「WEST EXPRESS 銀河」で再び脚光 いまだ元気に現役、“昭和イケメン”な国鉄型電車「117系」に乗ってきた(2/3 ページ)
乗るだけで体感できる「レトロでセピア色の鉄旅」
では117系を楽しみましょう。今回はJR湖西線の近江舞子駅から乗りました。
乗った列車は近江舞子15時17分発の普通京都行き。ホームの端で待っていると緑色の117系が入線してきました。デビュー当時はクリーム色に茶帯の塗装でしたが、京都地区の117系は緑色になっています。
やはり、特急列車を思わせるパノラミック2枚窓非貫通の前面形状はいつ見てもカッコイイです。中央の種別幕表示機も特急のヘッドマークのよう。立派に「普通」を主張しています。
117系は1979年から1986年にかけて製造されました。その間にマイナーチェンジを受けており、側面の窓が2枚窓である車両が初期車(0番台)です。
一方「一段下降窓」と呼ばれる窓を採用したタイプは後期車(100番台、200番台)です。他にも台車や車内設備の一部に変更が行われています。
117系を外から愛でるならば、側面の種別・行先方向幕表示機にもちょっと注目です。同じく古い103系(関連記事)や113系などの国鉄型電車で見られる「1枚の幕」で表示する一般的なタイプに対して、117系は種別と行先の幕が中で分けられており、個別に組み合わせて表示できる進化型になっています。
JR湖西線のドア開閉は「手動」です(冬季の長時間停車時)。ドア横の開閉ボタンで乗客が操作する半自動ドアの車両は珍しくありませんが、117系のドアは普通に手動です。手で鉄道のドアを開ける感じが珍体験で何とも言えません。
今回乗った117系は転換クロスシートとロングシートを組み合わせた車両でした。ドア周りがロングシートの車両はJR発足後、福知山線(尼崎〜福知山)の快速に投入した際に混雑対策として改造され、300番台を名乗っているものです。
茶色の転換クロスシートに腰を下ろします。まるでソファのような、ソフトで上質な座り心地。113系のような直角ボックスシートとは大違いです。
車端部の壁は木目調になっていました。これは阪急電車を意識したのでしょうか。そして、京都方面の1両目には「昔ながら」の和式トイレも設置されていました。
当日、車内1両目は筆者のみの貸し切り状態で夢心地。上を見上げると蛍光灯カバーが付いているのに気が付きました。当時の国鉄型近郊型・通勤型電車は蛍光灯カバーなどない剥き出し仕様だったので、こういったところからも117系が上級志向の破格仕様であったことが伺えます。
進行方向左側に琵琶湖が見えてきました。天気が良ければ美しく青い琵琶湖の様子を楽しめます(関連記事)。
一方、進行方向右側には比良の山々が目に飛び込んできます。湖と山を一度にまとめて楽しめるのが湖西線の魅力。普通列車は特急列車より速度が遅い分、美しい車窓をたっぷりと楽しめます。
117系のような古い車両に乗った鉄道旅で忘れてはならないのが「駅弁」です。今回は近江今津駅の「西友(にしとも)のうなぎ弁当」を食べました。意外と歯ごたえがあり、素朴な味わいでした。
堅田駅で後続の新快速に追い抜かれつつ、終着の京都駅に16時4分着。隣のホームには同じく古い国鉄型の113系が止まっていました。令和の時代になっても、京都駅のような大ターミナル駅で国鉄型車両に出会えただなんて。それだけで何だかうれしくなります。
JR湖西線で「117系を狙って乗る」ならば、朝か夕方の時間帯にするのがお勧めです。そして、駅の電光掲示板で「黄○」という表示を見つけてください。その表示が出たら117系が入線してきます。
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