「HiGH&LOW」劇場版4作YouTube期間限定無料公開に寄せて――“LDHのファン以外”にハイローのすごさが伝わるまでのROADを振り返る(1/3 ページ)
あのころのざわめき、覚えていますか?
新型コロナの感染拡大予防対策を応援するためか、LDHが製作する「HiGH&LOW(以下ハイロー)」の劇場版作品4作がHiGH&LOW公式YouTubeチャンネルで4月1日〜12日の期間限定で無料配信されることになった。なんとも豪勢というか、相当な大盤振る舞いである。
改めて説明すると、ハイローはEXILEなどが所属するLDHが手がけるメディアミックス作品であり、SWORD地区と呼ばれるエリアを舞台に5つのチームに所属する多数のキャラクター(最近はもう5つどころではないけど)が入り乱れる群像バトルアクション活劇である。間違いなく、現状日本で作ることができるアクション映画としては最高クラスの作品だ。
しかし、第1作の「THE MOVIE」の公開は2016年。すでに4年も前の映画である。4年……マジか……。4年も経つと、さすがに公開当時のことをちゃんと振り返った方がいいのかもしれない。また、映画公開前に放送されていたドラマ版は発酵が進み、今見るとそれなりに懐かしく、また公開前後のざわめきを感じられるものになっている。ということで、ここでは(あくまでおれの主観ですが)ハイローをめぐる状況が今のようになる、そのちょっと前の思い出を書き残しておきたい。
ハイローの前から、LDHのPVはヤバかった
ハイロー以前から、LDHはリッチかつ壮大な映像を作ることにかけては天下一品だった。おれがそれを初めて認識したのは、2008年に発表された「Choo Choo TRAIN (第二章ver.)」のPV(プロモーションビデオ)だったと思う。EXILE VOCAL BATTLE AUDITIONを経たTAKAHIROさんの加入によってEXILEは2006年から「第二章」に突入しており、その第二章メンバーによって彼らの代表曲「Choo Choo TRAIN」をセルフカバーしたのである。
このPVがすさまじい。YouTubeのEXILE公式チャンネルでも短いバージョンを見ることができるのだが、世界観が完全に「マッドマックス」というか、ポストアポカリプスなのである。荒れ果てた世界、行き場を失った子供達……そこに集合するEXILEのメンバー。全員真っ黒なポストアポカリプス装束(むちゃくちゃ重そう)に身を包み、背後には雷鳴が鳴り響く。そこにどこからか聞こえてくるのは、あの「Choo Choo TRAIN」のイントロ。ポストアポカリプス装束のまま、全員でグルグル回るEXILEのみなさん……。
たまたまつけっぱなしにしていたスペースシャワーTVから流れてきたこのPVに、おれは釘付けになった。『北斗の拳』とマイケル・ジャクソンの「Earth Song」が合体変形したような映像にかぶさる、どこまでも能天気なサウンド。ときめきを運ぶよChoo Choo TRAIN。なんなんだ、これは。EXILEってこんなめちゃくちゃな映像を撮っていたのか。おれはEXILEといえば「コワモテで色黒な人たちが踊ってて、グラサンの人が歌っているアレ」くらいの認識しかしていなかった。しかしこれ以降、反省したおれはYouTubeなどで定期的にEXILEのPVを漁るようになる。
EXILEのPVはすさまじいクオリティのものが多いが、どれかひとつということになると、おれは「ふたつの唇」のPVを推したい。ハイローをドラマ版から映画にかけて監督した久保茂昭監督の作品であり、リッチで派手で超かっこよくて若干バカっぽいという、ハイローっぽい味わいが感じられる逸品だ。「EXILEに西部警察とマトリックスをやらせる」というアイデアも最高だし、車は吹っ飛ぶし、蹴り一発でボディアーマーが爆発四散したりする。ハイローと合わせて、未見の方はぜひともチェックしてほしい。
あの頃の松竹は、やたら「ROAD TO HiGH&LOW」の予告を流していた……
そんなこんなでおれはLDHが作る映像作品には関心を持っていたのだが、2016年の4月ごろに松竹系の映画館(松竹はハイローの配給を担当している)に行くと、なんだか妙な予告を見せられた。この年の5月7日から2週間限定で劇場公開された、ドラマ版ハイローこと「HiGH&LOW 〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜」の総集編「ROAD TO HiGH&LOW」の宣伝である。「へ〜、なんかEXILEの人たちが出てる映画? なのかな?」くらいの感じで横目で見ていたのだが、この予告は正直わかりにくかった。
なんせ「ROAD TO HiGH&LOW」は、「深夜に放送していたドラマの総集編であり、THE MOVIEに繋がる作品である」というややこしい作品である。わかりにくいのも当然だ。大体イケメンがバイクに乗っている映像だけ見せられても……。当初、ハイローがかなり内向き、三代目J SOUL BROTHERSを中心としたLDHファン向けにプロモーションされていたことは、松竹系の映画館で淡々と「ROAD TO HiGH&LOW」の予告が流れていたことからもわかる。今となっては想像しづらいが、当初ハイローはLDHのファン以外のオタク層が見ることになるとは想定されていなかったコンテンツだった。
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