新型コロナと自然災害 今こそ確認しておきたい避難方法(第1弾)〜ハザードマップ確認編〜

» 2020年05月22日 07時00分 公開
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 「もしも今災害が起きたら?」新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される今だからこそ、いざという時の避難方法について考え、しっかりと備えをしておきたいですね。全3回にわたる特集第1弾は「ハザードマップ確認編」をお届けします。

(監修:政策研究大学院大学教授、一般財団法人砂防・地すべり技術センター砂防技術研究所長 小山内 信智 先生)

ハザードマップとは

 あなたは、ハザードマップを見たことがありますか?そして、ハザードマップで何がわかるか、知っていますか?

 ハザードマップで確認できることは一つではありません。そして、自然災害にもいろいろありますから、その種類も一つではありません。

<ハザードマップの一例>

  • 洪水ハザードマップ
  • 内水ハザードマップ
  • 高潮ハザードマップ
  • 火山ハザードマップ
  • 津波ハザードマップ
  • 土砂災害ハザードマップ
  • 震度被害マップ
  • 地盤被害(液状化)マップ
  • ため池ハザードマップ

など

 自治体によって対象となる自然災害が異なるため、ハザードマップの種類も異なります。

 例えば、横浜市では洪水、内水、高潮、土砂災害、地震、液状化、津波のハザードマップが、福島市では洪水、土砂災害、火山のハザードマップがそれぞれ作成されています。

 また、洪水と内水を合わせて「水害ハザードマップ」などとしている自治体もあります。

 「ハザードマップからは、土砂災害警戒区域や浸水想定区域、浸水深などの様々な危険度を確認することができます。災害時に自分がどのような避難行動を取るべきかは、平常時に各種災害のハザードマップなどを確認して、家族でシミュレーションしておくことが大切です。」(小山内先生)

 それでは、ハザードマップでチェックすべき項目を見ていきましょう。

1 あなたの家の災害種類ごとの危険度をチェック

ハザードマップ あなたの家の場所にはどんな災害の危険がある?

 ハザードマップでは、自分の住んでいる場所が災害による危険がある場所か=避難が必要かどうかを事前に把握しておきましょう。

 洪水、高潮、土砂災害、津波、火山など、自然災害の種類ごとに、危険な地域が異なります。必ず災害の種類ごとに確認しましょう。

 事前に避難が必要な場所がどうかを把握しておけば、万が一の場合、「避難所へ行くべきか、自宅に留まるべきか」を判断する心構えができます。

 感染病が流行している状況下では、当該災害による危険度が小さく避難の必要性がない方が避難所へ避難することで、感染が拡大してしまうおそれがあります。お互いが感染しない、感染させないよう、いつも以上に、自身の避難行動についてしっかり考えておくことが大切です。

2 最寄りの避難場所や避難所をチェック

避難場所 避難所 ちゃんと知っていますか? 避難場所や避難所のマークと意味

 次に、ハザードマップで、自宅周辺の避難先を確認しましょう。

 いざ避難勧告が出てから避難先を確認しようとしても、防災無線がよく聞こえなかったり、インターネットが繋がりにくかったりして、すぐに確認ができない可能性があります。いざという時、パニックにならないよう、どんな時に、どこへ避難したらよいのかを事前に知っておきましょう。

 避難先を確認する際のチェックポイントは、避難場所等の種類と、災害の種類による違いです。

 まずは避難場所等の種類について、「避難場所」と「避難所」の違いを知っていますか?

避難場所(指定緊急避難場所)

 切迫した災害の危険から逃れるために、緊急で避難する場所(地震や大規模火災が発生した場合に避難する大規模な公園などの「広域避難場所」、津波から逃れるための「津波避難ビル(津波避難場所)」など、さらに名称を分けて設定している自治体もあります。)→つまり、身を守るために避難する場所。

避難所(指定避難所)

 災害の危険性があり避難した人が、災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在、または災害により自宅へ戻れなくなった人が一時的に滞在し、生活環境を確保する場所。→つまり、避難生活を送る施設(※避難場所と避難所を兼ねている施設もあります)。

 災害が目の前に迫り、緊急で避難するべきは「避難場所」ということになります。勘違いをしていないか、もう一度最寄りの「避難場所」と「避難所」を確認してみましょう。

 さらに、洪水、土砂災害、地震、津波、など災害の種類によって、避難場所は異なります。各避難場所では、どの災害に対応しているかが表示されています。例えば、上図の「災害種別が表示された避難場所の標識の例」では、高潮・津波は対応していないということになります。

 一つの避難先を確認しただけで安心せず、必ず、想定される災害ごとに、避難場所を確認しましょう。

3 安全な避難経路をチェック(避難路に潜む危険を確認)

避難経路 避難経路を考える時にチェックすべき危険ポイントの例

 災害の種類ごとの避難場所や避難所を確認したら、そこまでの経路も確認しましょう。

 いつも通っている道や最短ルートが、必ずしも災害時、安全であるとは言えません。複数の避難経路を想定しておきましょう。

 例えば大雨の時、河川に近い道は、河川氾濫により浸水する恐れがありますし、斜面やその近くを通る道は土砂災害の恐れがあります。また、舗装された道路に覆われた都市部では、下水道や排水溝の処理が間に合わずマンホールなどから水があふれだす内水氾濫や、周囲より低くなっている土地や、アンダーパスを通るルートは危険なため、避難の際、避けるべき経路になります。

 避難所まで向かう道に、家の危険度のチェックと同じように、避難経路上にハザードマップの危険エリアがないかを確認するとともに、以下のような場所がないかを確認してみましょう。

<避けるべき避難経路のチェックポイント>

  • 河川や海岸沿い
  • アンダーパスや低い土地
  • 崖や急斜面
  • レンガやブロック、コンクリート塀
  • ガラス張りのビル
  • 大きな看板
  • 自動販売機

など(※災害の種類によってチェックポイントは異なります)

 安全に避難場所まで行くことのできる経路を、普段からシミュレーションしておきましょう。

ハザードマップの入手方法

ハザードマップ 「ハザードマップポータルサイト」トップページ

 ハザードマップの入手方法は、各自治体のホームページで公開されている場合や、自宅に配布されている場合、役場で配布している場合など、自治体によって異なります。ご自身の自治体の配布方法は、各自治体のホームページ等でご確認ください。

 (※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ホームページで閲覧可能な自治体は、なるべくホームページをご利用ください。また、通常役場で配布している自治体の場合、入手方法が変更となっている可能性がありますのでご注意ください)

 また、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で、全国数多くの自治体のハザードマップを、災害の種類ごとに閲覧することができます。

 今この記事を、パソコンやスマートフォンで見ている方は、さっそく「ハザードマップ」で検索してみてください。家でインターネットや本やを見ながら過ごす時間を、あなた自身のために、あなたの家族のために、少しだけ、ハザードマップを見る時間に使ってみませんか。

小山内 信智 先生

【監修】

小山内 信智 先生(政策研究大学院大学教授、一般財団法人砂防・地すべり技術センター砂防技術研究所長)

【参考】

内閣府 防災情報のページ:http://www.bousai.go.jp/

国土交通省 国土地理院:https://www.gsi.go.jp/top.html

国土交通省 ハザードマップポータルサイト:https://disaportal.gsi.go.jp/

総務省消防庁:https://www.fdma.go.jp/

東京消防庁:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/

横浜市:https://www.city.yokohama.lg.jp/

福島市:http://www.city.fukushima.fukushima.jp/


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