /nl/articles/2104/12/news022.jpg 尿意を限界突破しながら我が子のピンチを救う漫画 お散歩アクシデントを跳ね飛ばす母の愛に感動&爆笑
  9. /nl/articles/2104/11/news007.jpg 在宅ワーク中、猫たちがPC前を占拠して…… 「残業は禁止ニャ!」と訴える元保護猫の姉妹がかわいい
  10. /nl/articles/2104/12/news033.jpg 桜玉吉『伊豆漫玉エレジー』が本日発売、還暦を迎えた玉吉先生と担当のプチ対談をお届け 「お元気ですか?」「元気じゃないよ(笑)」

先週の総合アクセスTOP10

  1. AKB48・大家志津香、人生MAXの65キロに危機感 周囲に迷惑が及ぶ激太りぶりで減量決意「やらなくていい仕事をさせちゃってる」
  2. 初コメダで「量すごいらしいからエビカツパンとビーフシチュー」 → 案の定大変なことになってしまった漫画が様式美
  3. 仲里依紗、息子がスカウトされて大騒ぎ「芸能人なんですけどもね?」 夫・中尾明慶と一緒にスルーされてしまう
  4. 「遺伝ってすごい」「足長っ!」 仲村トオルの“美人娘”ミオがデビュー、両親譲りのスタイルに驚きの声
  5. 山に捨てられていたワンコを保護→2年後…… “すっかり懐いたイッヌ”の表情に「爆笑した」「かっこよすぎ」の声
  6. 「文鳥砲だ!」「躍動感すご」 文鳥が“来るッ…!”決定的瞬間を収めた写真に緊張感が漂っている
  7. 昔から何度も見る悪夢です→「私も見る!」「同じ人がいた」と共感集まる “あるある”かもしれない奇妙な夢の漫画
  8. 「もういいだろう、楽にさせてくれよ」 アントニオ猪木、入院治療中の弱音に叱咤激励の嵐
  9. コクヨが正確な1mmを測れる「本当の定規」全国発売 メモリの境界を“面と面の間”で計測
  10. 高木ゑみさん、35歳で逝去 ステージ4の肺がんで闘病 生前最後の“人工呼吸器も外せた”報告に悲しみの声