「†クラウド†」「KURAUDO」を名乗っていた人に聞く思春期のエピソード こうして俺たちは“クラウドになった”勝手にFFVIIリメイク発売記念(1/3 ページ)

「凶斬りを練習」「クラウド好きの女性に養われていた」

» 2020年03月02日 19時00分 公開
[戸部マミヤねとらぼ]

 「もうクラウドになったかい?」――これはファイナルファンタジーVIIのテレビCMで使われたキャッチコピー。詩的ですね。



 FFVIIの国内総出荷本数は328万本。インターナショナル版やDL版も含めると、数百万人の日本人が主人公・クラウドの物語を体験したと考えられる。とはいえゲームを遊んだだけで本当に「クラウドになった」といえるのだろうか?

 確かにあの頃、僕らは星を救う戦いに身を投じ、ゴールドソーサーに入り浸り、ティファのパンツを盗んだ。だけどそれはゲームの中での出来事。ひとたびプレステの電源を切れば、待っているのは冴えない灰色の日常である。俺、クラウドにはなりきれませんでした。

 リメイクの発売を4月10日に控え、改めてFFVIIの魅力を掘り下げたい。だとすれば「心からクラウドになった人」に話を聞くのが一番だろう。



 そこで、心からクラウドになった人、すなわち「†クラウド†」「KURAUDO」などのハンドルネームで活動していた人をTwitterで募集した。

 クラウドを名乗る行為は中二病の代名詞として扱われがちだ。

 「興味ないね」というクールな口癖や(中学生男子は常に冷めた態度でいたい)、身の丈ほどもあるバスターソード(中学生男子は巨大な武器を振り回したい)、元ソルジャーの「何でも屋」(中学生男子は実力を隠した住所不定無職になりたい)など、思春期の憧れを3.5頭身に凝縮した男。それがクラウドである。

 FFVII発売から20年以上たった現在、もはや面白半分でクラウドを騙る愉快犯の方が多いように思う。そんな状況で、果たして本物の「†クラウド†」「KURAUDO」が声を上げてくれるのだろうか? 頼む……! 見つかってくれ……! 祈るような気持ちでツイートを投稿した。

 ……。

 …………。



 一瞬で集まった。7人も。

 その中でも、特に魔晄がキマっていた3人をピックアップ。それは黒歴史か、はたまた美しい青春か。思い出の中でじっとしていてくれない当時のエピソードを伺った。



スペルが分からなかったわけじゃない! ローマ字表記「KURAUDO」さんの場合

 「クラウドに憧れるようになった理由」は人それぞれ。Aさん(匿名希望により仮名)は、「冷めた態度を取るクラウドに共感を覚え、その彼が仲間と共に戦う姿にかっこよさを感じました」と当時の心境を振り返る。




Aさん 黒歴史なので現在のアカウント名は伏せて頂きたいのですが、10数年前の中学生のとき、「Kuraudo」「ЖCloudЖ」というハンドルネームを使っていました。

――「Ж(ジェー)」を使うのが渋い。なぜローマ字表記にしたのでしょうか?

Aさん そのゲームは同一のユーザーネームが使えない仕様で、「Cloud」はすでに使用されていたので、苦肉の策でローマ字表記を用いました。

――「中学生だから正しいスペルが分からないんでしょ?」と誤解されがちですが、分かっていてもKuraudoにせざるを得なかった人は多そうです。記号で挟んだのも同じ理由ですか?

Aさん はい。あ、でも、「Ж(ジェー)」の前に「†(ダガー)」を使えるかどうかは一応試しました。

――「†」への憧れはあったんですね。中学生だった当時「FFVII」のどこに惹かれたのでしょうか?

Aさん 冷めた態度を取るクラウドに共感を覚え、その彼が仲間と共に戦う姿にかっこよさを感じました。中学生は憧れるけど、大人になると恥ずかしく見える……という意味では、まさにクラウドは「中二病」の象徴だと思います。

 キャラクターももちろん魅力的ですが、巨大企業やレジスタンス、路地裏の花売りといった退廃的な雰囲気も刺さりました。こうした世界観は大人になった今でも好きなままです。


リメイク第1作の舞台でもあるミッドガルは、ファンタジーRPGの街としては異色すぎる設定

――年を重ねて印象が変わった部分はありますか?

Aさん 当時はクラウドに憧れを抱いていましたが、今では彼を支える大人たちの姿にかっこよさを感じます。バレットはとても味のある良いキャラクターですが、あの頃は厄介な暑苦しいおっさんにしか見えませんでした。

――ツンデレ思想犯ですからね。Twitterさせたらヤバそう。それでは、なぜクラウドを名乗らなくなったのでしょうか。

Aさん オンラインゲーム上で他のプレイヤーと話すにつれて「もしかして大人からはウケがよくない……?」と察したのがきっかけです。結局、「自分はクラウドほどかっこよくなれないから、その落差がダメなんだ」と気付いて卒業しましたが、決断に至るまでには相当な葛藤がありました。

――葛藤と成長の物語……まさに「FFVII」を見ているようです。ここまではオンラインゲームの話でしたが、実生活にクラウドが侵食してきたエピソードはありますか?

Aさん あの髪形にするにはどうしたらいいんだろう……と整髪料を大量に使って失敗した記憶があります。ガッチガチに固まってしまって、どちらかというとハンターハンターのゴンになりました。

――ゴンに……。リメイクでクラウドのツンツンが控えめになっているのは、これからクラウドと出会う中学生への優しさなのかもしれませんね。


美容室、変えた?

――Aさんは、思春期の少年少女に脈々と受け継がれる「憧れのキャラクターを真似る行為」について、現在どのように考えていますか?

Aさん RPGは役割りを演じることを楽しむゲームですので、かっこよくて強い戦士になりきって冒険したいと思うのは自然なことではないでしょうか。今は「中途半端なロールプレイは逆にかっこわるい」と感じてしまうのですが、当時はヒーローごっこのような感覚でオンラインゲームを楽しんでいました。

 きっと後々黒歴史化することになりますが、それでも当時は心から楽しかったので、同じ歴史を歩む人たちは応援したいです。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた